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Feuermann Plays Cello Pieces(The Japanese Recordings)

(Cello)エマヌエル・フォイアマン:(P)ヴォルフガング・レープナー 1936年4月~6月録音



Tchaikovsky:6 Morceaux, Op.51 No.6 "Valse sentimentale"

Mendelssohn :Songs without Words, Book5, Op.62 No.30 in A Major "Spring Song"

Godard:Jocelyn, Op.100, Act1 "Berceuse"

Schumann:3 Gedichte, Op.29 No.3 "Zigeunerleben"

Schubert:Schwanengesang, D.957 No.4 "Standchen"

Wrighton:Her Bright Smile Haunts Me Stil

Saint-Saens:Carnival of the Animals "The Swan"

Valentini:Sonata No.10 in E Major, Op.8: " Allegro, tempo di gavotta"

Rubinstein:2 Melodies, Op.3 No.1 in F Major

Chopin:Nocturne No.2 in E-Flat Major, Op.9, No.2


古き良き時代へのノスタルジーをかき立てられるような小品達です

フォイアマンの2回目の来日公演があった1936年の4月から6月にかけて日本コロンビアが録音した小品集です。当時は収録時間が1枚あたり5分程度のSP盤の時代ですから「小品集」としてではなく、それぞれが単発の「作品」としてリリースされたのかもしれません。
ショパンの有名な「夜想曲」をポルタメントをかけまくって、ここまで濃厚に演奏するフォイアマンの姿には驚かされます。

古き良き時代へのノスタルジーをかき立てられるような小品達です。

  1. チャイコフスキー:6つの小品 Op.51より「感傷的なワルツ」

  2. メンデルスゾーン:無言歌集第5巻 Op.62より「春の歌」

  3. ゴダール:歌劇「ジョスラン」より第1幕「子守歌」

  4. シューマン:3つの詩 Op.29より「流浪の民」

  5. シューベルト:白鳥の歌 D.957より「セレナード」

  6. ウィリアム・トーマス・ライトン:忘れられないすてきな微笑み

  7. サン=サーンス:動物の謝肉祭より「白鳥」

  8. ヴァレンティーニ:ソナタ第10番より第2楽章

  9. ルビンシテイン:2つのメロディ Op.3よりメロディ第1番

  10. ショパン:夜想曲第2番 Op.9-2

  11. エルネスト・ブロッホ:ユダヤ人の生活より 「祈り」


なお、ブロッホに関しては敗戦国日本へのペナルティ条項としての「戦時加算」の関係でおそらく著作権が消失していないので紹介することは出来ません。
そう、この「戦時加算」とは未だに日本は敗戦国であることを国際法として政府は認めている事を示している条項のです。ちなみに、同じく敗戦国であるドイツやイタリアではこのペナルティ条項はすでに消失しています。普通の主権国家であるならば当然の措置です。
この著作権における戦時加算という条項に出会うたびに、戦後75年が経過しても未だに敗戦国としてアメリカに従属し続けるこの国の政府らしいスタンスだと嫌みの一つもいいたくなります。

さらに、この後さらに20年以上も「著作権」という檻の中に入れられていると、ブロッホという作曲家の存在はますます忘れ去られるかもしれませんね。まあブロッホはアメリカで活躍した作曲家ですから、それもまたそれで良しとするしかないのでしょうね。

それからいささか話は横道にそれますが、吉松隆氏は現在のクラシック音楽の作曲にとって「著作権」は現実問題として「ペナルティ条項」になっていると語っていました。どういう事かと言えば、モーツァルトやベートーベンやマーラーというような客を呼べる作品は著作権料を支払うこともなくプログラムに載せられるのに、客が入るとは到底思えないような現在音楽には少なくない著作権料を支払わなければプログラムに載せられないからです。
結果として、ただでさえ過去の作曲家達と較べられれば不利なポジションにある現在音楽に、「著作権料」などと言うものを支払ってまでも演奏しようとするにはよほどの酔狂が必要なのです。そう言う意味で吉松氏は「ペナルティ料」と表現したのです。

言うまでもないkとですが、創作物が「著作権」によって保護されるのは絶対に必要なことです。しかし、それをどのように保護していくのかという点では、一部の権益者の大きな声がまかり通る現在の状況をあらためて、本質的な議論をしなければいけない時期に来ているのかもしれません。


フォイアマンらしく良く考え抜かれた演奏

エマヌエル・フォイアマンの名前は、どうしてもハイフェッツとルービンシュタインとのコンビによる「100万ドルトリオ」のメンバーとして思い出されることが多いようです。ですから、何となくアメリカ出身のチェリストかと思っていたのですが、調べてみると1902年に、未だオーストリア=ハンガリー帝国の領地だったコロミヤ(現在はウクライナにある町のようです)に生まれた人でした。
何十年もクラシック音楽を聞いているのに、今頃になってそんな事に気づくとはお恥ずかしい限りです。さらに、彼が1942年に突然の出来事として亡くなってしまったことはよく知っていたのですが、その原因が痔の手術が失敗し、その合併症で腹膜炎を併発したことが突然の死の原因であったと言うことも、今回彼のことを調べていく中で知って、さらに驚いてしまいました。

そして、もう一つ驚いたのは、彼が日本とは深い関係を持っていたと言うことです。
それは、フフォイアマンは若くしてベルリン高等音楽院の教授となるのですが、その時に齋藤秀雄はフォイアマンからバッハの楽曲を学んでいるのです。そして、その教え方は自らの奏法を押しつけるのではなく、どのように演奏すべきかをフォイアマン自身も悩みながら弟子である齋藤秀雄にも考え抜くことを要求したのです。

これはとても重要なエピソードであり、彼が残したそれほどは多くない独奏曲を聴くと、それはただ端に楽譜をなぞったような演奏は一つもなく、ファイアマンでしか表現できないような音楽を常に求めていたことがよく分かるのです。
その事は、彼が1934年に初めての来日公演を行ったときに、日本コロンビアが録音を行った滝廉太郎や山田耕筰の作品の演奏にもよくあらわれています。
彼はそれらの作品をお座なりに西洋風の音楽として解釈するのではなく、その作品に潜んでいる日本的な情緒のようなものを見事なまで表現しているのです。

そう言えば、フルートのランパルも良く来日しては日本の音楽を録音していたのですが、このフォイアマンの演奏と較べるとはるかに西洋音楽の論理に従った音楽になっていることに気づきます。
なお、フォイアマンは1936年にももう一度来日して演奏会を行い、その時にもチャイコフスキーやメンデルスゾーン、シューマン、ショパンなどの小品集を録音しています。それらもまた、フォイアマンらしく良く考え抜かれた演奏であり、彼以外のチェリストから絶対には聞くことのできない音楽に仕上がっています。

彼とともに100万ドルトリオを結成していたハイフェッツはフォイアマンのことを「100年に一度の才能」と称え、ルービンシュタインもまたカザルスと比較した上で「全世代を通じて最も偉大なチェリスト」と称えたのも、決して早くして亡くなったフォイアマンへの社交的儀礼ではないのです。

それにしても、フォイアマンの痔の手術を担当した医者は絶対に許せないですね。
それから、ついでながら、この録音は日本コロンビアにとっても総力を挙げた録音だったようで、非常に高いクオリティでフォイアマンのチェロの響きを捉えています。観賞に堪えるというようなレベルではなくて、音楽の感動をしっかりと伝えるレベルに達しています。

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