バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻(BWV 862‐BWV 869)
(P)グールド 1962年6月7,8,14日&9月20,21日録音
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Prelude in A-flat major, BWV 862
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Fugue in A-flat major, BWV 862
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Prelude in G-sharp minor, BWV 863
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Fugue in G-sharp minor, BWV 863
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Prelude in A major, BWV 864
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Fugue in A major, BWV 864
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Prelude in A minor, BWV 865
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Fugue in A minor, BWV 865
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Prelude in B-flat major, BWV 866
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Fugue in B-flat major, BWV 866
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Prelude in B-flat minor, BWV 867
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Fugue in B-flat minor, BWV 867
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Preludein B major, BWV 868
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Fugue in B major, BWV 868
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Preludein B minor, BWV 869
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 Fugue in B minor, BWV 869
平均律クラヴィーア曲集 第1巻(BWV 862‐BWV 869)
成立過程やその歴史的位置づけ、楽曲の構造や分析などは私がここで屋上屋を重ねなくても、優れた解説がなされたサイトがありますのでそれをご覧ください。
平均律クラヴィーア曲集
平均律クラヴィーア曲集 第1巻
などです。
グールドはこの第1巻を8曲ずつ3つの部分に分けて録音(62年・63年・65年)しています。
BWV 846 前奏曲 - 4声のフーガ ハ長調(前奏曲はシャルル・グノーがアヴェ・マリアの伴奏として用いた。)
BWV 847 前奏曲 - 3声のフーガ ハ短調
BWV 848 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ハ長調
BWV 849 前奏曲 - 5声のフーガ 嬰ハ短調
BWV 850 前奏曲 - 4声のフーガ ニ長調
BWV 851 前奏曲 - 3声のフーガ ニ短調
BWV 852 前奏曲 - 3声のフーガ 変ホ長調
BWV 853 前奏曲 変ホ短調 - 3声のフーガ 嬰ニ短調
BWV 854 前奏曲 - 3声のフーガ ホ長調
BWV 855 前奏曲 - 2声のフーガ ホ短調
BWV 856 前奏曲 - 3声のフーガ ヘ長調
BWV 857 前奏曲 - 4声のフーガ ヘ短調
BWV 858 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ヘ長調
BWV 859 前奏曲 - 4声のフーガ 嬰ヘ短調
BWV 860 前奏曲 - 3声のフーガ ト長調
BWV 861 前奏曲 - 4声のフーガ ト短調
BWV 862 前奏曲 - 4声のフーガ 変イ長調
BWV 863 前奏曲 - 4声のフーガ 嬰ト短調
BWV 864 前奏曲 - 3声のフーガ イ長調
BWV 865 前奏曲 - 4声のフーガ イ短調
BWV 866 前奏曲 - 3声のフーガ 変ロ長調
BWV 867 前奏曲 - 5声のフーガ 変ロ短調
BWV 868 前奏曲 - 4声のフーガ ロ長調
BWV 869 前奏曲 - 4声のフーガ ロ短調
バッハがこの作品に託した職人としての腕の冴えを見事に提示してくれた演奏
このグールドの平均率の録音は長きにわたって「名盤」と言うことになっていますが、正直に告白すれば、これを聞いて心楽しくなったことはほとんどありません。楽しくなるどころか、聞けば聞くほど心が窮屈になっていくような音楽です。
では、つまらない演奏だなのかと問われれば、それもまた答えは「No!」であって、それだから困ってしまうのです。
バッハは対位法の人でした。
その対位法の人が腕によりをかけて作った作品の一つがこの2巻、48曲からなる「平均律クラヴィーア曲集」です。そのバッハがこの作品に託した職人としての腕の冴えをこれほどまで見事に提示してくれた演奏は他には思い当たりません。
グールドは実にたっぷりと時間をかけて入念に録音に臨んでいます。
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 No.17:Glenn Gould:Recorded on February 23 & March 5 & April 3, 1965
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 No.18:Glenn Gould:Recorded on March 31 & Auguest 9, 1965
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 No.19:Glenn Gould:Recorded on March 17 & Auguest 23, 1965
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 No.20:Glenn Gould:Recorded on March 17, 1965
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 No.21:Glenn Gould:Recorded on February 23 & March 5, 1965
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 No.22:Glenn Gould:Recorded on March 31 & April 23, 1965
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 No.23:Glenn Gould:Recorded on April 23, 1965
Bach:The Well-Tempered Clavier Book1 No.24:Glenn Gould:Recorded on June 1 & August 9, 1965
しかし、まさにその事において、聞くだけの人間にとっては何とも居心地の悪い緊張感を強いられる演奏になっているのです。
そう言えば、バッハこの曲集の第1巻にこのように記しています。
指導を求めて止まぬ音楽青年の利用と実用のため、又同様に既に今迄この研究を行ってきた人々に特別な娯楽として役立つために
そうなんですね、この作品は鍵盤楽器と真っ正面から向かい合って、その演奏の術を極めようという人に取ってこそ有益なのであって、ただただ音楽を聞いて楽しむだけの人間にとっては「喜び」に乏しい音楽なのです。ですから、多くのピアニストはこの作品を取り上げるときには、そこに何らかの「喜び」の要素を加味しようとするのです。
しかし、グールドのピアノはその様な「不純物」を一切拒否しています。
ですから、恐れ多い物言いを許してもらえるならば、部分的には結構退屈してしまう場面も多いのです。
しかし、退屈しながらも、バッハって凄いよなぁ、と思わせてくれるのがグールドのピアノなのです。
ただ、そう言う演奏でこういうバッハの音楽を聞いていると、ふと一つの疑問がよぎります。
それは、どうして西洋音楽というものは、1オクターブをたった12音だけで代表させて音楽として成り立つのだろう、いや、ほんとに成り立っているのだろうかという疑問です。
当たり前の話ですが、1オクターブと言えども、その間には無限の音程が存在します。
人間の声は、その無限に存在する音程を出そうと思えば出せます。
鳥や虫もまた、そう言う無限に存在する音程を駆使して囀り、そして鳴いているはずです。
ヴァイオリンなどの弦楽器も取りあえずは五線譜に書かれた音符を参考にしながら音を出しはしても、その音程には微妙なニュアンスの違いを加味することが可能です。
時には平均率から言えば調子外れの音をわざと出すことである種の効果を狙うことも可能です。
ところが、一度きちんと調律されてしまった鍵盤楽器というものは、演奏者がどれほどあがいても、1オクターブの中で使える音の数は12種類しか存在しません。
これは情報量で言えば無限に存在するデータを4ビットにも満たないデジタルデータとしてサンプリングしてしまっているようなものです。
これはどう考えても無理があるように思うのですが、その無理を成り立たせるためにバッハのような「理」が必要だったのではないかと思ってしまうのです。
しかし、音楽とはこのような「理」だけで成り立っているわけではなく、その原初の形まで遡れば、そんな「理」などは全く意識しないで人は好き勝手に歌っていたはずです。そして、その好き勝手に歌っていた歌の中にこそ音楽の魂があるとすれば、こういう音楽は随分と窮屈な音楽だと言うことになります。
そして、グールドがそう言うバッハの「理」を見事に描き出せば描き出すほど、その「理」を学ぶポジションにないものにとってはひたすら窮屈になっていくのです。
そして、その音楽の合間にグールドは調子外れの歌を歌っているのですが、それはもしかしたらグールドでさえそう言う窮屈さに耐えられなくなっているからではないかと疑ってしまいます。
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