チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 Op.23
(P)クリフォード・カーゾン ジョージ・セル指揮 ロンドン新交響楽団 1950年9月5日~7日&9日録音
Tchaikovsky:ピアノ協奏曲第1番「第1楽章」
Tchaikovsky:ピアノ協奏曲第1番「第2楽章」
Tchaikovsky:ピアノ協奏曲第1番「第3楽章」
ピアノ協奏曲の代名詞

ピアノ協奏曲の代名詞とも言える作品です。
おそらく、クラシック音楽などには全く興味のない人でもこの冒頭のメロディは知っているでしょう。普通の人が「ピアノ協奏曲」と聞いてイメージするのは、おそらくはこのチャイコフスキーかグリーグ、そしてベートーベンの皇帝あたりでしょうか。
それほどの有名曲でありながら、その生い立ちはよく知られているように不幸なものでした。
1874年、チャイコフスキーが自信を持って書き上げたこの作品をモスクワ音楽院初代校長であり、偉大なピアニストでもあったニコライ・ルービンシュタインに捧げようとしました。
ところがルービンシュタインは、「まったく無価値で、訂正不可能なほど拙劣な作品」と評価されてしまいます。深く尊敬していた先輩からの言葉だっただけに、この出来事はチャイコフスキーの心を深く傷つけました。
ヴァイオリン協奏曲と言い、このピアノ協奏曲と言い、実に不幸な作品です。
しかし、彼はこの作品をドイツの名指揮者ハンス・フォン・ビューローに捧げることを決心します。ビューローもこの曲を高く評価し、1875年10月にボストンで初演を行い大成功をおさめます。
この大成功の模様は電報ですぐさまチャイコフキーに伝えられ、それをきっかけとしてロシアでも急速に普及していきました。
第1楽章冒頭の長大な序奏部分が有名ですが、ロシア的叙情に溢れた第2楽章、激しい力感に溢れたロンド形式の第3楽章と聴き所満載の作品です。
端正で気品あふれる演奏
チャイコフスキーのピアノコンチェルトというと爆裂型の演奏がもてはやされる傾向があります。そのために、ピアニストの方も爆裂ぶりを競い合うような側面があることは否めません。
例えば最終楽章では、ピアニストが自らのテクニックを誇示するべく、すさまじいテンポで弾きとばしてオケを置いてけぼりにするなんて事はよくある話です。
ところが、ここでお聞きいただいているセルとカーゾンによるコンビの演奏は、そう言うたぐいの演奏とは対極にあるものです。大向こうをうならせるようなパフォーマンスには全く興味がないようで、ひたすら端正で気品あふれるチャイコンに仕上がっています。セルとカーゾンというのはよくよく馬が合うコンビだったようです。
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