シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 「ライン」, Op.97
ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1947年1月20日録音
Schumann:Symphony No.3 in E-flat, Op.97, "Rheinische" [1.Lebhaft]
Schumann:Symphony No.3 in E-flat, Op.97, "Rheinische" [2.Scherzo]
Schumann:Symphony No.3 in E-flat, Op.97, "Rheinische" [3.Nicht schnell]
Schumann:Symphony No.3 in E-flat, Op.97, "Rheinische" [4.Feierlich]
Schumann:Symphony No.3 in E-flat, Op.97, "Rheinische" [5.Lebhaft]
祝典的な雰囲気にあふれた作品です

番号は3番ですが、作曲されたのは4曲の交響曲の中では一番最後に作曲されました。
1850年にシューマンはデュッセルドルフ市の音楽監督に就任し、ドレスデンからライン河畔にあるデュッセルドルフに居を移します。これを契機に作曲されたのがこの第3番の交響曲であるために一般に「ライン交響曲」と呼ばれますが、これはシューマン自身が与えた標題ではありません。
ただ、この作品に漂う民族的な舞曲を思わせる雰囲気がライン地方の雰囲気を彷彿させるという話もあるので(ユング君はその「ライン地方の雰囲気」と言うのがどういうものなのかは分からないのですが・・・)、それほど的はずれの標題ではないようです。
どこか内へ内へ沈み込んでいくようなシューマンの交響曲の中で、この第3番のシンフォニーだけは華やかさをふりまいてくれます。とりわけ最終楽章に響くファンファーレは祝祭的な雰囲気を盛り上げてくれます。それから、この前に置かれている第4楽章は全体の構成から見てみると、「間奏曲」のようなポジションにあることは明らかですが、実際に聞いてみるとこの楽章が一番充実した音楽のように思えます。最後に弦のトレモロにのって第1主題が壮麗な姿で復帰してくるところなどはゾクゾクしてしまいます。
こういう形式はベートーベンが確立した交響曲のお約束からは外れていることは明らかです。ベートーベンの交響曲の継承者はブラームスと言うことになっていて、その間に位置するシューマンは谷間の花みたいな扱いを受けているのですが、こういう作品を聞いてみると、確かに方向性が違うことが納得されます。
ミトロプーロスについて
ギリシャ生まれの指揮者で主にアメリカを中心に活躍した人でした。
ただ、ニューヨークフィルの音楽監督を務めて大失敗の結果に終わったためにその実力が過小評価されてきた不運な人でもあります。(彼は「怒らない」人で有名だったのですが、メジャーなオケではそれが裏目に出てしまったようです。ニューヨークでの失敗は彼の音楽的な能力によるものではなくて、人間的な優しさが足を引っ張ってしまったようです。ちょっとはセルを見習えば良かったのに・・・^^;)
最近になって彼の録音がまとまってリリースされるようになり再評価がすすめられています。
ミトロプーロスは一言で言えば練達の職人という言葉が一番ぴったり来る人でしょう。とにかく音楽を雰囲気で流して演奏するのが大嫌いで、実に克明に細部を描き分けていきます。そのためクールで冷たいという誤解を受けてきましたが、それは彼の手法に対する短絡的な反応であり、実際に耳を傾けてみると意外なほど人肌のぬくもりを感じられる音楽を作る人です。
また、彼のそのような手法から言って、規模の大きな複雑な作品に対しては驚くほどの適正を示す人でした。(ユング君が聞いた中では、マーラーの8番が素晴らしかったです)
このシューマンでも、彼らしいかっちりとした、克明なシューマンを聴かせてくれますし、この作品が持っている祝祭的な雰囲気にも不足はしません。
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