クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~




Home|フリッチャイ(Ferenc Fricsay)|バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽

バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽

フリッチャイ指揮 ベルリンRIAS交響楽団 1953年録音



Bartok:弦楽器、打楽器とチェレ

Bartok:弦楽器、打楽器とチェレ

Bartok:弦楽器、打楽器とチェレ

Bartok:弦楽器、打楽器とチェレ


最もバルトークらしい作品

「バルトークの作曲技法」という本があります。

その中で、この作品が取り上げられてフィボナッチ数列による黄金比の適用だとか、中心軸のシステムなんかについて詳細に述べられているそうです。実際、バルトーク自身もそのようなミクロ的視点というか、手法を使ってこの作品を作曲したのでしょうから、そのような分析もまた意味のあることなのでしょうが、聞き手にとってはそのような難しいことを全く知らなくてもこの作品に通底している透明感みたいなものを感じ取ることは容易いことです。そして、実に「厳しい」音楽でもあります。

この作品は2組の弦楽器群とピアノ、さらに各種打楽器という編成です。トラディショナルな観点から見ればかなり変則ではあるのですが、こういうのがバルトークは好きだったようです。4楽章構成からなり、さらにこんな事は書かなくても聞けばすぐに分かるのですが、緩ー急ー緩ー急という流れになっています。こういうシンメトリカルな構成もまたバルトークのお気に入りだったようです。(~ ~;)ウーン
さらに、これまた聞けばすぐに分かるように前半のどこかトラディショナルな世界と後半の民族色の濃い世界がこれまた際だった対比を示していて、こういうのもまたバルトークは好きだったようです。ヽ(´〜`;)ウーン
ということで、その外形においても、鳴り響く音楽の質においても、まさにバルトーク的な世界が堪能できる作品になっているわけです。
ただし、この作品が書かれたのは、ハンガリーを捨ててアメリカに亡命せざるをえなくなるぎりぎりの状態で書かれたことは最後に付け加えておきましょう。そして、弦楽四重奏曲の第6番もそうなのですが、この極限状態の中で書かれた作品には不思議な「聞きやすさ」があります。言葉をかえれば、どこか人肌のぬくもりを感じるような部分がはっきりと表面にあらわれてきているのです。その意味では、初めてバルトークにふれるには「管弦楽のための協奏曲」や「ピアノ協奏曲第3番」などと並んで相応しい作品の一つだといえるかもしれません。
さらに付け加えれば、その聞きやすさは、聞くに耐えないゲンダイ音楽を追い求める人たちからは「妥協」だの「後退」だのと批判されてきた経緯もあるのですが、70年以上も経過してみると、そう言う批判のいかに戯言であったかが誰の目に明らかになったといえると思います。でも、作曲部門のコンクールなんか見ていると明らかでない人もいるなぁ・・・(~。~;)~ ほえ?


人肌のぬくもり

フリッチャイは、その長からぬキャリアの中でバルトークを積極的に取り上げています。
この通称「弦チェレ」以外では「管弦楽のための協奏曲」はいうまでもなく、「舞踏組曲」「カンタータ・プロファーナ」「ヴァイオリン協奏曲」「ディヴェルティメント」「2つのポートレート」「ピアノ協奏曲全3曲」「青ひげ公の城」あたりを録音しています。とりわけ、ケサ・アンダとのコンビで録音したピアノ協奏曲は長くこの作品のスタンダード的なポジションにありました。
残念ながら、ユング君はフリッチャイのよい聞き手ではありませんので、上述した録音はすべて聞いているわけではありません。しかし、その多くない経験を通して感じるのは、人肌のぬくもりです。バルトークという人は、ともすれば作品そのものにそのようなものを意図的に拒絶している部分もあるのですが、それでもフリッチャイはそのような作品でもどこかに人肌のぬくもりを感じさせてくれます。
たとえば、この弦チェレなどは、ブーレーズなんかはもっと上手に再現してくれて、それはそれで素晴らしいとは思うのですが、時にそう言う演奏には蒸留水のような味気なさを感じてしまうこともあります。そんなときに、このフリッチャイの演奏を聴くと何ともいえない居心地の良さを感じてしまいます。
ライナーやブーレーズのような演奏に物足りなさを覚えたときには、是非一度は手を伸ばしてもらいたい録音です。
なお、表記の「ベルリンRIAS交響楽団」とは現在の「ベルリン放送交響楽団」のことです。同楽団は1953年までは「ベルリンRIAS交響楽団」と名乗っていましたので、そのような歴史的経緯を尊重しました。

