クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

ドヴォルザーク:管楽アンサンブルのためのセレナード ニ短調 作品44

バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1957年8月3日録音





Dvorak_Serenade_Barbirolli_57


ボヘミアの草原で繰り広げられる宴。

ドヴォルザークのセレナードと言えば、作品番号22の「弦楽のためのセレナード」がまず思い浮かびます。あれは、まさに「青春の歌」とも言うべき音楽で、チャイコフスキーの弦楽のためのセレナードと比べても全く遜色ない作品に仕上がっています。
それと比べると、この作品44の「管楽アンサンブルのためのセレナード」はまるでモーツァルトの同様の作品を思い出させるような仕上がりになっています。
ただし、その音楽的素材をスラブ舞曲などと同じように民族音楽に求めているために、それは貴族の庭園で催されるパーティーで奏される音楽と言うよりは、まるでボヘミアの草原で繰り広げられる宴での音楽のように響きます。
時には肩肘張らずに、こういう音楽を気楽に聴くのもいいのではないでしょうか。

根っこを失っていない演奏


ハレ管とバルビローリの組み合わせの録音はたくさんあり、その演奏もすぐれたものがたくさんあります。しかし、いつも問題になるのは、「演奏は素晴らしいけれどハレ管は下手すぎて聞いていられない」と言った愚痴です。
しかし、この「ハレ管が下手すぎる」というのは決して事実ではないことを、このコンビの録音をアップするたびに主張してきました。もちろん、同時代のフィルハーモニア管などと比べてみるとそれは遜色はあるでしょうが、それを言えば、同時代のウィーンフィルだって機能面では明らかに劣ります。
50年代というのは、どのオケにも自分自身が生まれ育ってきた「根っこ」みたいなものをしっかり持っていて、その根っこから生み出される素敵な「ローカリティー」を持っていました。バルビローリとハレ管のコンビが生み出す音楽もまたイギリスはマンチェスターという土地が持つ地域性が色濃く漂っています。産業革命を牽引した工業都市であり、同時に労働者の町であるマンチェスターのオケに貴族趣味が似合わないのは当然です。
確かに、聞きようによっては、もう少し腕利きの管楽器奏者をそろえてもっとスタイリッシュに演奏すれば、この作品もまた違った風に響くでしょう。しかし、このどこか気取らずに陽気な雰囲気で演奏されるセレナードは実にこの町にあった演奏ではないでしょうか。
昨今の一流オケというのは、どれもこれも己の生まれ育った根っこを失って、機能は素晴らしいがまるでどれもこれも除菌されたように小綺麗に響きます。ですから、たまには多少は雑菌の混じった演奏も楽しいじゃないですか。

よせられたコメント

2022-11-17:コタロー


【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2025-04-30]

ショパン:ノクターン Op.37&Op.48(Chopin:Nocturnes for piano, Op.37&Op.48)
(P)ギオマール・ノヴァエス:1956年発行(Guiomar Novaes:Published in 1956)

[2025-04-27]

ロッシーニ:管楽四重奏曲第6番 ヘ長調(Rossini;Quatuor No.6 in F major)
(fl)ジャン- ピエール・ランパル (cl)ジャック・ランスロ (hrn)ジルベール・クルシエ (basson)ポール・オンニュ 1963年初出((fl)Jean-Pierre Rampal (cl)Jacques Lancelotelot (basson)Paul Hongne (hrn)Gilbert Coursier Release on 1963)

[2025-04-25]

ブラームス:交響曲第2番 ニ長調, 作品73(Brahms:Symphony No.2 in D major, Op.73)
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 ベルリン・フィルハーモニ管弦楽団 1962年録音(Joseph Keilberth:Berlin Philharmonic Orchestra Recorded on 1962)

[2025-04-22]

ロッシーニ:管楽四重奏曲第5番 ニ長調(Rossini;Quatuor No.5 in D major )
(fl)ジャン- ピエール・ランパル (cl)ジャック・ランスロ (hrn)ジルベール・クルシエ (basson)ポール・オンニュ 1963年初出((fl)Jean-Pierre Rampal (cl)Jacques Lancelotelot (basson)Paul Hongne (hrn)Gilbert Coursier Release on 1963)

[2025-04-19]

ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調, Op.68(Brahms:Symphony No.1 in C Minor, Op.68)
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 ベルリン・フィルハーモニ管弦楽団 1951年録音(Joseph Keilberth:Berlin Philharmonic Orchestra Recorded on 1951)

[2025-04-16]

モーツァルト:弦楽四重奏曲第23番 ヘ長調 K.590(プロシャ王第3番)(Mozart:String Quartet No.23 in F major, K.590 "Prussian No.3")
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)

[2025-04-12]

ロッシーニ:管楽四重奏曲第4番 変ロ長調(Rossini;Quatuor No.4 in B flat major)
(fl)ジャン- ピエール・ランパル (cl)ジャック・ランスロ (hrn)ジルベール・クルシエ (basson)ポール・オンニュ 1963年初出((fl)Jean-Pierre Rampal (cl)Jacques Lancelotelot (basson)Paul Hongne (hrn)Gilbert Coursier Release on 1963)

[2025-04-09]

ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調 作品27(Rachmaninoff:Symphony No.2 in E minor, Op.27)
アルトゥール・ロジンスキ指揮:ニューヨーク・フィルハーモニック 1945年1月15日録音(Artur Rodzinski:New York Philharmonic Recorded on January 15, 1945)

[2025-04-06]

ロッシーニ:管楽四重奏曲第1番 ヘ長調(Rossini;Quatuor No.1 in F major)
(fl)ジャン- ピエール・ランパル (cl)ジャック・ランスロ (hrn)ジルベール・クルシエ (basson)ポール・オンニュ 1963年初出((fl)Jean-Pierre Rampal (cl)Jacques Lancelotelot (basson)Paul Hongne (hrn)Gilbert Coursier Release on 1963)

[2025-04-02]

モーツァルト:セレナーデ第13番ト長調, K.575 「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(Mozart:Serenade in G Major, K.525 "Eine kleine Nachtmusik")
ヨーゼフ・カイルベルト指揮 バンベルク交響楽団 1959年録音(Joseph Keilberth:Bamberg Symphony Recorded on 1959)

?>