クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 作品90

ヨッフム指揮 ベルリンフィル 1956年4月録音



Brahms:Symphony No.3 in F major , Op.90 [1.Allegro con brio]

Brahms:Symphony No.3 in F major , Op.90 [2.Andante]

Brahms:Symphony No.3 in F major , Op.90 [3.Poco allegretto]

Brahms:Symphony No.3 in F major , Op.90 [4.Allegro]


秋のシンフォニー

長らくブラームスの音楽が苦手だったのですが、その中でもこの第3番のシンフォニーはとりわけ苦手でした。
理由は簡単で、最終楽章になると眠ってしまうのです(^^;

今でこそ曲の最後がピアニシモで消えるように終わるというのは珍しくはないですが、ブラームスの時代にあってはかなり勇気のいることだったのではないでしょうか。某有名指揮者が日本の聴衆のことを「最初と最後だけドカーンとぶちかませばブラボーがとんでくる」と言い放っていましたが、確かに最後で華々しく盛り上がると聞き手にとってはそれなりの満足感が得られることは事実です。

そういうあざとい演奏効果をねらうことが不可能なだけに、演奏する側にとっても難しい作品だといえます。
第1楽章の勇壮な音楽ゆえにか、「ブラームスの英雄交響曲」と言われたりもするのに、また、第3楽章の「男の哀愁」が滲み出すような音楽も素敵なのに、「どうして最終楽章がこうなのよ?」と、いつも疑問に思っていました。

そんな時にふと気がついたのが、これは「秋のシンフォニー」だという思いです。(あー、また文学的解釈が始まったとあきれている人もいるでしょうが、まあおつきあいください)

この作品、実に明るく、そして華々しく開始されます。しかし、その明るさや華々しさが音楽が進むにつれてどんどん暗くなっていきます。明から暗へ、そして内へ内へと音楽は沈潜していきます。
そういう意味で、これは春でもなく夏でもなく、また枯れ果てた冬でもなく、盛りを過ぎて滅びへと向かっていく秋の音楽だと気づかされます。
そして、最終楽章で消えゆくように奏されるのは第一楽章の第1主題です。もちろん夏の盛りの華やかさではなく、静かに回想するように全曲を締めくくります。

そう思うと、最後が華々しいフィナーレで終わったんではすべてがぶち壊しになることは容易に納得ができます。人生の苦さをいっぱいに詰め込んだシンフォニーです。

フルトヴェングラーが君臨していた時代のベルリンフィル


1950年代の前半のベルリンフィルといえば、まさにフルトヴェングラーが「君臨」していた時代であり、フルトヴェングラーの魂が骨の髄にまで注入されていた時代でした。
ヨッフムによるブラームスの交響曲全集はまさにその様な時代に録音されたものですから、その影響を受けることは仕方のないことでした。

ですから、この録音をきけばフルトヴェングラーを思わず連想するような演奏に仕上がっています。もちろん音楽の造形に関してはフルトヴェングラーよりははるかに直線的ですが、オケの響きはまさにフルトヴェングラーです。

なお、この一連の録音月日はいささか不明瞭なのですが、調べた範囲では以下の通りで間違いないようです。


  1. ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 作品68:ベルリンフィル 1953年12月録音

  2. ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 作品73:ベルリンフィル 1951年5月録音

  3. ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 作品90:ベルリンフィル 1953年12月録音

  4. ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 作品98:ベルリンフィル 1956年4月録音



この第3番だけが少し間をおいて、フルトヴェングラーが亡くなってから録音されています。そのせいなのか、全体として(特に両端楽章)早めのテンポで直線的な造形が目立っています。第2楽章のたっぷりとした弦楽器の響きや、第3楽章の独特な表情付けもなかなかに聞かせてくれます。
そして何よりもフルトヴェングラー時代のベルリンフィルのこの響きは健在です。

おそらく、その様な聞かれ方はヨッフムにとっては不本意だとは思うのですが・・・。

<追記>
この録音はとっくの昔にアップしていると思っていたのですが、どうしたわけか取りこぼしていたようです。
とにかく、これでヨッフム&ベルリンフィルによる歴史的な全集をフォローすることが出来ました。

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