クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

リスト:ピアノ協奏曲第2番 イ長調, S.125(Liszt:Piano Concerto No.2 in A major S.125)

(P)レナード・ペナリオ:ルネ・レイボヴィッツ指揮 ロンドン交響楽団 1963年3月12日~18日録音(Leonard Pennario:(Con)Rene Leibowit London Symphony Orchestra Recorded on March 12-18, 1963)



Liszt:Piano Concerto No.2 in A major S.125 [1.Adagio sostenuto assai]

Liszt:Piano Concerto No.2 in A major S.125 [2.Allegro agitato assai]

Liszt:Piano Concerto No.2 in A major S.125 [3.Allegro moderato]

Liszt:Piano Concerto No.2 in A major S.125 [4.Allegro deciso]

Liszt:Piano Concerto No.2 in A major S.125 [5.Marziale un poco meno allegro]

Liszt:Piano Concerto No.2 in A major S.125 [6.Allegro animato]


ある意味ではリストが求めたものがもっともはっきりと具現化された作品

19世紀においてはピアノの王者としてヨーロッパに君臨したリストですが、その評価は下がる一方であり、現在では「ラ・カンパネラ」とか「愛の夢」のようなごく限られたピアノ曲しかレパートリーにあがらなくなってしまいました。(と、書いたのは随分昔のことで、最近は再評価と言うよりは、彼の作品が持つ華やかさゆえにかコンサートのメインプログラムとなることも増えてきています。)

ただし、この傾向は今に始まったことではなくて、20世紀に入った頃にはすでに演奏される作品の範囲は限られたものとなっていたようです。
そのことは、一部の方からリストに対するリクエストをいただいて、何かいい音源はないものかと探してみて、あまりの数の少なさに驚かされたことからも、その不人気ぶりを確認することができました。(これもまた、昔の一文で、探せば結構あるもの・・・でした。)

このピアノ協奏曲の第2番も今ではほとんど演奏される機会のないマイナーな作品となっています。

第1番に関してはそれでもときおりレパートリーにあがることもあるのですが、この2番に関しては1番のカップリングとして埋め合わせ的に収録されるような風情は否定し切れません。

しかし、あのバルトークがリストを高く評価していたことはあまり知られていない事実です。
砂糖菓子のようにひたすら甘くてロマンティックなピアノ音楽ばかりを書いたと思われがちなリストですが、バルトークはその中にドビュッシーや新ウィーン学派の音楽につながるような先見性を見つけていたようです。

今後、リストに対する再評価が進むのかどうかは分かりませんが、今のような「ラ・カンパネラ」とか「愛の夢」だけの作曲家みたいな認識のされ方はいささかひどすぎるかもしれません。

この第2番とナンバーリングされたピアノ協奏曲は1839年に創作をされているのですが、その後何度も補筆が加えられ、1848年には「交響的協奏曲」という名称を与えられています。
たしかに、単一楽章で構成されたこの作品はピアノ付きの交響詩という雰囲気をもっています。

その後も、この作品は楽譜として出版される1863年まで、事あるごとにリストが手を加えつづけたようで、ある意味ではリストが求めたものがもっともはっきりと具現化された作品だといえます。
それぞれに好みはあるでしょうが、完成度という点では第1番の協奏曲よりも頭一つ抜けているのではないでしょうか。

常に「軽み」を失わない


「レナード・ペナリオ」というピアニストは小澤征爾が伴奏を務めた時のソリストとして一度取り上げた時に初めて出会ったのですが、恥ずかしながら「レナード・ペナリオって、誰れ?」というかんじでした。
調べてみれば、12歳でグリーグのピアノ協奏曲をダラス交響楽団と共演して神童として名を馳せたピアニストらしいです。さらに、「ラフマニノフ追悼演奏会」で協奏曲の第2番も演奏し、その後は彼の「ピアノ協奏曲全曲」と「パガニーニの主題による狂詩曲」の録音を初めて成し遂げた人物として記憶されています。

リヒャルト・シュトラウスの「ブルレスケ」の最後のカデンツァなどを聞けば、大変なテクニックを持ったピアニストであることが分かります。
20歳前後にしてその才能を全面的に開花させ、その後も「只の人」になることなく長く活動を続けてきたことがよく分かる録音でした。

しかし、何故か今のこの国から眺めてみれば、少なくない人(私も含めて)にとっては「レナード・ペナリオって、誰れ?」というかんじになっているのですから不思議です。
それも、早くに指揮者に転向したとか、教育活動に舵を切ったとか、さらには早くして燃え尽きたというわけでもなく1990年代まで精力的に活動していたらしいので、不思議と言えば不思議です。

ただし、彼の録音をある程度まとめて聞いてみると、何となくその理由が分かるような気がします。
それは、ソリストとして必要な「オレがオレが!」という我欲が非常に少ない人だったと言うことです。
特に、室内楽などになるといつも一歩引くような感じで全体のバランスをとることに力を尽くし、自分が目立とうという気持ちは全くなかったことがよく分かります。
ハイフェッツが室内楽のパートナーとして彼をよく指名したらしいのですが、「なるほど、さもありなん」と思わさせられたものです。

そして、それは協奏曲のソリストとしてもスタンスは変わらず、己のテクニックを「どうだ!」と言わんばかりに誇示することはなく、常にどこか飄々とした感じで、難しいところもさも簡単そうにサラリと演奏してしまうのです。
言葉をかえれば、常に軽み(「かろみ」と読んでください)を失わないのです。

しかしながら、そういう軽みのある楽しい音楽として演奏をしてくれる人は、この国では何故か軽く見られてしまうのです。
しかし、年を重ねてくると、そういう演奏に心安らぐのです。

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