シューマン:ピアノソナタ第1番
エミール・ギレリス 1948年録音
Schumann:ピアノソナタ第1番「第1楽章」
Schumann:ピアノソナタ第1番「第2楽章」
Schumann:ピアノソナタ第1番「第3楽章」
Schumann:ピアノソナタ第1番「第4楽章」
初期ピアノ作品の集大成
シューマンのピアノソナタというのはあまりピンとこない人が多いのではないでしょうか?実はユング君もその様な一人でして、お恥ずかしながら、「シューマンのピアノソナタなんてあったのかしら?」という感じでした。
しかし、調べてみると彼は生涯に3曲ものピアノソナタを書いているのです。
その中でも、この第1番のソナタは、幻想曲や変奏曲という形式で小品を中心として取り組んできたシューマンが、その総決算として取り組んだ本格的な形式を持った作品といえるそうです。
そう思って聞いてみると、魅力的な楽想が随所に現れてそれはそれでシューマンらしい魅力にあふれた作品なのですが、どこかぎこちなさを感じる事にも納得がいきます。ここでは、シューマンらしい情熱と幻想がソナタ形式という容れ物に押し込められて、いささか窮屈そうであることは否めません。そのため、「面白さはあるが、凝りすぎていて難しく、いささか混乱もしている」と評されたそうですが、その評価はこの作品の一面を的確に言い当てています。
しかし、第1楽章冒頭の序奏部や第2楽章の「アリア」などは実にシューマンらしいファンタジーにあふれた魅力的な音楽だと思います。
ギレリスって、「鋼鉄のピアニスト」なの?
ギレリスと言えば「鋼鉄のピアニスト」と言うのが代名詞みたいですが、こんな事を誰が言いだしたのでしょうか?おかげで、ユング君は長い間その言葉を信じてギレリスを敬遠してきました。
ユング君のそんな偏見を吹き飛ばしてくれたのが、セルと競演した69年のザルツブルグライブでした。もちろんユング君はセルをお目当てでCDを聞いたのですが、感心させられたのは繊細きわまりないギレリスのピアノでした。それは脳味噌が筋肉の「鋼鉄のピアニスト」とは正反対の演奏でした。
そして、それをきっかけにギレリスの演奏をあれこれと聞いているうちに、彼の最大の特徴は確固としたテクニックに裏打ちされた繊細さにこそあると思うようになりました。
本当に、ギレリスのことを「鋼鉄のピアニスト」とよんだ人物はどんな耳をしていたのかとボヤキの一つも出ますが、そんないい加減な評価を信じて長年彼を敬遠してきた自分のアホさ加減にもため息が出ます。
当たり前のことですが、信ずべきは自分の耳と感性であることをあらためて確認した次第です。
そして、48年のこの演奏ですが、ここでも彼の特徴である繊細な音楽づくりをたっぷりと楽しむことができます。
ただし、ネット上を検索してみると、この演奏のことを「力強い打鍵と鋼鉄のタッチでストレートに力でおしまくる」と評している人もいますから、最終判断は聞き手のあなたにお任せしましょう。(^^v
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