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ウラッハ(Leopold Wlach) |グリンカ:悲愴三重奏曲 ニ短調
グリンカ:悲愴三重奏曲 ニ短調
(cl)レオポルド・ウラッハ (fg)カール・エールベルガー (P)パウル・バドゥラ=スコダ 1949年録音 Glinka :Pathetic Trio in D minor [1.Allegro moderato]
Glinka :Pathetic Trio in D minor [2.Scherzo. Vivacissimo]
Glinka :Pathetic Trio in D minor [3.Largo]
Glinka :Pathetic Trio in D minor [4.Allegro con spirito]
イタリア留学の産物
この作品についてはほとんど詳しい情報がありません。
分かっていることはロシア音楽の祖とも言われるグリンカはお金持ちだったと言うこと、それ故に若い頃にイタリアに留学が出来たということ、そしてそのイタリア留学の時にこの作品を書いたと言うことくらいです。
あと、他人様が書いていることの受け売りですが、スコアには私は愛を、その苦しみ故に知った」と書かれているらしいです。
ただし、悲愴三重奏曲と命名されているわりには、あまり悲壮感はなく木管楽器の伸びやかでふっくらとした響きを十二分に生かした美しい音楽になっています。
楽器編成はクラリネットにバスーン(ファゴット)、そしてピアノという組み合わせですが、バスーン(ファゴット)の替わりにチェロを使うのは作曲者の想定の範囲内らしいです[For clarinet, bassoon(Violoncello) ando piano]。
しかし、実際の演奏の場でチェロではなくヴィオラ、クラリネットの替わりにヴァイオリンという組み合わせでも演奏されることがあるらしいです。
演奏した人の話によると、ピアノパートがショパン風で結構難しいらしくて、ここおの腕前が演奏の成否を大きく左右するそうです。
グリンカ:悲愴三重奏曲ニ短調
Allegro moderato
Scherzo. Vivacissimo
Largo
Allegro con spirito
ウィーン風への模索
我が国の古き都では何でもかんでも「京風」という定冠詞が氾濫しています。
「京風お汁粉」「京風うどん」「京風ラーメン」「京風おでん」あたりまでは我慢できても、「京風フレンチ」「京風イタリアン」なんてなことにになるともうわけが分かりません。
しかし、そんないい加減な「定冠詞」であっても「京風」とつけるとお値段も集客力も概ね2割り増しになるそうですから、「京都ブランド」の力たるや偉大なものです。
そして、音楽界における最大のブランドが「ウィーン風」であることには何の疑問もないでしょう。
「ウィーン風」という言葉は良くも悪くも使われる言葉です。
一般的には肯定的な言葉として使われるのですが、他方では、何でもかんでも「ウィーン風」とつければいい訳じゃねえよ、けっ!!なんてな文脈で使われたりもします。
それでも、「ウィーン風」のブランド力は偉大なのです。
「パリ風」や「ミラノ風」も音楽の世界では今ひとつインパクトがありません。「ベルリン風」でも・・・駄目でしょう。。
「ロンドン風」なんて言われても誰も聞きに行こうともしないでしょうし、「シカゴ風」「ボストン風」なんてな事になると客を散らしているようなものです。
ところが、何処の誰ともしれないメンバーを寄せ集めた臨時編成の怪しげなオケであっても「ウィーン」という定冠詞をつけて来日すれば客は集まるのですから、いやはや「ウィーン風」の威力たるや絶大なものがあります。
しかし、よく知られているように、この「ウィーン風」なるものをウィーンの演奏家が自覚したのは第2次大戦後だと言われています。
廃墟と化し街から立ち直るときに、彼らが世界標準で自分たちがアピールできるものは何なのか?と考えて見つけ出したものが「ウィーン風」の演奏だったのです。
もちろん、そう言う演奏スタイルは戦前から存在しました。
ワルターが戦前に録音したハイドンやシューベルトを聞くと、そこに紛れもない「ウィーン風」の音楽を感じます。しかし、おそらくワルター自身はその音楽を「ウィーン風」などと考えたこともなかったでしょう。そこにあるのは、昔から引き継がれた我らが音楽だけなのです。そう言うごく当たり前の音楽に自信はあったでしょうが、それが何か特別な力を持つ世界的ブランドになるなどとは考えもしなかったはずです。
話が横道にそれるのですが、地元の人間というのは地元に価値を見いださないものです。
この夏に松江市を訪れたのですが、観光客に大人気なのが松江城のお堀を遊覧船で巡る「堀川遊覧」です。城の堀というのは普通は石垣で囲まれているものなのですが、松江城は財政難だったために目につく場所以外は石垣が築かれずに土手のままで放置されていたそうです。
おかげで、その土手には木が生い茂り遊覧船で巡ると非常に雰囲気がいいのです。
しかし、聞くところによると、地元松江の人でこの遊覧船に乗ったことがある人はほとんどいないという「自虐ネタ」があるそうです。そんなお堀を遊覧船で回って何が楽しいの、と言うところなのでしょうが、地元の価値が一番分かっていないのが地元の人なのです。
ですから、このお堀を遊覧船で回るというアイデアを形にした人はとても偉いと思うのです。
話のスケールは全く違うのですが、ウィーンの音楽家にとっても当たり前だとしか思っていなかった演奏様式に価値を見いだし、その「価値」をしっかりと意識して形あるものに仕上げて「ウィーン風」というブランドに仕立て上げた人はもっと偉かったと思います。
では、その偉い人は誰だったのかと言えば、それは「彼」です、と特定することは不可能でしょう。
しかし、そう言う偉い人の中に、ウェストミンスターというアメリカの新興レーベルのもとでせっせと録音をした演奏家たちがいたことは間違いありません。
その大部分はウィーンフィルのメンバーだったわけですが、ウィーン三羽ガラスと言われたイェルク・デームスやパウル・バドゥラ=スコダ、フリードリヒ・グルダ等も大きな貢献をしたはずです。
この49年から始まったウェストミンスターでの録音を聞くとき、何とか世界標準の中で自分たちの強みを見いだそうとする彼らの強い意志を感じます。その録音からは新たなウィーン風への模索が感じられます。
そして、この強い意志があったからこそ、本当の意味で「ウィーン風」が光り輝いていた50年代を作り出す事ができたのでしょう。
しかしながら、そう言うご先祖様の余光に胡座をかいていると、何時しかこのブランドも光褪せるときがくるでしょう。(既に褪せてしまったという意見もあります・・・^^;)
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