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オッテルロー(Willem van Otterloo) |グリーグ:ノルウェー舞曲 Op.35
グリーグ:ノルウェー舞曲 Op.35
ウィレム・ヴァン・オッテルロー指揮 ハーグ・レジデンティ管弦楽団 1951年1月3日~5日録音
Grieg:Norwegian Dances, Op.35 [1.Allegro marcato]
Grieg:Norwegian Dances, Op.35 [2.Allegretto tranquillo e grazioso]
Grieg:Norwegian Dances, Op.35 [3.Allegro moderato alla Marcia]
Grieg:Norwegian Dances, Op.35 [4.Allegro molto]
リンネマンからの強い影響
グリーグは26歳の時に民謡蒐集家のリンネマンの手になる「ノリウェー山地の民謡と出会います。そこにはリンネマンが生涯をかけて集めた600曲近い民謡が収録されていました。そして、その民謡集に深い感銘を受けたグリーグは、それら民謡の素材を使って多くの作品を生み出していくことになります。
この、「ノルウェー舞曲」は、その様な試みの代表的なものと言えます。
ところが、この作品には面白い経緯があります。
それは、もとはこれを連弾用のピアノ作品として作曲し、後にオーケストラ用に編曲する予定だったのですが、そのオーケストラ編曲を他人に依頼してしまうのです。ピアノ用に書いた作品をオーケストレーションするときは自分で行うことを基本にしてグリーグですから、それは仮珍しいことだといえます。
ですから、この管弦楽用の「ノルウェー舞曲」の編曲は弦楽四重奏団のヴァイオリニストとしても活躍していたジットによって行われました。ジットはドイツで活躍して板音楽家ですから、そのあたりもこの作品の雰囲気が少しグリーグらしくない感じを受けさせる要因となっているのかもしれません。
なお各4曲は以下の民謡が素材となってます。
グリーグの音楽にそれなりのシンパシーを感じていたのでしょうか
私の手元にはッテルロー指揮 ハーグ・レジデンティ管弦楽団によるグリーグの録音が4つあります。「ペール・ギュント組曲」はそれなりにメジャーな作品なのですが、「ノルウェー舞曲」や「弦楽のための2つの悲しき旋律」あたりまで取り上げていたのにはいささか驚かされました。
昔の指揮者というのは、「何でも注文があれば振らせていただきます!」という今風の指揮者とは違って、自分の気に入った作品だけにレパートリーを絞る人が多かったのです。それだけに、グリーグの作品をこれだけ録音していたというのは、彼の芸域の広さと言うよりは、グリーグの音楽にそれなりのシンパシーを感じていた証拠かもしれません。
聞いてみて、面白いのはやはり「ペール・ギュント組曲」です。
何故ならば、その音悪は一般的な「ペール・ギュント組曲」と較べてみればかなり異色だからです。何よりも低声部を分厚く鳴らせたその響きで描かれていく物語は「北欧の物語」と言うよりはまるで「ゲルマンの森」の中で繰り広げられるような雰囲気です。
もっとも、あの有名な「朝の気分」の場面はサハラ砂漠だと言うことですから、何も物語の全てが北欧が展開するわけではないのですが、オッテルローのこの響きで聞かされるとまるでゲルマン神話を聞くような思いになります。
それから、組曲版では省かれてしまうことが多い「ソルヴェイグの歌」のソプラノ独唱もここでは省かれていません。「エルナ・スプーレンバーグ」というソプラノはあまり聞かない名前なのですが、その素朴さを感じさせる歌い回しは悪くはありません。
それと比べると、「ノルウェー舞曲」の方は随分とスッキリとしたひいきで造形されています。
そのあたりも、オッテルローなりの作品解釈に基づいてオケの響きをコントロールしていることが分かります。
ただし、このあたりは「録音」の問題もあるので軽々しくは断定できないのですが、これくらい違いがあれば、やはり作品にあった響きをオッテルローが要求していたことは間違いないでしょう。
「弦楽のための2つの悲しき旋律」はその中間あたりという感じで、真っ当と言えば一番真っ当な響きなのですが、それでも昨今の薄味のオケと較べれば随分と分厚い響きで造形しています。
西洋音楽というものは、あくまでも低声部が基本で、その土台の上に響きが積み重なっていくものだと思うので、わたしなどはこういう響きを聞くと嬉しくなってしまうのです。
この演奏を評価してください。
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