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メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲 変ホ長調 Op.20

(Vn)ヤッシャ・ハイフェッツ&イスラエル・ベイカー&アーノルド・ベルニック&ジョゼフ・ステパンスキー (Va)ウィリアム・プリムローズ&ヴァージニア・マジェフスキ (Cello)グレゴール・ピアティゴルスキー&ガーボル・レイト 1961年8月24日&25日録音

Mendelssohn:Octette In E Flat Major, Op. 20 [1.Allegro Moderato Ma Con Fuoco]

Mendelssohn:Octette In E Flat Major, Op. 20 [2.Andante]

Mendelssohn:Octette In E Flat Major, Op. 20 [3.Scherzo: Allegro leggierissimo]

Mendelssohn:Octette In E Flat Major, Op. 20 [4.Presto]




よりパワフルで多彩な響きを求めた作品

この八重奏曲はメンデルスゾーン16才の時の作品です。
メンデルスゾーンにとってこの時期は、家庭内での演奏会のための作品からより公的な場で演奏される作品へと転換しはじめたときでした。
彼はこの前年に六重奏曲も書いているのですが、それもまたより編成の大きな多彩な響きを求めたものでした。

この六重奏曲は作品番号が「110」なので誤解を招くのですが、決してメンデルスゾーンの晩年の作品ではありません。そうではなくて、逆に若書きの作品であり、その出来に満足できなかったメンデルスゾーンが公開の場で演奏もしなければ出版もしなかったのです。しかし、メンデルスゾーンの仕儀に、埋もれてしまうのは惜しいと言うことで1868年にはじめて出版されたので「作品番号110」となってしまっているのです。

それにしても、ヴァイオリン、ヴィオラ2、チェロ、コントラバス、ピアノという6重奏曲の楽器編成はかなり風変わりです。
これに似た編成と言えばシューベルトの「ピアノ五重奏曲(鱒)」を思い出すのですが、メンデルスゾーンがこの作品を書いたときにはまだ出版されていませんでしたから、そこから影響を受けたとは考えられません。
お金持ちなので、楽器編成に制約があったとも考えられませんから、おそらくはより多彩な響きを求めた結果でしょう。

そう考えると、この八重奏曲という珍しい編成も方向性が見えてきます。
聞けば分かるように、編成だけ見れば弦楽四重奏二セット分です。実際、これに先駆けるものとしての八重奏曲は二つの弦楽四重奏による「二重奏」みたいな音楽が一般的だったようです。つまりは二つのカルテットが二重奏をするようなスタイルです。

しかし、メンデルスゾーンの八重奏曲ではヴァイオリン4、ヴィオラ2、チョロ2という8台の楽器が基本的には独立して動くように書かれています。ですから、それはもう室内楽という範疇を越えて管弦楽的な響きに近づいています。
そして、そこには家庭内でのこぢんまりとした演奏会のためではなくて、より広い場所での演奏会を意識して響きの華やかさを求めたことが伺えます。

実際、メンデルスゾーン自身もこの作品はよりパワフルに演奏するようにと要求をしていたようです。
その意味では、この第3楽章が時たま弦楽合奏で演奏されることもあるのですが、それは作曲家の願いに意外と通じたスタイルだったのかも知れません。

八重奏ともなると、さすがにハイフェッツの押し出しも影響を及ぼせる範囲は限られてきます。

八重奏ともなると、さすがにハイフェッツの押し出しも影響を及ぼせる範囲は限られてきます。


メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲 変ホ長調 Op.20

メンデルスゾーンの若書きの作品です。
綺麗さっぱり洗い出してみれば、さすがにシューベルトやフランクのようにズッシリと「砂金」が残るというわけにはいかないようで、その事は同時にこういうスタイルの演奏にとっては相性がいいとは言えないと言うことになります。

さらに言えば、八重奏ともなると、さすがにハイフェッツの押し出しも影響を及ぼせる範囲は限られてきます。
しかし、上手いことは上手いので、この演奏機会のそれほど多くない音楽の形を知る上では悪くない演奏家も知れません。


