チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23
バーンスタイン指揮 (P)フィリップ・アントルモン ニューヨークフィル 1961年10月9日録音
Tchaikovsky:Concerto for Piano and Orchestra No.1 in B-flat minor Op.23 [1.Andante non troppo e molto maestoso?Allegro con spirito ]
Tchaikovsky:Concerto for Piano and Orchestra No.1 in B-flat minor Op.23 [2.Andantino semplice?Allegro vivace assai ]
Tchaikovsky:Concerto for Piano and Orchestra No.1 in B-flat minor Op.23 [3.Allegro con fuoco ]
ピアノ協奏曲の代名詞
ピアノ協奏曲の代名詞とも言える作品です。
おそらく、クラシック音楽などには全く興味のない人でもこの冒頭のメロディは知っているでしょう。普通の人が「ピアノ協奏曲」と聞いてイメージするのは、おそらくはこのチャイコフスキーかグリーグ、そしてベートーベンの皇帝あたりでしょうか。
それほどの有名曲でありながら、その生い立ちはよく知られているように不幸なものでした。
1874年、チャイコフスキーが自信を持って書き上げたこの作品をモスクワ音楽院初代校長であり、偉大なピアニストでもあったニコライ・ルービンシュタインに捧げようとしました。
ところがルービンシュタインは、「まったく無価値で、訂正不可能なほど拙劣な作品」と評価されてしまいます。深く尊敬していた先輩からの言葉だっただけに、この出来事はチャイコフスキーの心を深く傷つけました。
ヴァイオリン協奏曲と言い、このピアノ協奏曲と言い、実に不幸な作品です。
しかし、彼はこの作品をドイツの名指揮者ハンス・フォン・ビューローに捧げることを決心します。ビューローもこの曲を高く評価し、1875年10月にボストンで初演を行い大成功をおさめます。
この大成功の模様は電報ですぐさまチャイコフキーに伝えられ、それをきっかけとしてロシアでも急速に普及していきました。
第1楽章冒頭の長大な序奏部分が有名ですが、ロシア的叙情に溢れた第2楽章、激しい力感に溢れたロンド形式の第3楽章と聴き所満載の作品です。
影を潜める好き勝手
ラフマニノフのところで述べたことが、当然と言えば当然ですがここにもそっくり当てはまります。
非常に丁寧な演奏で、ケチをつけるような場面はほとんどありません。響きはクリアであり、力ずくで押し切るような場面は全くありません。
そう言う意味では、フレンチ・ピアニストの特徴である「明晰さ」を若い頃からしっかりと身につけていたピアニストであったことがよく分かります。
おそらく、何度もくり返し聞かれることを前提とした「レコード」への録音として考えれば申し分のない出来です。
ただし、ラフマニノフではバーンスタインが「やってくれて」いました。
そこで、ここでも何かを期待したのですが、これまた当然と言えば当然なのですが(^^;、そんな事が2度も続けて起こるはずもなく端正なアントルモンのピアノソロに端正なオーケストラ伴奏をつけて終わっています。
ラフマニノフが1960年の録音で、こちらはそれから約1年半後の録音ですから、さすがにあれはまずかったと反省したのでしょうか。
ただし、それはこの二つの協奏曲の録音に限った話ではなく、ニューヨークフィルの屋台骨を支えるようになると、昔の好き勝手は影を潜めます。残念と言えば残念な話なのですが、それもまたやむを得ないことなのでしょう。
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