クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

シューベルト:八重奏曲, Op.166 D.803(Schubert:Octet in F major, D.803)

ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団 (Clarinet)レオポルト・ウラッハ (Basson)カール・エールベルガー (Horn)ゴットフリート・フォン・フライベルク (Double bass)ヨーゼフ・ヘルマン 1951年録音(Vienna Konzerthaus Quartet:(Clarinet)Leopold Wlach (Basson)Karl Oehlberger (Horn)ottfried von Freiberg (Double bass)Joseph Hermann Recorded on 1951)



Schubert:Octet in F major, D.803 [1.Adagio - Allegro - Piu allegro]

Schubert:Octet in F major, D.803 [2.Adagio]

Schubert:Octet in F major, D.803 [3.Scherzo. Allegro vivace]

Schubert:Octet in F major, D.803 [4.Andante - Un poco piu mosso - Piu lento]

Schubert:Octet in F major, D.803 [5.Menuetto. Allegretto]

Schubert:Octet in F major, D.803 [6.Andante molto ? Allegro - Andante molto - Allegro molto]


長調の明るくて暖かい世界

八重奏曲は当時の著名なクラリネット奏者フェルディナント・トロイヤー伯爵の依頼に応じて作曲されました。依頼者のフェルディナント・トロイヤー伯爵はベートーヴェンの「七重奏曲」に似た作品を望んだようです。
結果として、ベートーヴェンの「七重奏曲」の編成(クラリネット、ファゴット、ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)にヴァイオリンを1本加えた8人編成の作品となりました。
シューベルト自身にとっては大規模な管弦楽曲への練習として作曲したのですが、6楽章からなる演奏時間約1時間の大作となりました。

同じ時期に弦楽四重奏曲「ロザムンデ」や「死と乙女」などが作曲されているのですが、それらの短調による哀調とは異なる長調の明るくて暖かい世界が展開されています。
8つの楽器が、まるで小さなオーケストラのように、対話や協調を繰り返しながら豊かな音色を作り出しています。しかしながら、明るく伸びやかな印象のなかに、シューベルト晩年の作品に通じる、時折顔を出す影のある憂愁が感じられます。


この八重奏曲は、ベートーヴェンの七重奏曲と同じく6楽章構成で、各楽章がシンフォニーのような構成になっています。


  1. アダージョ - アレグロ(Adagio - Allegro)
    序奏を持つソナタ形式の楽章。主要主題は、シューベルトの歌曲「さすらい人」のメロディを引用しています。

  2. アダージョ(Adagio)
    穏やかで抒情的な緩徐楽章。

  3. スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ(Scherzo: Allegro vivace
    溌溂としたウィーン風のスケルツォ楽章。

  4. アンダンテ - 変奏曲(Andante - Thema mit Variationen)
    シューベルトが1815年に作曲したオペラ「サラマンカの友人たち」から、愛の二重唱の旋律を主題とした変奏曲です。

  5. メヌエット:アレグレット(Menuetto: Allegretto)
    荘重で優雅な雰囲気を持つメヌエット楽章。

  6. アンダンテ・モルト - アレグロ(Andante molto - Allegro)
    悲劇的な雰囲気の序奏で始まり、再び陽気で躍動的な主題が現れる終楽章です。



街の辻で音楽を楽しげに演奏するような心


ウィーンの伝統として、「ハウスムジーク(家庭音楽)」の親密さを楽しむということがありました。
しかしウィーンフィルの金看板を背負わされたエリート四重奏団は次第にそういう親密さとは距離を置くようになります。彼らはいつしかジュリアードのようなハイテクカルテットを意識せざるを得なくなっていくのでした。

そのような中で、ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団はコンサートマスターが中心となったエリート四重奏団ではなかったので、「ウィーンフィル」という金管版を背負う必要はありませんでした。
第1ヴァイオリンのカンパーがリードしつつも、内声(第2ヴァイオリン、ヴィオラ)やチェロがそれを温かく支え、一体感のあるアンサンブルを構築していました。
彼らは優れた芸術的な資質は持っているものの、心の奥には街の辻で音楽を楽しげに演奏するような心を失う事はなかったのです。

彼らの演奏するハイドンやベートーベン、そしてモーツァルトなどには「我らが町の音楽」という強い自負に裏打ちされた自由さが溢れています。
そして、シューベルトの音楽などはもとからが「ハウスムジーク」なのですから、その愛称は抜群でした。

そこにウラッハのクラリネットやフライベルクのホルン、エールベルがーのファゴットなどが加わったこの八重奏曲はウィーンの香りただよう演奏です。
ウィーンの伝統である「ハウスムジーク(家庭音楽)」の親密さを大事にし続けた魅力があふれています。

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