クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ヴィオッティ:ヴァイオリン協奏曲第22番イ短調 G.97(Viotti:Violin Concerto No.22 in A minor)

(Vn)ジョコンダ・デ・ヴィート:ヴィットリオ・グイ指揮 グラインドボーン祝祭管弦楽団 1953年9月23日~24日&10月10日録音(Gioconda de Vito:(Con)Vittorio Gui Glyndebourne Festival Orchestra Recorded on September 23-24 & Ovrober 10, 1953)



Viotti:Violin Concerto No.22 in A minor [1.Moderato]

Viotti:Violin Concerto No.22 in A minor [2.Adagio]

Viotti:Violin Concerto No.22 in A minor [3.Agitato assai]


ブラームスも虜にした一曲

モーツァルトやベートーヴェンに比べると、ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオッティという作曲家の名前は、あまり馴染みがないかもしれません。
しかし、彼の音楽は歴史に静かながらも絶大な影響を与えました。
特に、ヴィオッティの協奏曲第22番は均整のとれた形式美を重んじる「古典派」と、個人の感情や劇的な表現を追求する「ロマン派」という、二つの時代のちょうど中間に位置しています。

古典派らしい構成の中に、ロマン派の萌芽を感じさせる劇的な情緒と、心に深く染み入る旋律の美しさが共存しているところが何とも言えず魅力的です。
情熱的で劇的な第1楽章がロマン派の到来を予感させる一方で、続く第2楽章はオペラのアリアのように歌心あふれています

ブラームスはこの曲を熱愛していたようで、ベートーベンのコンチェルトよりヴィオッティのほうを高く評価していたそうです。伝えられるところでは、「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲」を作曲する際に、このヴィオッティの曲から直接的なインスピレーションを得たと言われています。
もっとも、そういうことがなければヨアヒムやイザイといったヴァイオリニストたちがこの曲のために自らカデンツァを残すはずもなかったのです。

ちなみに、この作品は今もなお、ヴァイオリンを学ぶ者にとって極めて重要なレパートリーであり続けています。
、抒情的な第2楽章では深い音楽的表現力が試され、焦燥感を伴う力強いフィナーレである第3楽章は奏者に華やかな技巧を要求します。
この曲は単なる技巧的な練習曲ではなく、深い音楽性を表現することも求められるのです。
だからこそ、若き音楽家たちが自らの技術と芸術性の両方を証明するための「登竜門」として、今なお多くのヴァイオリニストに愛され、挑戦され続けているのです。

「古さ」を味わうには十分な魅力を持っています


ジョコンダ・デ・ヴィートと言えば、真っ先にブラームスの音楽が浮かび、その次にバッハの音楽が思い浮かぶのでしょうか。
しかし、その短い録音歴の中で残された演奏を調べてみると、意外なことに、ヘンデルの器楽作品を数多く取り上げていて、それ以外にもパーセルの「黄金のソナタ」等も取り上げています。そして、彼らよりはもう少し後の時代になるのですが、シュポアやヴィオッティというヴァイオリンのヴィルトゥオーソが自分のために書いた作品も良く取り上げています。

こういう事だけで判断するのは軽率に過ぎるかもしれないのですが、こういうあたりにも彼女が「古い時代」に属するヴァイオリニストであることが窺われるような気がするのです。そして、そう言うタイプの演奏家であったが故に、バロック時代の器楽作品であっても、何処かロマン派の音楽のように聞こえてしまうのであって、それがまた私のような聞き手にとっては魅力的なのです。
それだけに、時代が下がるにつれて、彼女の演奏が次第に薄味になっていくのは残念でならないのです。

なお、1951年録音のヘンデルのヴァイオリン・ソナタはパチパチノイズ満載なのでそれだけで拒絶反応を示す人も多いかと思いますが、1949年録音バッハのヴァイオリン協奏曲と同じように、デ・ヴィートならでは濃厚な歌い回しがおさめられているので敢えてアップしました。
それと比べると、それ以外のトリオ・ソナタやパーセルの「黄金のソナタ」などはメニューインとの二重奏なので、私の駄耳ではどちらがどのパートを演奏しているのかを聞き分けることも出来ませんので、細かいことをあれこれと述べる資格はありません。しかし、全体的に見れば、51年の録音よりも薄味に聞こえます。
とは言え、それらも十分にロマンティックな演奏であり、「古さ」を味わうには十分な魅力を持っています。

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