ベートーベン:交響曲第7番 イ長調 作品92
サヴァリッシュ指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1962年1月録音
Beethoven:Symphony No.7 in A major Op.92 [1st movement]
Beethoven:Symphony No.7 in A major Op.92 [2nd movement]
Beethoven:Symphony No.7 in A major Op.92 [3rf movement]
Beethoven:Symphony No.7 in A major Op.92 [4th movement]
深くて、高い後期の世界への入り口
「不滅の恋人」は「アマデウス」と比べるとそれほど話題にもなりませんでしたし、映画の出来そのものもいささか落ちると言わなければなりません。しかし、いくつか印象的な場面もあります。(ユング君が特に気に入ったのは、クロイツェル・ソナタの効果的な使い方です。ユング君はこの曲が余りよく分からなかったのですが、この映画を見てすっかりお気に入りの曲になりました。これだけでも、映画を見た値打ちがあるというものです。)
それにしても、「アマデウス」でえがかれたモーツァルトもひどかったが、「不滅の恋人」でえがかれたベートーベンはそれに輪をかけたひどさでした。
第9で、「人類みな兄弟!!」と歌いあげた人間とは思えないほどに、「自分勝手」で「傲慢」、そしてどうしようもないほどの「エキセントリック」な人間としてえがかれていました。一部では、あまりにもひどすぎると言う声もあったようですが、ユング君は実像はもっとひどかったのではないかと思っています。
偉大な音楽家達というものは、その伝記を調べてみるとはっきり言って「人格破綻者」の集まりです。その人格破綻者の群の中でも、とびきりの破綻者がモーツァルトとベートーベンです。
最晩年のぼろ屑のような格好でお疾呼を垂れ流して地面にうずくまるベートーベンの姿は、そのような人格破綻者のなれの果てをえがいて見事なものでした。
不幸と幸せを足すとちょうど零になるのが人生だと言った人がいました。これを才能にあてはめると、何か偉大なものを生み出す人は、どこかで多くのものを犠牲にする必要があるのかもしれません。
この交響曲の第7番は、傑作の森と言われる実り豊かな中期の時期をくぐりぬけ、深刻なスランプに陥ったベートーベンが、その壁を突き破って、後期の重要な作品を生み出していく入り口にたたずむ作品です。
ここでは、単純きわまるリズム動機をもとに、かくも偉大なシンフォニーを構築するという離れ業を演じています。(この課題に対するもう一つの回答が第8交響曲です。)
特にこの第2楽章はその特徴のあるリズムの推進力によって、一つの楽章が生成発展してさまをまざまざと見せつけてくれます。
この楽章を「舞踏の祝祭」と呼んだのはワーグナーですが、やはり大したものです。
そしてベートーベンはこれ以後、凡人には伺うこともできないような「深くて」「高い」後期の世界へと分け入っていくことになります。
爽快で律儀なベートーベン
サヴァリッシュのベートーベンと言えば90年代にロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団との録音が有名ですが、個人的にはコンセルトヘボウの変貌(本音は「凋落」と言う言葉を使いたい)が感じ取れる録音だなぁといつも思っていました。そして、その変貌はサヴァリッシュの正確無比なバトンテクニックのおかげで私のような駄耳でも聞き取れるようにしてくれている感じがしたものです。
その後、シャイーの時代になったコンセルトヘボウの来日コンサートは私の人生における最悪の体験の一つになったものです。
それと比べれば、この60年に録音された田園から聞こえるコンセルトヘボウの響きはとても魅力的です。
サヴァリッシュと言えばN響との関係が深く、日本の聴衆にとってはあまりにもなじみが深かったために却って有り難みがなくて低い評価に甘んじた人でした。
これで演奏できなければ嘘だろう・・・と思うほどに正確無比な指揮ぶりも、この国では評価を下げることにつながっても上がることにはつながりませんでした。逆に、あれでどうして演奏できるんだろう・・・(^^;?と、いぶかしく思うようなマ○○ッチ先生なんかは巨匠と呼ばれたんですから不思議なものです。
ただ、残念に思うのは年を重ねても律儀さを失わず、我が儘にも傲慢にもならなかったこと。少しはヴァントを見習っていればと思うのですが、そう言うことこそ無い物ねだりというのでしょうね。
よせられたコメント 2015-01-07:ヨシ様 サヴァリッシュの若い頃の録音、好きです。ウィーン響との一連の録音も良いと思います。余談ですが…ゲヴァントハウス管の古き良き音色もある人によって変わってしまいましたね。残念です。
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