  1. 第1楽章:Allegro Moderato Ma Con Fuoco

  2. 第2楽章:Andante

  3. 第3楽章:Scherzo: Allegro leggierissimo

  4. 第4楽章:Presto



聞き手のことなどは殆ど斟酌することなく、おそらくは自分の楽しみのためだけに演奏している雰囲気が漂う演奏



ハイフェッツとピアティゴルスキーは気心の知れた仲を集めて、1961年から1974年にかけて、ハリウッドを中心に室内楽の演奏会を行いました。そして、その演奏会が評判を呼んだので、そこにレコード会社が乗り出してきてある程度まとまった形で録音が残ることになりました。
そして、あれこれ調べていて驚いたのは、その一連の録音は一番最初には3枚組の豪華ボックス盤としてリリースされていることです。

そのボックス盤に収録されていたのは以下の作品です。(RCA Victor LDS 6159)


  1. メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲 変ホ長調 Op.20

  2. フランク:ピアノ五重奏曲 ヘ短調

  3. シューベルト:弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956

  4. ブラームス:弦楽六重奏曲ト長調 Op.36

  5. モーツァルト:弦楽五重奏曲第4番 ト短調 K.516



こういうボックス盤が「新譜」として商業的に成り立ったのは、ハイフェッツとピアティゴルスキーの知名度に加えて、オーディオというものが趣味の王道であった時代背景もあったのでしょう。ピアノ曲やヴァイオリン・ソナタのような形式ならばまだしも、この手の室内楽作品は現在ではほんとに売れませんから、隔世の感があります。
おまけに、かなりの期待を持ってリリースされたにもかかわらず、この録音の評判はあまり芳しくなったようなのです。もっと率直に言えば不評だったのです。

その原因は演奏のスタイルにあります。
あの有名な「100万ドルトリオ」の時代から、ピアティゴルスキーは我の強いソリスト連中の調整役に徹していましたから、この室内楽演奏でも音楽的にはハイフェッツが主導権を握っています。

では、ここで貫かれているハイフェッツのスタイルとはどのようなものかと聞かれれば、それは一言で言えば、「ハードボイルド」と言うことです。

もうそれは「ザッハリヒカイト」という言葉を使うのははばかれるほどに、主観的な領域にまで踏み込んでいると思えるほどに変形させられた超辛口の語り口で貫かれています。
そのスタイルは、ハイフェッツという人が聞き手のことなどは殆ど斟酌することなく、おそらくは自分の楽しみのためだけに演奏している雰囲気が漂うのです。

ハイフェッツという人は60年間にわたって第一線で活躍し続けた人でした。
そう言う演奏家としての人生を支えたのは、驚くほどまでにストイックに自分を律し、コントロールしてきた「勁さ」でした。
ですから、この一連の演奏には、そう言うハイフェッツというヴァイオリニストが持っていた「勁さ」がそのまま刻み込まれているのす。

ですから、それは多くの聞き手が期待するような心地よさとは真逆のものであり、それ故にその超辛口の音楽は多くの聞き手から敬して遠ざけられてしまったのは仕方のないことでした。
ただし、その超辛口な語り口が半端なく上手いのです。

こういう五重奏とか六重奏というのは、常設の室内楽演奏の団体を母体として、そこに不足のパートをプラスして演奏されるのが普通です。
それをハイフェッツやピアティゴルスキーやプリムローズという「超」がつくほどの大物ソリストを軸に演奏するのですから、それはもう唖然とするほどの切れ味なのです。

そして、その「上手さ」はよく訓練された室内楽の団体から感じ取れる上手さ、所謂「緊密極まるアンサンブル」というようなレベルでの上手さではなくて、躍動するような音楽が艶やかな響きでもって明晰に語られていく生命力として感じ取れる類のものなのです。
こういう演奏は今となっては殆ど聞くことのできなくなった演奏だと言い切らねばならないのが悲しいことです。

そう思えば、こういう贅沢な顔ぶれで継続的に室内楽作品を、それも決してメジャーとも言えないような作品も含めて録音できた60年代というのはいい時代だったと言えます。

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