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ジョコンダ・デ・ヴィート(Gioconda De Vito) |ヘンリー・パーセル:トリオ・ソナタ第9番ヘ長調 「黄金のソナタ」
ヘンリー・パーセル:トリオ・ソナタ第9番ヘ長調 「黄金のソナタ」
(Vn)ジョコンダ・デ・ヴィート:(Vn)イェフディ・メニューイン (Cello)ジョン・シャインボーン (Cembalo)レイモンド・レッパード 1955年7月4日&6日録音
Henry Purcell:Sonata in F major "Golden Sonata", Z.810 [1.Allegro]
Henry Purcell:Sonata in F major "Golden Sonata", Z.810 [2.Adagio]
Henry Purcell:Sonata in F major "Golden Sonata", Z.810 [3.Canzona (Allegro)]
Henry Purcell:Sonata in F major "Golden Sonata", Z.810 [4.Grave]
Henry Purcell:Sonata in F major "Golden Sonata", Z.810 [5.Allegro]
バロック時代の音楽には、人の耳に心地よい旋律や響きの基本パターンが全て含まれてしまっている
私には、ヘンデルやヴィヴァルディ、パーセルなどのバロック時代の、それもとりわけ彼らの器楽作品について一つずつ取り上げてその内容を詳しく紹介する能力はありません。しかしながら、そう言う作品を次々と聞いていると、そのどれもが人の耳には心地よく響くことだけは保障が出来ます。
そう言えば「聖書の中には物語のパターンの全てが含まれている(聖書とシェークスピアだったかな?)」と言う言葉を聞いたような記憶があります。
それになぞらえて言えば、バロック時代の音楽には、人の耳に心地よい旋律や響きの基本パターンが全て含まれてしまっているような気がするときがあります。とりわけ、複数の音が同時に鳴り響いたときに、それが人の耳に美しく響くパターンというのはこの時代に全て出尽くしてしまっているのではないでしょうか。。
それだけに、それ以降の作曲家稼業というものは大変なもので、その出尽くしたパターンに何か新しいものを付け加えるために様々な苦労を強いられているように見えるのです。とりわけ、時代が20世紀に入ってくると事情はさらに大変なことになって、なんだかわざと美しくない、それどころか意図的に不快な響きを多用することで新しさを追求しているのではないかと思うような局面もあらわれてきました。
とりわけ、昨今の作曲コンクールで優秀な成績をえた作品などは、誰がこんなものを聞きたいと思うのだろうか、と言うような音楽ばかりです。そんな事ならば、今までの積み重ねだけを使って人の心に響く音楽を作り出す方がよほど生産的だと思うのですが、それではコンクールでは相手にもされないのですね。
しかしながら、例えば今、多くの人が聞く流行の歌などと言うものは、良く聞いてみればその響きの組み合わせはバロック時代に作りあげられたものから一歩も出ていないように思えます。しかしながら、そう言う音楽こそが今の時代にあっても多くの人に支持されるのです。
そう言えば、佐村河内氏のゴーストライター事件がありましたが、あれは例え偽りであっても音楽に何らかの物語性を持たせて表舞台で出せば、多くの人は「古い音楽」故にそれを受け入れてしまう、もしくは容易に受け入れることが出来るということを如実に示した出来事ではなかったのでしょうか。
そして、そう言う音楽であれば、昨今の作曲コンクールで入賞できるくらいのスキルがあれば簡単に作曲できてしまうと言うことも示してくれました。
はてさて、クラシック音楽の創作という世界はいったいこれから何処へ向かって進んでいくのでしょうか。
「古さ」を味わうには十分な魅力を持っています
ジョコンダ・デ・ヴィートと言えば、真っ先にブラームスの音楽が浮かび、その次にバッハの音楽が思い浮かぶのでしょうか。
しかし、その短い録音歴の中で残された演奏を調べてみると、意外なことに、ヘンデルの器楽作品を数多く取り上げていて、それ以外にもパーセルの「黄金のソナタ」等も取り上げています。そして、彼らよりはもう少し後の時代になるのですが、シュポアやヴィオッティというヴァイオリンのヴィルトゥオーソが自分のために書いた作品も良く取り上げています。
こういう事だけで判断するのは軽率に過ぎるかもしれないのですが、こういうあたりにも彼女が「古い時代」に属するヴァイオリニストであることが窺われるような気がするのです。そして、そう言うタイプの演奏家であったが故に、バロック時代の器楽作品であっても、何処かロマン派の音楽のように聞こえてしまうのであって、それがまた私のような聞き手にとっては魅力的なのです。
それだけに、時代が下がるにつれて、彼女の演奏が次第に薄味になっていくのは残念でならないのです。
なお、1951年録音のヘンデルのヴァイオリン・ソナタはパチパチノイズ満載なのでそれだけで拒絶反応を示す人も多いかと思いますが、1949年録音バッハのヴァイオリン協奏曲と同じように、デ・ヴィートならでは濃厚な歌い回しがおさめられているので敢えてアップしました。
それと比べると、それ以外のトリオ・ソナタやパーセルの「黄金のソナタ」などはメニューインとの二重奏なので、私の駄耳ではどちらがどのパートを演奏しているのかを聞き分けることも出来ませんので、細かいことをあれこれと述べる資格はありません。しかし、全体的に見れば、51年の録音よりも薄味に聞こえます。
とは言え、それらも十分にロマンティックな演奏であり、「古さ」を味わうには十分な魅力を持っています。
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