クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

シューマン:子供の情景, Op.15

(P)クララ・ハスキル: 1955年5月録音





Schumann:子どもの情景 Op.15「見知らぬ国から」

Schumann:子どもの情景 Op.15「珍しいお話」

Schumann:子どもの情景 Op.15「鬼ごっこ」

Schumann:子どもの情景 Op.15「おねだり」

Schumann:子どもの情景 Op.15「幸せいっぱい」

Schumann:子どもの情景 Op.15「重大な出来事」

Schumann:子どもの情景 Op.15「トロイメライ」

Schumann:子どもの情景 Op.15「炉ばたにて」

Schumann:子どもの情景 Op.15「木馬の騎士」

Schumann:子どもの情景 Op.15「むきになって」

Schumann:子どもの情景 Op.15「怖がらせ」

Schumann:子どもの情景 Op.15「子どもは眠る」

Schumann:子どもの情景 Op.15「詩人は語る」


シューマンの最高傑作の一つ

シューマンはこの作品を決して子ども向きの「軽い作品」として書いたのではありません。それどころか、彼は「今僕は音楽いっぱいで張りさけそうな気がすることがよくあります。」と手紙に綴った時期にこの作品を書いたのです。実際、シューマン自身も「クライスレリアーナ」や「幻想曲」と並んぶ作品としてこの「子ども情景」を位置づけています。

それにしても、じっくりと聞いてみると、その限りないニュアンスの豊かさには驚かされます。
冒頭の「見知らぬ国から」では、6度上がって少しずつ降りてくるロマン派お約束の「憧れ」の音形にさっと心をつかまれてしまいます。それから、あまりにも有名な第7曲の「トロイメライ」、挙がって降りてくるだけ4小節で出来た旋律が8回繰り返されるだけの音楽。ところが、その一回一回が微妙にニュアンスが変化していつしか夢の中に誘われます。
同じ事が、第12曲の「子どもは眠る」にも言えます。うつらうつらとした短調の響きが一瞬ホ長調の明るさを経過して再び深い眠りの中に落ち込んでいく様の何と見事なことか!そして、最後の13曲目「詩人は語る」でまさに眠りの中の子ども夢が語られていきます。そして、その夢もいつしか深い眠りの中にとけ込んでいきます。

ピアノという楽器で、これほども繊細なニュアンスが表現できることを初めて発見したのは、疑いもなくこのシューマンだったことをこの作品は私たちに確信させてくれます。

* 1.見知らぬ国と人々について Von fremden La"ndern und Menschen(ト長調)
* 2.不思議なお話 Kuriose Geschichte(ニ長調)
* 3.鬼ごっこ Hasche-Mann(ロ短調)
* 4.おねだり Bittendes Kind(ニ長調)
* 5.十分に幸せ Glu"ckes genug(ニ長調)
* 6.重大な出来事 Wichtige Begebenheit(イ長調)
* 7.トロイメライ(夢) Tra"umerei(ヘ長調)
* 8.暖炉のそばで Am Kamin(ヘ長調)
* 9.木馬の騎士 Ritter vom Steckenpferd(ヘ長調)
* 10.むきになって Fast zu ernst(嬰ト短調)
* 11.怖がらせ Fu"rchtenmachen(ホ短調)
* 12.眠りに入る子供 Kind im Einschlummern(ホ短調)
* 13.詩人は語る Der Dichter spricht(ト長調)


繊細さの限り


ハスキルは若い頃はヴィルトゥオーゾを目指していたようですが、度重なる病は彼女のピアニストとしての人生を180度転換させました。特に、背骨の病によるコルセットの着用は、ヴィルトゥオーゾピアニストとして必要な「筋力」を彼女から奪ってしまいました。しかし、その事が、「力」ではなくて、無限とも思える微妙なタッチから信じがたいほどの豊かなニュアンスを作品の中から紡ぎ出す技を彼女に与えました。
もし、彼女が病を得ることなく、それなりのヴィルトゥオーゾピアニストとして活躍していれば、おそらく遠い昔にその名前は忘れ去られていたでしょう。あのチャップリンに、「生涯に出会った天才は3人だけ。アインシュタインとチャーチルと、後はピアニストのハスキル」と語らせる事もなかったでしょう。

ハスキルはこの作品をとても得意にしていたようで、コンサートではよく取り上げていたようです。ただし、心配なのは、MP3にエンコードしたファイルで、このハスキルの紡ぎ出す微妙なニュアンスがどこまで伝わるかです。このニュアンスが上手く伝わらないと、何となく「薄味な演奏」と思われないかと心配です。

よせられたコメント

2009-02-04:亜季


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