レスピーギ:ローマの噴水(Respighi:Fontane Di Roma)
ジョン・バルビローリ指揮 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 1939年1月21日録音(John Barbirolli:Philharmonic-Symphony Of New York Recorded on January 21, 1939)
Respighi:Fontane Di Roma [1.La Fontana Di Valle Giulia All'alba]
Respighi:Fontane Di Roma [2.La Fontana Del Tritone Al Mattino]
Respighi:Fontane Di Roma [3.La Fontana Di Trevi Al Meriggio]
Respighi:Fontane Di Roma [4.La Fontana Di Villa Medici Al Tramonto]
オーケストレーションの達人

レスピーギという人、オーケストレーションの達人であることは間違いはありません。
聞こえるか、聞こえないかの微妙で繊細な響きから、おそらくは管弦楽曲史上最大の「ぶっちゃきサウンド」までを含んでいます。言ってみれば、マーラーの凶暴さとドビュッシーの繊細さが一つにまとまって、そして妙に高度なレベルで完成されています。
しかし、この作品、創作された年代を眺めてみると、色々な思いがわき上がってきます。
最初に作られたのが、「ローマの噴水」で1916年、次が「ローマの松」で1924年、そして「ローマの祭り」が1928年となっています。
要は後になるほど、「ぶっちゃき度」がアップしていき、最後の「ローマの祭り」の「主顕祭」ではピークに達します。そこには、最初に作られた「ローマの噴水」の繊細さはどこにもありません。
そのあまりの下品さに、これだけは録音しなかったカラヤンですが、分かるような気がします。
そう言えば、どこかの外来オケの指揮者がこんな事を言っていましたね。
「どんなにチンタラした演奏でも、最後にドカーンとぶっ放せば、日本の聴衆はそれだけでブラボーと叫んでくれる」
しかし、これは日本だけの現象ではないようです。
どうも最後がピアニッシモで終わる曲はプログラムにはかかりにくいようです。(例えば、ブラームスの3番。3楽章はあんなに有名なのに、他の3曲と比べると取り上げられる機会が大変少ないです。これは明らかに終楽章に責任があります)
この3部作の並びを見ていると、受けるためにはこうするしかないのよ!と言いたげなレスピーギの姿が想像されてしまいます。
それから、最後に余談ですが、レスピーギはローマ帝国の熱烈な賛美者だったそうです。この作品の変な魅力は、そういう超アナクロの時代劇が、最新のSFXを駆使して繰り広げられるような不思議なギャップにあることも事実です。
ローマの噴水
- 第1部 夜明けのジュリアの谷の噴水
- 第2部 朝のトリトンの噴水
- 第3部 真昼のトレヴィの噴水
- 第4部 たそがれのメディチ荘の噴水
SP盤時代の録音としては驚くほど解像度が高い
バルビローリにとってのアメリカ時代というのは謂われなき非難や中傷を浴びせかけられて、それほど良い思い出の少ない時期でした。しかし、幸いだったのは、その時期にRCAによって、かなりまとまったスタジオ録音を残せたことです。
そこには、若きバルビローリの覇気溢れる演奏が刻み込まれていて、あわせてニューヨーク・フィルの高い合奏能力もうかがい知ることが出来ます。
度の録音をとってもはち切れんばかりの若さに溢れていますし、ニューヨーク・フィルもバルビローリの指揮に応えて喜々として力一杯音を鳴り響かせています。
そして、何よりも特筆すべきは、この時代のRCAの録音技術の高さです。
SP盤と言えばパチパチノイズの奥から細部のはっきりしない雰囲気重視の音楽が聞こえてくるというのが通年です。
しかし、ここで聞くことのできる録音にはパチパチノイズはほとんどありませんし、一つ一つの楽器の分離も鮮やかで驚くほど解像度の高い録音が実現しています。
金管楽器の響きは華やかで高域に向けて突き抜けていきますし、ハープの響きも一切の誤魔化しなしに燦めきます。
唯一不満を感じるとすれば、独奏ヴァイオリンにもう少し艶やかさがあればと思うのですが、それは録音の責任なのか、演奏者の責任なのかは不明です。
ただし、弦楽合奏の響きも些か痩せすぎに聞こえますから、そのあたりは多少は犠牲にしてでも高解像度の録音を目指したのかもしれません。
80年以上も前の録音でこれだけのクオリティを実現していたのですから、最近の録音エンジニアはもっと頑張ってもらわないといけませんよね。
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