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オイストラフ(David Oistrakh)|サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ 作品28
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ 作品28
Vn.オイストラフ ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 1955年12月14日録音
Satn-Saerns :序奏とロンド・カプリチオーソ 作品28
サラサーテとの合作?

この作品、調べてみるとサン=サーンスがサラサーテのために1863年、28歳の時に作曲した、と書かれているのですね。ところが、さらに調べてみると完成したのが5年後の1868年、さらに初演はそこからさらに4年後の1872年にサラサーテによって行われているのです。
ずいぶん悠長な話ですが、19世紀というのはそれくらいのスピード感だったのでしょうか。
しかし、聞くところによると、この作品はとても技巧的で難しそうに見えるのですが(実際、かなり難しいことは間違いないのですが)、「無理」を強いられることはなく、それなりのテクニックを持ったヴァイオリニストには気持ちよく演奏できる作品らしいです。そして、その「努力」が聞き手にしっかり伝わるという点では、演奏家にとっては「報われる」作品でもあるらしいです。
おそらく着手から完成までに5年の歳月がかかったのは、そう言う演奏上から来る要請をサラサーテが細かくサン=サーンスに伝え、それをサン=サーンスがスコアにしていくという「キャッチボール」に時間がかかったのではないでしょうか。(あくまでも、私の想像ですが・・・)
さて、この作品はタイトルのまんまで、前半の「序奏」と後半の「ロンド」に分かれています。
「序奏」は依頼者のサラサーテに敬意を表してかジプシー風のメランコリックな音楽が切々と歌われます。そして、この「歌」が弦楽器の「全奏」で断ち切られると後半の華やかな「ロンド」に突入します。おそらく、この一粒で二度おいしい構成がこの作品の人気を支えていると思います。
ロンド部分は「カプリチオーソ」と題されているように、まさに気まぐれに、様々な感情が入り乱れ絡み合います。ですから、ソリストによってこのあたりはかなりテンポが伸び縮みするようで、オケにとっては結構大変なようです。しかし、聞き手にとってはソリストがこの部分をどう料理するのか聞き所ではあります。
豊かな響きが楽しめます
オイストラフがアメリカにデビューした頃の録音です。オイストラフはよく言われているように、若い時代の切れ味の鋭い演奏と、晩年のゆったりとした演奏とで、別人のような姿を見せます。ただし、それは技術的な衰えからくるものではなくて、何か音楽に対する「価値観」が変わったかのような変貌ぶりだったように思えます。ですから、若い頃のオイストラフが好きな人は晩年の演奏が好きになれず、晩年のオイストラフが好きな人は若い頃の演奏を「発展途上」としか感じられないようです。
私などは、あまり難しいことは考えずに、それぞれのスタイルを楽しめばいいのに、などと思ってしまいます。
同時代のもう一方の雄であるハイフェッツはこういう小品に対して最高の適応力を示しましたが、オイストラフは基本的にベートーベンやブラームスのコンチェルトのような大作の方が向いていたようです。ハイフェッツによるこういう小品の完璧な演奏を思い出せば、いささか鈍重さを感じないわけではありませんが、まあ、巨匠の手すさびと思っておきましょう。
それに、大作では圧倒的にオイストラフの方に分があるのですから。
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