この演奏を評価してください。

  1. よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
  2. いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
  3. まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
  4. なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
  5. 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10



541 Rating: 4.8/10 (208 votes cast)

  1. 件名は変更しないでください。
  2. お寄せいただいたご意見や感想は基本的に紹介させていただきますが、管理人の判断で紹介しないときもありますのでご理解ください
名前*
メールアドレス
件名
メッセージ*
サイト内での紹介

 

よせられたコメント

2008-11-20:コンブリオ


2010-03-13:Kyoji


2010-08-28:ほんのむし





【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2025-12-09]

ベートーベン:交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」作品125(歌唱:ルーマニア語)(Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125 "Choral")
ジョルジュ・ジョルジェスク指揮 ブカレスト・ジョルジェ・エネスク・フィルハーモニー管弦楽団 (S)Emilia (Ms)マルタ・ケスラー、(T)イオン・ピソ (Bass)マリウス・リンツラー (Chorus Master)ヴァシリ・パンテ ジョルジュ・エネスコ・フィル合唱団 (Chorus Master)カロル・リトヴィン ルーマニア放送合唱団 1961年8月録音(George Georgescu:Bucharest George Enescu Philharmonic Orchestra (S)Emilia Petrescu (Ms)Martha Kessler (T)Ion Piso (Bass)マMarius Rintzler (Chorus Master)Vasile Pintea Corul Filarmonicii "George Enescu”(Chorus Master) arol Litvin Corul Radioteleviziunii Romane Recorded on July, 1961)

[2025-12-07]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第23番「熱情」 ヘ短調 Op.57(Beethoven: Piano Sonata No.23 In F Minor, Op.57 "Appassionata")
(P)ハンス・リヒター=ハーザー 1955年11月録音(Hans Richter-Haaser:Recorded on November, 1955)

[2025-12-06]

ラヴェル:夜のガスパール(Ravel:Gaspard de la nuit)
(P)ジーナ・バッカウアー:(語り)サー・ジョン・ギールグッド 1964年6月録音(Gina Bachauer:(Read)Sir John Gielgud Recorded on June, 1964)

[2025-12-04]

フォーレ:夜想曲第7番 嬰ハ短調 作品74(Faure:Nocturne No.7 in C-sharp minor, Op.74)
(P)エリック・ハイドシェック:1960年10月21~22日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n October 21-22, 1960)

[2025-12-02]

ハイドン:弦楽四重奏曲第32番 ハ長調, Op.20, No.2, Hob.3:32(Haydn:String Quartet No.32 in C major, Op.20, No.2, Hob.3:32)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1931年12月2日録音(Pro Arte String Quartet:Recorded on December 2, 1931)

[2025-11-30]

チャイコフスキー:マンフレッド交響曲 ロ短調 作品58(Tchaikovsky:Manfred Symphony in B minor, Op.58)
コンスタンティン・シルヴェストリ指揮 フランス国立放送管弦楽団 1957年11月13日~16日&21日録音(Constantin Silvestri:French National Radio Orchestra Recorded on November 13-16&21, 1959)

[2025-11-28]

ベートーベン:交響曲第8番 ヘ長調 作品93(Beethoven:Symphony No.8 in F major ,Op.93)
ジョルジュ・ジョルジェスク指揮 ブカレスト・ジョルジェ・エネスク・フィルハーモニー管弦楽団 1961年5月録音(George Georgescu:Bucharest George Enescu Philharmonic Orchestra Recorded on May, 1961)

[2025-11-26]

ショパン: ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 Op.21(Chopin:Piano Concerto No.2 in F minor, Op.21)
(P)ジーナ・バッカウアー:アンタル・ドラティ指揮 ロンドン交響楽団 1964年6月録音(Gina Bachauer:(Con)Antal Dorati London Symphony Orchestra Recorded on June, 1964)

[2025-11-24]

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番変ホ長調, Op.127(Beethoven:String Quartet No.12 in E Flat major Op.127)
ハリウッド弦楽四重奏団:1957年3月23日,31日&4月6日&20日録音(The Hollywood String Quartet:Recorded on March 23, 31 & April 6, 20, 1957)

[2025-11-21]

ハイドン:弦楽四重奏曲第31番 変ホ長調, Op.20, No1, Hob.3:31(Haydn]String Quartet No.31 in E flat major, Op.20, No1, Hob.3:31)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1938年6月5日録音(Pro Arte String Quartet:Recorded on June l5, 1938)