ハイドン:協奏交響曲 変ロ長調 Hob.I-105
フリッツ・ブッシュ指揮 デンマーク王立放送交響楽団 1951年1月26〜27日録音
Haydn:交響曲第105番 変ロ長調 「協奏交響曲」 「第1楽章」
Haydn:交響曲第105番 変ロ長調 「協奏交響曲」 「第2楽章」
Haydn:交響曲第105番 変ロ長調 「協奏交響曲」 「第3楽章」
当時流行していた形式
協奏交響曲というのはその名の通り協奏曲と交響曲の中間的な形式です。おそらくは、名人芸の披露が中心で音楽的に内容が稀薄な協奏曲ばかりが量産された事への反動だったのではないでしょうか。
18世紀の後半にはかなり流行した形式で、一番有名なのは言うまでもなくモーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 K364」です。そして、CDではこのハイドンの作品とカップリングされることが多いようですが、残念ながら認知度、人気とも大きな差があります。
どこかでも書いたのですが、こう言うところにハイドンの「悲しみ」を感じざるを得ません。
ハイドンがこのような作品を作るきっかけとなったのは、プロフェッショナル・シリーズという演奏会で、プレイエルの6つの独奏楽器のための協奏交響曲が人気を博していた事への対抗意識だったと伝えられています。
彼はもともと交響曲の中で個別の楽器を独奏風に扱うことがよくあったので、俺にも出来る!と言う思いがあったのではないでしょうか。実際、この作品の中では、ヴァイオリン,チェロ,オーボエ,ファゴットを見事に独奏楽器として扱っています。
また、ホーボーケン番号を見ると、「Hob.I-105」なので「交響曲第105番」という感じなので、実際そう呼ばれることもあるのですが、基本的には管弦楽の提示部分を従えて独奏ヴァイオリンが歌い始めるところなどを聞くと、基本的には協奏曲だと言えそうです。
ザロモン・セットと呼ばれる交響曲は次第にベートーベンの初期シンフォニーを思わせるような堂々たる雰囲気をそなえていくようになるのですが、その中にあってこの作品は実にかわいらしく寛いだ雰囲気を残しています。
もっと聞かれてもよい作品です。
何とか見つけ出したパブリック・ドメインの録音
もっと聞かれてもよい作品だと思います、と書いたものの、なかなかパブリック・ドメインとなった録音を見つけ出すことが出来ませんでした。そんな中で、何とか引っ張り出してきたのがこのブッシュによる録音です。
いささか録音が冴えないのですが、演奏そのものは奇を衒わない真っ直ぐなもので好感が持てます。
ブッシュと言えば、極めて直線的で堅いイメージがあるのですが、デンマーク王立放送交響楽団という田舎オケが実に鄙びた風情で、この両者が上手い具合に中和していい雰囲気を醸し出しています。
よせられたコメント
2022-05-11:コタロー
- これはお宝ものの曲ですね!ハイドンが協奏交響曲を作曲していたとは意外です。
フリッツ・ブッシュの指揮は初めて聴きますが、音楽が躍動しているのが魅力です。
ソリストとの呼吸もぴったり合って、聴いていて胸がすく演奏です。
もっと聴かれてよい音楽だと思います。
【最近の更新(10件)】
[2025-12-13]

R.コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」 作品35(Rimsky-Korsakov:Scheherazade, Op.35)
コンスタンティン・シルヴェストリ指揮 ボーンマス交響楽団 (Vn)ジェラルド・ジャーヴィス 1966年12月30-31日(録音(Constantin Silvestri:Bournemouth Symphony Orchestra (Vn)Gerald Jarvis Recorded on Dcember 30-31, 1966)
[2025-12-11]

ベートーヴェン:六重奏曲 変ホ長調, Op.71(Beethoven:Sextet in E-Flat Major, Op.71)
ウィーン・フィルハーモニー木管グループ:1950年録音(Vienna Philharmonic Wind Group:Recorded on 1950)
[2025-12-09]

ベートーベン:交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」作品125(歌唱:ルーマニア語)(Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125 "Choral")
ジョルジュ・ジョルジェスク指揮 ブカレスト・ジョルジェ・エネスク・フィルハーモニー管弦楽団 (S)Emilia (Ms)マルタ・ケスラー、(T)イオン・ピソ (Bass)マリウス・リンツラー (Chorus Master)ヴァシリ・パンテ ジョルジュ・エネスコ・フィル合唱団 (Chorus Master)カロル・リトヴィン ルーマニア放送合唱団 1961年8月録音(George Georgescu:Bucharest George Enescu Philharmonic Orchestra (S)Emilia Petrescu (Ms)Martha Kessler (T)Ion Piso (Bass)マMarius Rintzler (Chorus Master)Vasile Pintea Corul Filarmonicii "George Enescu”(Chorus Master) arol Litvin Corul Radioteleviziunii Romane Recorded on July, 1961)
[2025-12-07]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第23番「熱情」 ヘ短調 Op.57(Beethoven: Piano Sonata No.23 In F Minor, Op.57 "Appassionata")
(P)ハンス・リヒター=ハーザー 1955年11月録音(Hans Richter-Haaser:Recorded on November, 1955)
[2025-12-06]

ラヴェル:夜のガスパール(Ravel:Gaspard de la nuit)
(P)ジーナ・バッカウアー:(語り)サー・ジョン・ギールグッド 1964年6月録音(Gina Bachauer:(Read)Sir John Gielgud Recorded on June, 1964)
[2025-12-04]

フォーレ:夜想曲第7番 嬰ハ短調 作品74(Faure:Nocturne No.7 in C-sharp minor, Op.74)
(P)エリック・ハイドシェック:1960年10月21~22日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n October 21-22, 1960)
[2025-12-02]

ハイドン:弦楽四重奏曲第32番 ハ長調, Op.20, No.2, Hob.3:32(Haydn:String Quartet No.32 in C major, Op.20, No.2, Hob.3:32)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1931年12月2日録音(Pro Arte String Quartet:Recorded on December 2, 1931)
[2025-11-30]

チャイコフスキー:マンフレッド交響曲 ロ短調 作品58(Tchaikovsky:Manfred Symphony in B minor, Op.58)
コンスタンティン・シルヴェストリ指揮 フランス国立放送管弦楽団 1957年11月13日~16日&21日録音(Constantin Silvestri:French National Radio Orchestra Recorded on November 13-16&21, 1959)
[2025-11-28]

ベートーベン:交響曲第8番 ヘ長調 作品93(Beethoven:Symphony No.8 in F major ,Op.93)
ジョルジュ・ジョルジェスク指揮 ブカレスト・ジョルジェ・エネスク・フィルハーモニー管弦楽団 1961年5月録音(George Georgescu:Bucharest George Enescu Philharmonic Orchestra Recorded on May, 1961)
[2025-11-26]

ショパン: ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 Op.21(Chopin:Piano Concerto No.2 in F minor, Op.21)
(P)ジーナ・バッカウアー:アンタル・ドラティ指揮 ロンドン交響楽団 1964年6月録音(Gina Bachauer:(Con)Antal Dorati London Symphony Orchestra Recorded on June, 1964)