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ラヴェル:スペイン狂詩曲

ポール・パレー指揮 デトロイト交響楽団 1962年3月録音



Ravel:Rhapsodie espagnole [1.Prelude a la nuit. Tres modere]

Ravel:Rhapsodie espagnole [2.Malaguena. Assez vif]

Ravel:Rhapsodie espagnole [3.Habanera. Assez lent et d'un rythme las]

Ravel:Rhapsodie espagnole [4.Feria. Assez anim]


ラヴェルが初めて出版した本格的な管弦楽作品

もとはピアノの連弾用として作曲されたのですが、その後オーケストレーションをほどこし、さらには4曲をまとめて「組曲」として出版されました。
そして、管弦楽法の大家と言われるラヴェルの記念すべき管弦楽作品の第1号がこの作品です。

ラヴェルの母親はスペインはバスク地方の出身であり、ラヴェル自身もそのバスクの血を引き継いでいることを誇りにしていました。その意味でも、彼がオーケストラ作品の第1号にスペインを素材に選んだことは十分に納得がいきます。
そして、この後も「スペインの時」や「ボレロ」のように、スペイン素材を使った作品をたくさん作曲しています。

それにしても、この作品は間違いなくリムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」の華麗なオーケストレーションをまっすぐに受け継いでいます。
オーケストラ作品の第1号にして、すでに後年「オーケストレーションの天才」「管弦楽の魔術師」と呼ばれる片鱗・・・『複雑多様ではあるけれども繁雑難解ではない』という彼のモットーが実現されていることには驚かされます。

  1. 第1曲:Pre'lude a` la nuit(夜への前奏曲)

  2. 第2曲:Malaguena(マラゲーニャ)

  3. 第3曲:Habanera(ハバネラ)

  4. 第4曲:Feria(祭り)




デトロイト響と言うアメリカ的なものと、彼の中にあるフランス的なものとが絶妙なバランスで共存している

パレーという人の経歴を調べてみると録音活動の中心がデトロイト響だったために、ともすればアメリカの指揮者と誤解される事が多いようです。
しかし、彼は生まれも育ちもフランスであり、さらには、アメリカで長く活動しながら最後までほとんど英語を話せなかったという(^^;生粋のフランス人です。

ただし、そう言う誤解を招く要素は彼自身の演奏の中にも存在しました。
それは、パレーと言えば真っ先に思い浮かぶシューマンの交響曲における、あの強めのアタックと目を見張るような快速テンポによる攻撃的な音楽づくりです。
あれは、疑いもなく即物主義全盛のアメリカにおける典型的な音楽のスタイルでした。

今から思えば、あれはアメリカという社会に身を添わせていくための、随分と無理をしたスタイルだったのかも知れません。
その証拠に、取り上げる作品がラヴェルやドビュッシーなどのフランスものになると、「これぞ私の音楽」という雰囲気で実に楽しげに振る舞いはじめるからです。

ただし、そうはいってもフランスの指揮者がフランスのオケを指揮したときのように、粋な雰囲気は伝わってくるのだけれど中で何をやっているのか曖昧でよく分からないという音楽にはなっていません。
それはもうきわめて精細極まる音づくりです。
音と映像の違いはあるのですが、最近何かと話題になっている4Kとか8Kとか言われる超精細な世界がこの時代から既に存在していたのかと感心させられるほどです。

しかし、そこにはシューマンのような攻撃的な姿は全くありません。

そう言えば、パレーという人は1962年にデトロイト響の音楽監督を退いてからも元気に客演活動を続けるのですが、残念ながら目立つような録音活動は行っていません。
晩年のパレーはフランスのオケを中心に悠々自適で客演活動を続けたのですが、演奏も録音も冴えないものになっています。

やはり、デトロイト響と言うアメリカ的なものと、彼の中にあるフランス的なものとが絶妙なバランスで共存していてこそ彼の音楽は輝きをはなったのかも知れません。
そう言う意味では、この一連のラヴェルの録音こそはその最上の収穫の一つかも知れません。

なお、この中で「ラ・ヴァルス」に関しては「TAS Super LP List 2017」の中で最優秀録音盤に該当する「BEST OF THE BUNCH」に選ばれています。
選ばれているレコードは初期盤の「Mercury SR 90313」なのですが、そこに収録されている録音は以下の通りです。


  1. ラヴェル:スペイン狂詩曲

  2. ラヴェル:道化師の朝の歌

  3. ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ

  4. ラヴェル:ラ・ヴァルス

  5. イベール:寄港地



確かに、言われてみればきわめて複雑なオーケストレーションが施されているラヴェルの音楽を、まるで超精細なハイヴィジョン画像を見るかの如くにとらえているので聞きごたえは十分です。
そして、そう言う録音の優秀さは、プロコフィエフの「スキタイ組曲」のドラティ盤で感じてしまったような「虚しさ」とも無縁なので何の留保条件をつける必要もありません。

もちろん、録音が優秀なのは「ラ・ヴァルス」だけでなく、それ以外にものもきわめて優秀な録音です。
「亡き王女のためのパヴァーヌ」の冒頭のホルンの響きなどは極上と言っていいでしょう。「道化師の朝の歌」における飛び跳ねるような打楽器の燦めきも見事なものです。

この演奏を評価してください。

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