クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~



AmazonでCDをさがすAmazonでスウィートナー(Otmar Suitner)のCDをさがす
Home|スウィートナー(Otmar Suitner)|グリーグ:ペールギュント第2組曲

グリーグ:ペールギュント第2組曲

スウィートナー指揮 バンベルグ交響楽団 1953年2月20〜21日録音



Grieg:ペールギュント第2組曲 前奏曲花嫁の略奪とイングリッドの嘆き」

Grieg:ペールギュント第2組曲 「アラビアの踊り」

Grieg:ペールギュント第2組曲 「ペールギュントの帰郷」

Grieg:ペールギュント第2組曲 「ソルヴェイグの歌」


今では組曲の方が有名になってしまいました。

 イプセンが書いた詩劇「ペールギュント」はノルウェーに古くから伝わる民話を素材としていますが、簡単に言えば、とんでもない身勝手な男とそんな馬鹿な男を支えて待ち続ける純情な女の物語です。ワーグナーなんかが典型なのですが、どうもこういう「とんでもない男の身勝手」というモチーフが西洋人は好きなようです。
 登場するのは道楽の果てに財産を使い果たした馬鹿親父を持つ大ボラふきのペールとそんな馬鹿息子を溺愛する馬鹿母のオーゼです。(凄い一家です^^;)そして、そんなペールに心を寄せる「純情な娘・・・ソルヴェイグ」がこの物語の主要な登場人物です。

 物語はペールの波乱に満ちた人生を縦糸に、そんなペールを信じて待ち続けるソルヴェイグを横糸として展開されていきます。
 ペールはソルヴェイグという恋人がいながら幼なじみだったイングリットを結婚式の場から奪って逃げたり、国際的な山師となってモロッコの皇帝の財宝をだまし取ったり、カリフォルニアで大金持ちになったりします。しかし、せっかく奪ったイングリッドなのにあきて捨ててしまったために山の魔物に酷い目にあわされたり、だまし取った財宝を色仕掛け(アニトラのお踊り)でだましたられたり、せっかくの財宝も船が難破して全て失ったりしてしまいます。
 そしてようやくにして帰り着いた故郷では盲目になりながらもソルヴェイグが彼の帰りを待ち続け、そんなソルヴェイグに許しを請いながら安らかな最期を迎えるというお話です。(何という荒っぽいあらすじ・・・_(_^_)_ ゴメンチャイ)
 グリーグはそんなとんでもないお話に音楽をつけるのは心がすすまなかったようですが、頼まれると嫌といえない性格だったのか、苦労しながら28曲の音楽を作曲します。そして、その28曲の中から4曲ずつ「お気に入り」を抜き出し、オーケストレーションなどを手直しして1888年に第1組曲、1892年に第2組曲を作曲します。
 現在では本家の詩劇の方はほとんど読まれることもなく、そのために全曲版の方も滅多に演奏されません。しかし、組曲の方は見方によっては4楽章構成の交響曲のように見えなくもない(見えないか・・・^^;)まとまりの良さもあって、現在ではグリーグを代表する作品としてよくコンサートでも取り上げられます。

○ 第1組曲
1. 前奏曲『朝の気分』 第4幕の前奏曲(No.13)
2.『オーゼの死』 第3幕前奏曲・第3幕第4場(No.12)
3.『アニトラの踊り』 第4幕第6場(No.16)
4.『山の魔王の宮殿にて』 第2幕第6場の開始(No.8)

○ 第2組曲
1. 前奏曲『花嫁の略奪とイングリッドの嘆き』 第2幕の前奏曲(No.4)
2.『アラビアの踊り』 第4幕第6場(No.15)
3. 前奏曲『ペールギュントの帰郷』 第5幕の前奏曲(No.21)
4.『ソルヴェイグの歌』 第5幕第5場(No.23)


オトマール・スウィトナー

指揮者というのは死ぬまで活動を続けるのが一般的です。また、何らかの理由で活動を中止するときは何らかの声明や宣言がなされるのが一般的です。しかし、スウィートナーはその様な公式の発表などは一切なしで事実上の引退をしてしまった珍しい人です。
1990年の来日公演をキャンセルした後は一切の演奏活動を停止し、2002年にバレンボイム主催によるスウィトナーの80歳を祝うパーティーに姿を見せた以外は公的な場には一切姿を表していません。
おそらくは東西ドイツの統一とその過程での政治的混乱が彼に深刻なダメージを与えたことは想像できるのですが、彼自身が何も語らずに第一線を引退してしまったために、その真相は永遠に闇の中になることでしょう。

