モーツァルト:ピアノ協奏曲第19番 ヘ長調「第2戴冠式」 k.459
(P)クララ・ハスキル:ヘンリー・スヴァボダ指揮 ヴェンタートゥール交響楽団 1950年9月録音
Mozart:ピアノ協奏曲第19番「第1楽章」
Mozart:ピアノ協奏曲第19番「第2楽章」
Mozart:ピアノ協奏曲第19番「第3楽章」
もう一つの「戴冠式」コンチェルト
ザルツブルグの大司教と決定的に対立し、辞表をたたきつけてウィーンへ赴いたモーツァルトにとって、唯一の頼みはピアニストとしての名声でした。
神童モーツァルトの名声は衰えていなかったようで、多くの貴族が彼の演奏を聴くために招待してくれました。やがて、自らも音楽会を開くようになっていくのですが、最大の目玉はピアノ協奏曲と即興の変奏曲でした。
最初はザルツブルグ時代の旧作を演奏していたのですが、やがて少しずつ新作を発表するようになり、それがまた音楽会の人気を盛り上げていきました。
作品番号で言うと、K413(11番)からK459(19番)までがその系列に含まれる作品です。
売れっ子音楽家として、お客の要望にあわせてメロディラインのきれいな、口当たりのいい作品ばかりです。
そう言うこともあって、K466(20番 ニ短調)以降の作品と比べれば低く評価されてしまう作品群ですが、これはこれでエンターテナーとしても一流であったモーツァルトを味わうには最良の作品です。
確かに後期の作品と比べれば深みに欠けますし、モーツァルトと言えば「疾走する悲しみ」だ!と言う人にとっては物足りないかもしれませんが、年をとってくるとこういう作品にこそ愛情を感じてくるから不思議です。
ちなみに、このK459(第19番)は第1楽章がマーチ風の音楽であり、最終楽章も浮き立つようなロンドなので、後年レオポルド2世の戴冠式でも演奏されました。その時は、オケにトランペットとティンパニも追加されてさらに華やかなものになったと伝えられています。
その時のパート譜が失われているのは残念ですが、エンターテナーとしてのモーツァルトを味わうにはこの編成でも充分でしょう。
菩薩の手 〜クララ・ハスキル
こう表現した人がいました。
確かに、彼女の演奏で救われた人は数限りなくいるでしょうから、彼女の手は菩薩かもしれません。
それにしてもハスキルとは不思議な人です。
彼女にしか出せない微妙なニュアンスによって、音楽はどの一瞬においてもモーツァルトそのものです。もしこの演奏をライブで聞くことができれば、ピアノはさらに輝かしい音色をふりまいていたでしょうから、どんなに素晴らしかったことでしょう。
あのチャップリンが、生涯に出会った3人の天才の一人にハスキルの名前を挙げたのも納得がいきます。
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