若きベートーベンらしい明るくて活気に満ちた音楽であり、アダージョで始まる序奏も重くはなりません。「Adagio, ma non tanto e cantabile」と指定された第2楽章も若きベートーベンらしい情感に溢れた「歌」になっています。音楽に「深み」だけを求める人には物足りないのでしょうが、何となくこの時代の意気軒昂たるベートーベンの自画像、それもさっと一筆書きしたスケッチ風の自画像のように聞こえます。
作品9 第2番 ニ長調
おそらく3曲の中では一番マイナーで演奏される機会も一番少ない作品かと思われます。「アレグレットーアンダンテ・クアジ・アレグレットーアレグローアレグロ」という並びなので、作品全体が似たような雰囲気で進んでいってしまうのもその一因かもしれません。しかし、元気いっぱいの第1番とは対照的に内面的で静かな情緒に満ちた音楽になっています。また、第2楽章は「andante quasi allegretto(アンダンテと言ってもほとんどアレグレットに近い速さで)」と記されてはいても、その音楽には深い感情が込められています。
作品9 第3番 ハ短調
この作品9はブラウン伯爵に献呈されているのですが、ベートーベンは自信を持って「最高の作」として献呈しています。そして、その「最高の作」という自信の根拠となっているのが間違いなくこのハ短調の三重奏曲であったことは間違いないでしょう。
冒頭のユニゾンで演奏される下降音型は作品全体の重要な構成要素となっています。つまりは、この作品は前2作と較べても明らかに限られた素材だけに整理がされていて、より強固な構築性を実現しています。
また、第2楽章の「Adagio con espressione」では三重奏ならでは3声の絡み合いが美しい音楽になっています。そして、続く「Scherzo」楽章では3声ゆえの響きの薄さを感じさせませんし、高揚感に満ちた終楽章では三重奏曲の限界まで行き着いた感じがします。
それから、最後に録音に関する事なのですが、1957年のRCA録音なのに何故かモノラルです。ところが、そのモノラル録音が世界的な優秀録音のスタンダードとも言われる「TAS Super LP List」で「SPECIAL MERIT(優秀録音)」に選ばれているのです。その辺の不思議な状況についてはまた別のところでじっくり考えてみたいと思います。
ディーリアス:別れの歌(Delius:Songs of Farewell)
マルコム・サージェント指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 ロイヤル・コーラル・ソサエティ 1964年4月22日~23日録音(Sir Malcolm Sargent:Royal Philharmonic Orchestra Royal Choral Society Recorded on April 22, 1964)
エルガー:「ゲロンティアスの夢」第2部 (Elgar:The Dream Of Gerontius, Op. 38 Part2)
マルコム・サージェント指揮 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団 (T)リチャード・ルイス (MS)マージョリー・トーマス (Br)ジョン・キャメロン ハダースフィールド合唱協会 1954年11月4日~6日録音(Sir Malcolm Sargent:Liverpool Philharmonic Orchestra (T)Richard Lewis (MS)Marjorie Thomas (Br)John Cameron Huddersfield Choral Society Recorded on November 4-6, 1954)
[2026-07-24]
エルガー:「ゲロンティアスの夢」第1部 (Elgar:The Dream Of Gerontius, Op. 38 Part1)
マルコム・サージェント指揮 ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団 (T)リチャード・ルイス (MS)マージョリー・トーマス (Br)ジョン・キャメロン ハダースフィールド合唱協会 1954年11月4日~6日録音(Sir Malcolm Sargent:Liverpool Philharmonic Orchestra (T)Richard Lewis (MS)Marjorie Thomas (Br)John Cameron Huddersfield Choral Society Recorded on November 4-6, 1954)