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ケンプ(Wilhelm Kempff) |Wilhelm Kempff Piano Recital
Wilhelm Kempff Piano Recital
(P)ヴィルヘルム・ケンプ 1955年5月録音
Handel:The Harmonius Blacksmith(from Harpsichord Suite No.5 in E Major, HWV 430)
Handel:Minuet(from Harpsichord Suite No.1 in B-flat major, HWV 434)
Couperin:Le carillon de Cithere(from Book III - Ordre 14eme de clavecin in D Major, Piece No. 7)
Rameau:Le Rappel des Oiseaux(from Pieces de clavecin -Suite in E Minor, 1724 rev. 1731)
Beethoven:Bagatelle in C Minor WoO. 52
Beethoven:Bagatelle in A Minor, WoO. 59 "Fur Elise"
収録作品
ヘンデル:調子の良い鍛冶屋(チェンバロ組曲 第1集 第5番 ホ長調 HWV430 「Air with 5 variations」)
「調子の良い鍛冶屋」というタイトルはヘンデル自身がつけたものではありません。
さらに言えば、ヘンデルが鍛冶屋の軒下で雨宿りをしていた時に、鍛冶屋がハンマーで金床を撃つ音にインスピレーションを得て旋律を思い付いたというエピソードも、後の時代の人が作りあげた「お話」です。
現代の研究では、この変奏曲はヘンデルのハンブルク時代に作曲した「シャコンヌ」をもとにして改訂したものと考えられています。
ヘンデル:メヌエット(チェンバロ組曲 第2集 第1番 変ロ長調 HWV434 「Minuet」)
第2集の方はあまり世に知られていないヘンデル初期作品をまとめたものになっています。このメヌエットもヘンデルの若い時代の作品だと考えられています。
クープラン:シテールの鐘
クープランは膨大なクラブサンのための音楽を書いたので、この「シテールの鐘は「クラヴサン曲集 第3巻 第14組曲」の第7曲という位置づけになります。(^^;
ギリシャ神話で「愛の巡礼地」となっているシテール島(キティラ島)で幸せなカップルを祝福する鐘が鳴り響きます。
ラモー:鳥のさえずり
「クラブサン曲集」の第6曲で、装飾音と16分音符の動きで鳥がさえずる様子を描いています。
ベートーヴェン:バガテル ハ短調 WoO.52
ピアノ・ソナタ第5番の第3楽章として構想されたと考えられています。
ベートーヴェン:バガテル イ短調 WoO.59「エリーゼのために」
ベートーベンをめぐる女性の一人だった「テレーゼ・マルファッティ」性が自筆譜を所持していました。
おそらく、ベートーベンから彼女に贈られたものと思われるのですが、1867年に公開されるときに、何故か「テレーゼのために」ではなくて「エリーゼのために」になってしまったと言われています。
そよ風で鳴るエオリアンハープのようなケンプの姿が刻み込まれています
このピアノの小品集は先に紹介したバッハのピアノ小品集の2年後に録音されています。
しかし、わずか2年しか隔たっていないのに、音楽の形はまるっきり別のものになっています。
そう感じる理由の一つは録音のクオリティの差です。
ただし、それははバッハの小品集がモノラル録音だったのに対して、この小品集の方はステレオ録音だという事に留まりません。本質的な違いはそう言う技術面の差ではなくて、ケンプが求める響きの質そのものにあるのです。
あのバッハの録音はピアノという楽器が身にまとってしまわざるをえないある種の官能性を意図的にはぎ取っていました。
それに対して、この小品集の方はそよ風で鳴るエオリアンハープのように、心の赴くままにピアノを演奏するケンプの姿が刻み込まれています。そして、それこそがケンプという名前から誰もが想像する響きなのです。
ですから、その違いの本質的な部分は録音のクオリティによってもたらされたのではなくて、そこでケンプが求めた響きの質の違いによるものだったのす。
バッハのアルバムではある種の痛ましさを感じさせる演奏だったものが、ここではそれとは別人のように、穏やで安らぎに満ちた音楽が展開されていきます。
そして、もう一つ気づくのは、彼の演奏スタイルが古い時代に属するものだと言うことです。
ヘンデルの「調子のよい鍛冶屋」をチェンバロで演奏したリヒターの録音を聞き比べてみると、そのスタイルは横に流れるべきラインを縦に積み直すという古いスタイルで貫かれていることに気づかされます。
おそらく、そのスタイルは「メヌエット」でも同じ事だと思うのですが、こちらに関してはそう言う「伝統」というものが持っている底力をまざまざと見せつけられます。いささか大袈裟な物言いになるかもしれないのですが、ピアノという楽器がこれほども人の心に寄り添った世界を構築できるものなのかと驚かされます。
そして、それがベートーベンのパガテルなどになると、ケンプらしい禁欲的な佇まいが崩れることはないのですが、それでもバッハの時のような痛ましい音楽とは全く別のものになっています。
年明け早々、かっちりとした大曲と向き合うのもいいのですが、珈琲でも飲みながら(私はお酒は飲まないので・・・^^;)ケンプのピアノでこのような小品に身をゆだねるの贅沢な時間の過ごし方ではないかと考える時代です。
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