バルトーク:管弦楽のための協奏曲
フリッツ・ライナー指揮 ピッツバーグ交響楽団 1946年2月4&5日 録音
Bartok:管弦楽のための協奏曲「第1楽章」
Bartok:管弦楽のための協奏曲「第2楽章」
Bartok:管弦楽のための協奏曲「第3楽章」
Bartok:管弦楽のための協奏曲「第4楽章」
Bartok:管弦楽のための協奏曲「第5楽章」
ハンガリーの大平原に沈む真っ赤な夕陽
この管弦楽のための協奏曲の第3曲「エレジー」を聞くと、ハンガリーの大平原に沈む真っ赤な夕陽を思い出すと言ったのは誰だったでしょうか?それも、涙でにじんだ真っ赤な夕陽だと書いていたような気がします。
上手いことを言うものです。音楽を言葉で語るというのは難しいものですが、このように、あまりにも上手く言い当てた言葉と出会うとうれしくなってしまいます。そして、この第4曲「中断された間奏曲」もラプソディックな雰囲気を漂わせながらも、同時に何とも言えない苦い遊びとなっています。ユング君はこの音楽にも同じような光景が目に浮かびます。
バルトークが亡命したアメリカはシェーンベルグに代表されるような無調の音楽がもてはやされているときで、民族主義的な彼の音楽は時代遅れの音楽と思われていました。そのため、彼が手にした仕事は生きていくのも精一杯というもので、ヨーロッパ時代の彼の名声を知るものには信じがたいほどの冷遇で、その生活は貧窮を極めました。
そんなバルトークに援助の手をさしのべたのがボストン交響楽団の指揮者だったクーセヴィツキーでした。もちろんお金を援助するのでは、バルトークがそれを拒絶するのは明らかでしたから、作品を依頼するという形で援助の手をさしのべました。
そのおかげで、私たちは20世紀を代表するこの傑作「管弦楽のための協奏曲」を手にすることができました。(クーセヴィツキーに感謝!!)
一般的にアメリカに亡命してから作曲されたバルトークの作品は、ヨーロッパ時代のものと比べればはっきりと一線を画しています。その変化を専門家の中には「後退」ととらえる人もいて、ヨーロッパ時代の作品を持ってバルトークの頂点と主張します。確かにその気持ちは分からないではありませんが、ユング君は分かりやすくて、人の心の琴線にまっすぐ触れてくるようなアメリカ時代の作品が大好きです。
また、その様な変化はアメリカへの亡命で一層はっきりしたものとなってはいますが、亡命直前に書かれた「弦楽四重奏曲第6番」や「弦楽のためのディヴェルティメント」なども、それ以前の作品と比べればある種の分かりやすさを感じます。そして、聞こうとする意志と耳さえあれば、ロマン的な心情さえも十分に聞き取ることもできます。
亡命が一つのきっかけとなったことは確かでしょうが、その様な作品の変化は突然に訪れたものではなく、彼の作品の今までの延長線上にあるような気がするのですが、いかがなものでしょうか。
<追記>
一度アップしてあったのですが、その後作品そのものの著作権が切れていないことが判明したので急遽削除した音源です。ところが、最近調べてみると、なぜか著作権が消滅していることが判明しました。
バルトークに関わる戦時加算の適用はきわめて複雑なようです。(よく分かりません^^;)
でも、無事にこの作品もパブリックドメインの仲間入りをしたようなので、再びアップしておきます。
現代音楽としてのオケコン
1943年に完成した作品ですから、このライナーによる演奏はまさにバリバリの「現代音楽」として演奏されたオケコンだといえます。
それにしても、ピッツバーグ響の能力にも起因するのでしょうが、音にするのが精一杯という雰囲気です。この作品が持っているシャープなリズムの冴えというものは全く感じられませんし、テンポもどちらかといえばゆっくり気味で安全運転に徹した演奏です。
第3曲の「悲歌(エレジー)」も、どちらかといえば情緒に寄りかかった演奏であまりにも湿度が高すぎます。
ただ、作曲当時にこの作品がどのように受け取られていたかという興味深い事実はかいま見させてくれる演奏です。
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