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ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 Op.43

レナード・バーンスタイン指揮 (P)ゲーリー・グラフマン ニューヨーク・フィル 1963年2月3日録音

Rachmaninov:Rhapsody on a Theme of Paganini Op.43




Andante cantabileだけはとても有名です

この作品は「パガニーニの主題による狂詩曲」となっていますが、実質的には疑いもなくピアノコンチェルトです。
パガニーニのヴァイオリン曲『24の奇想曲』第24番「主題と変奏」の「主題」をネタにして、ラフマニノフらしいロマンティックな世界を繰り広げています。
とりわけ有名なのが、第18変奏のAndante cantabileです。
きっと、「パガニーニの主題による狂詩曲」なんて言われても全然ピントこない人でも、この部分を聞けばピンと来るはずです。テレビのコマーシャルやドラマのBGM、さらにはフィギアスケートの音楽などに、それこそ擦り切れるほどに使い回されています。

ただ、第18変奏なんて言われても、この作品はかなり自由に変奏されていますし、おまけにかんじんの主題が最初に出てこないという変速技を使っていますので、きっとよほど訓練された人でないとどこが18番目の変奏かは聞き当てられないはずです。
でも、大丈夫です。
あのメロディが出てくれば、誰でも思い当たります。

「パガニーニの主題による狂詩曲」なんて知らないよと言う人も、「あのメロディ」が出てくるまで辛抱強く聞き続けてください。

バーンスタインの人間的魅力が溢れた演奏


この録音もまた驚くほどに「録りっぱなし」状態です。もちろん、これは貶しているのではなく、最大の褒め言葉です。
そして、その生々しさのおかげで、若きレニーとそれに付き従うゲーリー・グラフマンやアンドレ・ワッツなどの、この上もなく活きの良い音楽が楽しめます。おそらく、バーンスタインはうるさいことは一切言わなかったような気がします。それは、録音陣に対しても同じで、もしかしたら「ここがちょっと・・・」みたいなことを録音担当者が声をかけても言っても、おそらくはプレイバックを聞きながら「最高の演奏じゃないか!」などと言って肩をぽんぽんと叩きながら陽気に帰っていったような姿が目に浮かびます。

おそらくこれもほぼ一発録りに近いでしょう。
本当に、この時代のバーンスタインの録音は、どれを聞いても彼が主導権を握っている限りは「外れ」はないようです。

しかし、その「主導権」が別の人物に移ると、途端に音楽も録音もつまらないものになります。
ただし、以下述べることはあくまでも私の主観にに基づくものであり、何らかの根拠に基づいたものではないので、それはお許しください。

こういう協奏曲の場合は、指揮者とソリストとの力関係が問題となります。
アントルモンやワッツ、そしてグラフマンのような場合だと、言うまでもなく主導権はバーンスタインの方にあります。そして、録音の確認に至るまで、全てバーンスタインが決めていたように聞こえます。
ところが、これが例えばフランチェスカッティのような場合だとどうでしょうか。

どう考えても曲線を多用して美音を持ち味にしているヴァイオリニストと、ひたすら直線的でマッチョな音楽を指向するバーンスタインとそりが合うとは思われません。ならば、ここで火花が散るというのはこの業界の通り相場なのですが、何故か人道主義者のバーンスタインはそう言ういざこざは好まずにさっと退いてしまうのです。
私にはそういう風に聞こえます。

さらには、録音に関しても、おそらくはフランチェスカッティからの要望だとは思うのですが、かなり手が加えられています。
おそらく、彼にしてみれば、自分のヴァイオリンが美しく響くことを要求したのでしょう。演奏に関しても、彼が気に入るように何度か取りなおし部分が多かったように聞こえます。

このコンビではシベリウスやブラームスのコンチェルト、ショーソンの「詩曲」、ラヴェルの「ツィガーヌ」、サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」等を録音していますが、そのどれを聞いても同じような印象を受けます。
結果として、バーンスタインの美質がかなりの部分スポイルされているのですが、不思議なことに彼はそう言うことにはあまり頓着しないようなのです。おそらく、一仕事終わった後にはいつものように上機嫌で帰っていったような気がするのです。

この録音がなされたときにフランチェスカッティは60歳前後、バーンスタインは40歳過ぎ。確かに年齢差はありますが、それでもバーンスタインの立ち位置を考えれば五分以上に自分を主張できたはずなのです。
しかし、何故かこの人はそう言うことをしないのです。
いつも上機嫌で、絶対に他人との間に諍いを引き起こさない、そして、最後はその人間的魅力でいつの間にか全員を味方につけて自分のペースに巻き込んでいく。ただ、フランチェスカッティとの録音を聞いていると、何処まで行っても平行線との人物とは、何処かで円満に手を切ると言うことはしたようですね。


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