ベートーベン:弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 Op.131
ブッシュ弦楽四重奏団 1936年3月2日録音
Beethoven:String Quartet No.14 in C Sharp minor Op.131 [1.Adagio ma non troppo e molto espressivo]
Beethoven:String Quartet No.14 in C Sharp minor Op.131 [2.Allegro molto vivace]
Beethoven:String Quartet No.14 in C Sharp minor Op.131 [3.Allegro moderato]
Beethoven:String Quartet No.14 in C Sharp minor Op.131 [4.Andante ma non troppo e molto cantabile]
Beethoven:String Quartet No.14 in C Sharp minor Op.131 [5.Presto]
Beethoven:String Quartet No.14 in C Sharp minor Op.131 [6.Adagio quasi un poco andante]
Beethoven:String Quartet No.14 in C Sharp minor Op.131 [7.Allegro]
音楽は流れ来たり流れ去る

この作品は、一般的に「ガリツィン四重奏曲(12・13・15番)」と呼ばれている3曲の後に作曲されました。ですから、番号では15番となっている作品よりも後で作曲されたことになります。
ガリツィン四重奏曲はその名の通り、ガリツィン侯爵からの依頼があって作曲されたのですが、それに続くこの作品はその様な依頼があって書かれたものではなく、甥のカールのことで世話になったシュトゥッターハイム男爵への感謝のために作曲されました。作品を理解するのに、こんな事は何の役にも立たないことは言うまでもないことですが、しかしこの場合はいささか事情が異なります。
ベートーベンはガリツィン四重奏曲においても、少しずつ四重奏曲の定型を破っていきました。12番は通常の4楽章構成ですが、13番では5楽章となり、最後の15番では長大なアダージョ楽章を持つ6楽章構成にまで膨れ上がっています。しかし、依頼主のご機嫌伺いなどを一切機にする必要がなくなった14番では7楽章構成となり、さらにそれら全ての楽章が切れ目なしに演奏されると言う、まさに「異形」と呼ぶしかないような破格の構成を持つに至ります。
ここでのベートーベンは限りなく自由なように思えます。音楽は流れ来たり流れ去ります。
古典的名演
最近の代表的なカルテットであるアルバン・ベルク弦楽四重奏団などと比べると表現の古さは否めません。しかし、この演奏はベートーベンの最晩年を代表するこの異形の大作を前にして、一歩も逃げることなく真摯に向き合っています。全ての音がベートーベンと向き合って意味ある物としてならされています。
こういう言い方はあまりにも文学的にすぎることは承知していますが、完璧なアンサンブルであまりにも無機的に響く演奏、言葉をかえれば、書かれている内容を全く理解しようとしないにも関わらず、完璧な発音で朗読されるような虚しさとは対極にある演奏です。その意味で、今日おいても鑑賞の対象となりうる歴史的名演だと思います。
1937年の録音としては十分な音質です。
よせられたコメント
【最近の更新(10件)】
[2026-06-21]

アイルランド民謡「ミンストレル・ボーイ」(Rose Plays the Minstrel Boy & Others)
(T)クリストファー・リンチ:(Cello)レナード・ローズ (Flute)ジョン・ワマー (Harp)ローラ・ニューウェル 1947年録音(Christopher Lynch:(Cello)Leonard Rose (Flute)John Wummer (Harp)Laura Newell Recorded on 1947)
[2026-06-19]

ハイドン:弦楽四重奏曲第66番 ト長調, Op.64, No.4, Hob.3:66(Haydn:String Quartet in G major, Op.64, No.4, Hob.3:66)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1937年11月16日録音(Pro Arte String Quartet:Recorded on November 16, 1937)
[2026-06-17]

ベートーベン:リギーニのアリエッタ「恋人よ来たれ」による24の変奏曲 WoO 65(Beethoven:24 Variations on Righini's Arietta Venni amore, WoO 65)
(P)アルフレッド・ブレンデル 1958年&1960年録音(Alfred Brendel:Recorded on 1958 & 1960)
[2026-06-15]

ボッケリーニ:チェロ・ソナタ第1番 イ長調, G.13(Boccherini:Cello Sonata No. 1 in A Major, G. 13)
(Cell)エンリコ・マイナルディ:(P)カルロ・ゼッキ 1952年録音(Enrico Mainardi:(P)Carlo Zecchi Recorded on 1952)
[2026-06-13]

ベートーベン:ピアノ三重奏曲第7番 変ロ長調 「大公」 Op.97(Beethoven:Piano Trio No.7, Op.97 in B-flat major "Archduke")
(Vn)ダヴィド・オイストラフ (P)レフ・オボーリン (Cello)スヴィヤトスラフ・クヌシェヴィツキー 1958年5月9日~10日&12日録音((Vn)David Oistrakh:(P)Lev Oborin (Cello)Sviatoslav Knushevitsky Recorded on May 9-10&12, 1958)
[2026-06-11]

フランツ・シュミット:ピアノ五重奏曲(Schmidt:Piano Quintet in G major)
バリリ四重奏団:(P)イエルク・デムス 1952年録音(Barylli Quartet:(P)Jorg Demus Recorded on 1952)
[2026-06-09]

バッハ:教会カンタータ 「死人の中より甦りしイエス・キリストを覚えよ」 BWV67(J.S.Bach:Halt im Gedachtnis Jesum Christ, BWV 67)
ギュンター・ラミン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 他 1954年2月26日録音(Gunther Ramin:Gewandhausorchester Leipzig Thomanerchor Leipzig (Org)Hannes Kastner (A)Gertrud Wagner (T)Gert Lutze (Bass)BJohannes Oettel Recorded on February 26, 1954)
[2026-06-07]

エルガー:セレナーデ Op.20(Elgar:Serenade for String Orchestra in E minor, Op.20)
マルコム・サージェント指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1959年6月6日録音(Sir Malcolm Sargent:The Philharmonia Orchestra Recorded on June 6, 1959)
[2026-06-05]

ハイドン:弦楽四重奏曲 ハ長調, Hob.III:65(Haydn:String Quartet in C major, Hob.III:651)
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団:1954年録音(Vienna Concert House Quartet:Recorded on 1954)
[2026-06-03]

バッハ:教会カンタータ 「人々シバよりみな来たりて」 BWV65(J.S.Bach:ie werden aus Saba alle kommen, BWV 65)
ギュンター・ラミン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 (T)Gert Lutze (Bass)BJohannes Oettel 1952年1月11日録音(Gunther Ramin:Gewandhausorchester Leipzig Thomanerchor Leipzig (T)Gert Lutze (Bass)BJohannes Oettel Recorded on January 11, 1952)