クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 作品98

カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1955年5月録音





Brahms:交響曲第4番 ホ短調 作品98 「第1楽章」

Brahms:交響曲第4番 ホ短調 作品98 「第2楽章」

Brahms:交響曲第4番 ホ短調 作品98 「第3楽章」

Brahms:交響曲第4番 ホ短調 作品98 「第4楽章」


とんでもない「へそ曲がり」の作品

ブラームスはあらゆる分野において保守的な人でした。そのためか、晩年には尊敬を受けながらも「もう時代遅れの人」という評価が一般的だったそうです。

 この第4番の交響曲はそういう世評にたいするブラームスの一つの解答だったといえます。
 形式的には「時代遅れ」どころか「時代錯誤」ともいうべき古い衣装をまとっています。とりわけ最終楽章に用いられた「パッサカリア」という形式はバッハのころでさえ「時代遅れ」であった形式です。
 それは、反論と言うよりは、もう「開き直り」と言うべきものでした。

 
しかし、それは同時に、ファッションのように形式だけは新しいものを追い求めながら、肝腎の中身は全く空疎な作品ばかりが生み出され、もてはやされることへの痛烈な皮肉でもあったはずです。

 この第4番の交響曲は、どの部分を取り上げても見事なまでにロマン派的なシンフォニーとして完成しています。
 冒頭の数小節を聞くだけで老境をむかえたブラームスの深いため息が伝わってきます。第2楽章の中間部で突然に光が射し込んでくるような長調への転調は何度聞いても感動的です。そして最終楽章にとりわけ深くにじみ出す諦念の苦さ!!

 それでいながら身にまとった衣装(形式)はとことん古めかしいのです。
 新しい形式ばかりを追い求めていた当時の音楽家たちはどのような思いでこの作品を聞いたでしょうか?

 控えめではあっても納得できない自分への批判に対する、これほどまでに鮮やかな反論はそうあるものではありません。

一切のはったりを排して音楽をあるがままに造形する


カラヤンにとってブラームスの交響曲は持ちネタの一つだったようです。とりわけ、第1番の交響曲は愛着があったようで、何度も録音を繰り返しています。
ただし、そのテイストは年を追うにつれて少しずつ変化していったようで、ある人は「60年代=素直、70年代=ドーピング、80年代=重厚」と評していました。
「70年代=ドーピング」はあまりにもピッタリの表現なので思わず笑ってしまいました。

では、ベルリン以前の50年代の演奏はどうかと聞かれると、これはもう「実に見事だった!」と答えざるを得ません1番だけでなく、それ以外の2番や4番においても正統派の見事な演奏を聴かせてくれています。

そして、このブラームスの演奏から受ける印象は以前にベートーベンについて書いたものと全く同一です。

「50年代の録音を聞くとトスカニーニよりはワインガルトナーなんかの方がより近しいのではないかと思ってしまいます。奇をてらわず音楽を自然な形で構築していく姿はそう言う先人たちの姿にだぶるものがあります。・・・ぼんやり聞いていると、この50年代のフィルハーモニア管弦楽団との録音は特徴のない面白味のないものに聞こえるかもしれません。しかし、一切のはったりを排して音楽をあるがままに造形することでこれほども説得力の強いものを作っていくというのはなかなかどうして、並大抵の力量ではありません。」

聞き終わった後に、いい音楽を聴かせてもらったなと言う充実感をもらえる演奏であることは事実です。
そして、それこそが「録音」という行為の何たるかを見据えていたカラヤンという男の凄さが表れだったのだと、最近になってつくづく感心させられている次第なのです。

よせられたコメント

2012-02-16:ヨシ様


2013-04-07:セル好き


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