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セル(George Szell) |R.コルサコフ:スペイン奇想曲 Op.34
R.コルサコフ:スペイン奇想曲 Op.34
セル指揮 クリーブランド管弦楽団 1958年2月28日録音
R_Korsakov:スペイン奇想曲 Op.34
古今東西の数ある管弦楽曲の中の最高傑作の一つ
もともとはヴァイオリンのコンチェルト風の音楽として着想された作品ですが、最終的にはヴァイオリン独奏をふんだんに盛り込んだ輝かしいオーケストラ曲として完成されました。構成上は5楽章からなるんですが、連続して演奏されるために単一の管弦楽曲のように聞こえます。ただ、それぞれの楽章はホセ・インセンガなる人の手になるスペイン民謡集から主題が借用されていて(手を加えることもなく、そっくりそのまま!!)、その主題をコルサコフが自由に展開して仕上げる形をとっていますので、5楽章というのはそれなりに意味を持っていると言えます。
第1楽章:アルポラーダ(朝のセレナード)
スペインの輝かしい朝を思わせる派手な音楽です。
第2楽章:変奏曲(夕べの踊り)
第1楽章とは対照的な夕べの穏やかな雰囲気がただよう音楽です。
第3楽章:アルボラーダ
第1楽章と同じ主題ですが、半音高い変ロ長調で演奏され、オーケストレーションも変えられています。(ヴァイオリンとクラリネットが入れ替わっている・・・等)
第4楽章:ジプシーの歌
小太鼓の連打にヴァイオリンの技巧的な独奏とジプシー情緒満点の音楽です。
第5楽章:ファンダンゴ
カスタネットやタンブリンの打楽器のリズムに乗って情熱的な踊りが展開されます。フィナーレはまさに血管ブチ切れの迫力です。
おそらく、古今東西の数ある管弦楽曲の中の最高傑作の一つでしょう。この曲の初演に当たって、練習中の楽団員からたびたび拍手がわき起こってなかなか練習が進まなかったというエピソードも残っているほどです。
チャイコフスキーもこの作品を取り上げて「作曲者自身が現代一流の音楽家であると自認して良いほどの素晴らしい管弦楽法を見せる」と絶賛しています。
こういう作品を前にすると「精神性云々・・・」という言葉は虚しく聞こえるほどです。クラシック音楽を聞く楽しみの一つがこういう作品にもあることをマニアックなクラシック音楽ファンも確認する必要があるでしょう。
小品にも一切手を抜かないセルの凄味
どこかのサイトで、セルによるリムスキー・コルサコフの「スペイン奇想曲」の演奏を取り上げて「ロシア的情緒にかける」と書いていた人がいましたが、いったい「スペイン奇想曲」のどこに「ロシア的情緒」があるのだと、思わず首をひねってしまいました。
これは、例えばドヴォルザークのスラブ舞曲などにも言えることですが、こういう民族的情緒にあふれた作品を取り上げるときに、セルはその様な民族的雰囲気にもたれかかるようなことは絶対しなかったと言うことを思い出す必要があります。それは、一見するとスコアに書かれた音をひたすら精緻に再現しているだけのように聞こえますが、しかし、そう言う音楽を聞き進んでいくと、その精緻さの背景から深い民族的情緒が湧きだしてくるのを感じ取れるはずです。そして、そう言う深い情緒は変にしなをつけたり、こぶしをきかせたりすると、いとも簡単にすっ飛んでしまうような性質のものなのです。
そう言えば、昔の大指揮者は、こういう小品を相手に、結構本気で取り組んでいました。それは、媒体がSP盤という、一枚で精々4〜5分しか収録できない限界から、そう言う小品が「メイン」の作品となり得たという背景があります。今は、そう言う小品は大作を収録したCDの「埋め草」的な扱いしか受けていませんから、演奏の方も「とりあえず音にしました」程度の志の低いものばかりです。
そんな中にあって、意外と言えば意外かもしれませんが、セルはその様な小品に対しても常に本気で取り組んでいて、実に凄味のある演奏を聴かせてくれます。やはり、どんな作品を取り上げても、セルの完璧主義というのは揺るがなかったと言うことなのでしょう。
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最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
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よせられたコメント 2009-02-16:ものくろぶー 演奏会でやったことのある思い出の一曲です。
いつ聴いても好きな曲です。テンション上がって好きです。 2009-02-16:まーにゃ すばらしい名曲にふさわしい最高クラスの名演をアップロードしてくださり感謝しています。
何度も聞き返しています。
モノラル録音と思われますが、左チャンネルと右チャンネルで位相が逆転しており、イヤホンで聴くとはじめ気分が変になりました。
さいわいWalkmanには「サラウンド」機能があり、これを使いますと違和感が全然しなくなりました。 2010-10-28:mitikusa うきうきするようなリズムと明るい音。コルサコフの作品はシェエラザードくらいしか知らなかったのですが、眼から鱗です。 2011-06-20:Osamu Fukuda 初めてBlue Sky Labelを聴きました。今までずっとこの曲を探してきましたが、30年ほど前に、NHK FMで聴いたものかもと思うほど耳になじむもので、なつかしいものにであった思いで感動しました。
つい何回もきいてしまいました。
これからも引っ越しでなくしてしまったカセットテープで聴いていた曲を探してみようとおもっています。 2012-04-13:せいの 掛け値なしに楽しい曲の素晴らしい演奏です。聴いていてどきどきわくわくします。独墺の曲みたいに精神的な深みはないかもしれませんが、スペインの民族色も素敵だし、いいですね。理屈ぬきで楽しめます。こういう曲にはこういう精緻なアンサンブルが似合います。ほんとうにうまい。
このコンビにはラヴェルの「ダフニスとクロエ」第2組曲という名演もあります。こちらもすごいです。「全員の踊り」で腰を抜かすこと必至です。早くパブリックドメインの仲間入りをしてほしいものです。
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