さて、スウィートナーという人の評価なのですが、個人的に言えば非常に高いです。それは、彼が事実上の引退生活に入る少し前に手兵のベルリン国立歌劇場のオケ(シュターツカペレ・ベルリン)を率いての来日公演を聞いたからです。
プログラムはモーツァルトの3大交響曲曲とベートーベンのエロイカというヘビー級のものでした。
スウィートナーのモーツァルトは同業者の中では非常に評価が高くて、中堅・ベテランの指揮者の中でも、モーツァルトの交響曲が予定にはいると彼の録音を参考にする人も多かったという噂が流れています。ですから、当日のモーツァルトも素晴らしかったのですが、それ以上に素晴らしかったのが後半のエロイカでした。とりわけ、第2楽章の中間部でフーガのように音楽が進行する場面ではまさにオケ全体がすすり泣いているかのような凄演で、後にも先にあれほど凄いエロイカをライブで聞いたことはありませんでした。
スウィートナーという人は「手堅い」指揮者というイメージがあるのですが、なかなかどうして、ライブでは驚くような熱っぽい演奏を展開する懐の深さを持った人でした。
この時のコンサートは、ユング君の人生の中で5本の指には入るものですから、誰がなんと言ってもユング君の中ではスウィートナーは凄いのです。(ただし、同じオケで録音したスタジオ録音の方は実につまらないです。この辺が指揮者を評価する難しさですが優先すべきはライブでしょう。)

なお、ここでの演奏は彼が西ドイツの地方の歌劇場でキャリアを積み上げていた頃の録音です。取り立ててどうこう言うような演奏ではありませんが、即物的な表現が大勢を占めていた当時の状況を考えると、後のスウィートナーを予想させるような優美な音楽が姿を表していることだけは確認できます。

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



677 Rating: 4.9/10 (156 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント




【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2024-04-18]

エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調, Op.85(Elgar:Cello Concerto in E minor, Op.38)
(Cello)アンドレ・ナヴァラ:サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1957年録音(Andre Navarra:(Con)Sir John Barbirolli:Halle Orchestra Recorded on 1957)

[2024-04-16]

フランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(P)ロベール・カサドシュ:(Vn)ジノ・フランチェスカッティ 1947年5月7日録音(Robert Casadesus:(Vn)Zino Francescatti Recorded on May 7, 1947)

[2024-04-14]

ベートーヴェン:序曲「コリオラン」, Op.62(Beethoven:Coriolan, Op.62)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1945年6月1日録音(Arturo Toscanini:NBC Symphony Orchestra Recorded on June 1, 1945)

[2024-04-12]

モーツァルト:弦楽四重奏曲 第3番 ト長調 K.156/134b(Mozart:String Quartet No. 3 in G Major, K. 156)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2024-04-10]

ハイドン:弦楽四重奏曲第1番 変ロ長調「狩」,Op. 1, No. 1, Hob.III:1(Haydn:String Quartet No.1 in B-Flat Major, Op. 1, No.1, Hob.3:1, "La chasse" )
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1938年6月5日録音(Pro Arte String Quartet:Recorded on June 5, 1938)

[2024-04-08]

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18(Rachmaninov:Piano Concerto No.2 in C minor, Op.18)
(P)ジェルジ・シャーンドル:アルトゥール・ロジンスキ指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 1946年1月2日録音(Gyorgy Sandor:(Con)Artur Rodzinski New York Philharmonic Recorded on January 2, 1946)

[2024-04-06]

シベリウス:交響的幻想曲「ポヒョラの娘」(Sibelius:Pohjola's Daughter - Symphonic Fantasy Op.49)
カレル・アンチェル指揮:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1962年6月7日~8日録音(Karel Ancerl:The Czech Philharmonic Orchestra Recorded on June 7-8, 1962)

[2024-04-04]

ベートーヴェン:ロマンス 第2番 ヘ長調, Op.50(Beethoven:Romance for Violin and Orchestra No.2 in F major, Op.50)
(Vn)ジノ・フランチェスカッティ:ジャン・モレル指揮 コロンビア交響楽団 1952年4月23日録音(Zino Francescatti:(Con)Jean Morel Columbia Symphony Orchestra Recorded on April 23, 1952)

[2024-04-02]

バルトーク:弦楽四重奏曲第6番, Sz.114(Bartok:String Quartet No.6, Sz.114)
ヴェーグ弦楽四重奏団:1954年7月録音(Quatuor Vegh:Recorded on July, 1954)

[2024-03-31]

ベートーヴェン:ロマンス 第1番 ト長調, Op.40(Beethoven:Romance for Violin and Orchestra No.1 in G major, Op.40)
(Vn)ジノ・フランチェスカッティ:ジャン・モレル指揮 コロンビア交響楽団 1952年4月23日録音(Zino Francescatti:(Con)Jean Morel Columbia Symphony Orchestra Recorded on April 23, 1952)