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マルケヴィッチ(Igor Markevitch) |リムスキー=コルサコフ:「ロシアの復活祭」序曲 Op.36
リムスキー=コルサコフ:「ロシアの復活祭」序曲 Op.36
イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ラムルー管弦楽団 1957年11月12日録音
Rimsky-Korsakov:Russian Easter Festival Overture, Op.36
祈りと華やかさが交錯する音楽
リムスキー=コルサコフが最もやる気に満ちていたと思われるのが、1887年から88年にかけての頃でしょうか。
何故ならば、87年には「スペイン奇想曲」(Op.34)、その翌年には「シェヘラザード」(Op.35)、そして、序曲「ロシアの復活祭」(Op.36)が生み出されているのです。まさに、リムスキー=コルサコフを代表する素晴らしい管弦楽作品が立て続けに生み出された時期なのです。
もっとも、こういう賑やかな管弦楽曲を持ってリムスキー=コルサコフを代表させると、作曲家自身は不本意かもしれませんが、彼の真骨頂が「管弦楽法の大家」にあった事は事実ですから、まあ仕方のないところでしょう。
ただし、代表作と言っても、知名度という点では第1位「シェヘラザード」、第2位「スペイン奇想曲」、そして少し水は開けられながら第3位「ロシアの復活祭」となるでしょうから、認知度はいささか劣ると言わざるを得ません。
ただし、構成としては深い祈りに満ちた序奏部に三部構成が続くという分かりやすい音楽です。
「静」の序奏に続いて、「動(第1部)-静(第2部)-動(第3部)」という三部構成が続きますから、ロシア正教の聖歌に基づいた静かな祈りの部分とお祭りの華やかな雰囲気が交錯する感じです。
また、この作品はかなり規模の大きな楽器編成(木管:フルート 3・オーボエ 2・クラリネット 2・ファゴット 2/金管:ホルン 4・トランペット 2・トロンボーン 3・ューバ 1/弦楽5部/ハープ)なんですが、それ以外にとりわけ多種多様な打楽器が登場します。
打楽器
ティンパニ
トライアングル
スネアドラム
バスドラム
シンバル
グロッケン
タムタム
この中でも、最後の華麗なお祭り騒ぎの中で鳴り響くグロッケンの響きは非常に魅力的で、何でもないような部分かもしれませんが、コルサコフの腕の冴えを感じま
誇りともすべき、そして名誉ともなるべき演奏であり録音
1957年と言えば、マルケヴィッチがラムルー管の首席指揮者に就任した年です。おそらくは緩みきったオーケストラの未来をこの凄腕指揮者に託したのでしょう。当然の事ながら、地獄の「しごき」は覚悟していたでしょうし、その「覚悟」がまだ失われていない時機の演奏であり、録音だといえるかもしれません。
そう言えば、同じリムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲 op.34」をロンドン響と録音したときには、己の意図に反して反応の鈍いロンドン響に対して怒りを募らせたのか、途中から強引なまでのドライブによってオーケストラの首根っこをつかみ、最後のフィナーレに向かってはとんでもないことになっていました。
しかし、ここでのラムルー管はマルケヴィッチの指示に出来る限り応えようと奮闘努力しています。そして、そのラムルー管からこれだけの明晰な響きを生み出したマルケヴィッチの凄腕にも感嘆するしかありません。
確かに、これほどまでに知的で明晰なリムスキー=コルサコフはそう聞けるものではありません。そして、恐いなと思うのは、そう言う明晰さの底にロシアの大地に根ざした、ある種の狂気をはらんだような野蛮さがうごめいていることです。おそらく、その狂気のようなものこそがこのマルケヴィッチという音楽家の本質を形づくっているように思われます。
そして、その「狂気」に次第にオケのメンバーが耐えきれなくなって、最終的にはマルケヴィッチは指揮者の地位から追い出されることになるのですが、それもまたオケのメンバーからしてみればやむを得なかったことなのかもしれません。
しかしながら、彼らが残した数多くの演奏と録音の中でも、この「ロシアの復活祭」序曲は、ラムルー管にしてみれば誇りともすべき、そして名誉ともなるべき演奏であり録音だといえるでしょう。
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