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シューベルト:ピアノのための舞曲(B面)

(P)イェルク・デームス:1965年9月録音



Schubert:6 Walzer, D.145

Schubert:11 Ecossaisen, D.781

Schubert:Minuet in C-sharp minor D.600,Trio in E major D.610

Schubert:2 Trios, D. 146, Uppelwieser - Walzer Ges-dur o.D.

Schubert:3 Landler, D.734, 2 Walzer, D.779, 2 Walzer, D.146, Deutscher Tanz, D.973


生粋のウィーン子による舞曲

シューベルトのピアノのための舞曲というのはかなり珍しいのではないでしょうか。一連のソナタや楽興の時、さすらい人幻想曲や4つの即興曲等は頻繁に演奏されるのですが舞曲となると録音も決して多くはありません。
それだけに、ウィーン三羽烏とよばれたうちの一人、イェルク・デームスがこのようなアルバムを残してくれたことは実に嬉しい限りです。
アルバムに収められている作品は以下の通りです。

A面



  1. 12のワルツ, D.365

  2. アルマンド変ホ長調,D.366, ディアベッリの主題による変奏, D.718, コティヨン舞曲, D.976

  3. 2つのスケルツォ,D.593

  4. 12のドイツ舞曲(レントラー), D.790


B面



  1. 6つのワルツ, D.145

  2. 11のエコセーズ,D.781

  3. メヌエットとトリオ,D.600,D.610

  4. 2つのトリオ, D.146, クーペルヴィーザー・ワルツ 変ト長調, D.番号なし

  5. 3つのレントラー, D.734, 2つのワルツ, D.779, 4つのドイツ舞曲, D.146, ドイツ舞曲, D.973



実にユニークな選曲であり、デームスらしい工夫が施された一枚です。


生粋のウィーン子としての感性を持って仕立てなおした

「ウィーン三羽烏」とはフリードリヒ・グルダ、イェルク・デームス、パウル・バドゥラ=スコダの3名です。ただし、この「ウィーン三羽烏」というのは日本でだけ通用する言い方のようで、英語圏では「ウィーンのトロイカ」(Viennnese Troika)とよばれるようですし、肝心のウィーンではこの3人を特別に一括りにする発想はないようです。
おそらくは、この3人がウィーンで生まれ、ウィーンで学び、そしてウィーンで活躍したという「生粋のウィーン子」と言うことで特別視したのは、ウィーンを音楽の都として有り難がる日本の特殊事情がもたらしたのかもしれません。

そして、考えてみればウィーンの作曲家と言えばモーツァルト、ベートーベン、ブラームス、ブルックナー、マーラーなどがすぐに思い浮かぶのですが、彼らは全てウィーンで生まれたわけではありません。そう言う意味では、シューベルトこそがある意味では生粋のウィーンの作曲家と言えるわけです。
ですから、シューベルト+デームスという組み合わせはまさに生粋のウィーンの音楽と演奏だと言うことになるのかもしれません。

もっとも、あまり「ウィーン」を有り難がるのも考え物なのですが、このアルバムにはそう言うつながりを根っこにしたデームスならではなの工夫が施されていることも事実です。それは選曲のユニークさに表れています。

B面



  1. 6つのワルツ, D.145
    この作品は作品番号18として「12のワルツ、17のレントラーー、9つのエコセーズ」として出版されました。これもまた出版社の恣意的な選択によるものです。
    デームスはこの中から12のワルツから6曲(1,2,7,6,9,10)を選び出して演奏しています。

  2. 11のエコセーズ,D.781
    エコセーズとは当時のウィーンで流行していたスコットランド舞曲のことです。わずか16小節の舞曲が鎖のように繋がって一つのまとまった音楽のように演奏されます。

  3. メヌエットとトリオ,D.600,D.610
    メヌエットというのは中間部にトリオが必要なのですが、ところが、このメヌエットにはトリオはついておらず、さらにはトリオの方はトリオだけというおかしな作品でした。
    そこで、デームスはこの二つの作品を結びつけて本来あるべきの3部形式のメヌエットとなるように仕立て直して演奏しています。

  4. 2つのトリオ, D.146, クーペルヴィーザー・ワルツ 変ト長調, D.番号なし
    2つのトリオは作品番号127の「最後のワルツ集」ともよばれる「20のワルツ」から選び出した2曲(5,11)のトリオ部分だけを抜き出したものです。
    そこに親友の結婚祝いにおくった「クーペルヴィーザー・ワルツ」を結びつけて一つの音楽のように仕立て直しています。

  5. 3つのレントラー, D.734, 2つのワルツ, D.779, 4つのドイツ舞曲, D.146, ドイツ舞曲, D.973
    これもまたあれこれの作品から抜き出した音楽を鎖のようにつなぎ合わせて人島の美しい鼻飾りに仕上げています。
    3つのレントラーは作品67の「ウィーンの貴婦人のレントラー」から、2つのワルツは作品50の「34の感傷的なワルツ」から、4つのドイツ舞曲は作品33の「16のドイツ舞曲と2つのエコセーズ」,から、そして、最後のドイツ舞曲は,「3つのドイツ舞曲」から2曲選び出しています


とまあ、このようにデームスによって徹底的に手を加えられて仕上がったのがこのアルバムなのです。
これを原典を無視した暴挙などと言うような野暮なことはやめましょう。ここにあるのは、まさに生粋のウィーン子としての感性を持って仕立てなおしたシューベルト本来の姿が蘇っているのです。

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