クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 「ライン」 作品97

カール・シューリヒト指揮 南西ドイツ放送交響楽団 1960年12月録音



Schumann:Symphony No.3 in E-flat, Op.97, "Rheinische" [1.Lebhaft]

Schumann:Symphony No.3 in E-flat, Op.97, "Rheinische" [2.Scherzo]

Schumann:Symphony No.3 in E-flat, Op.97, "Rheinische" [3.Nicht schnell]

Schumann:Symphony No.3 in E-flat, Op.97, "Rheinische" [4.Feierlich]

Schumann:Symphony No.3 in E-flat, Op.97, "Rheinische" [5.Lebhaft]


祝典的な雰囲気にあふれた作品です

番号は3番ですが、作曲されたのは4曲の交響曲の中では一番最後に作曲されました。

1850年にシューマンはデュッセルドルフ市の音楽監督に就任し、ドレスデンからライン河畔にあるデュッセルドルフに居を移します。これを契機に作曲されたのがこの第3番の交響曲であるために一般に「ライン交響曲」と呼ばれますが、これはシューマン自身が与えた標題ではありません。
ただ、この作品に漂う民族的な舞曲を思わせる雰囲気がライン地方の雰囲気を彷彿させるという話もあるので(ユング君はその「ライン地方の雰囲気」と言うのがどういうものなのかは分からないのですが・・・)、それほど的はずれの標題ではないようです。

どこか内へ内へ沈み込んでいくようなシューマンの交響曲の中で、この第3番のシンフォニーだけは華やかさをふりまいてくれます。とりわけ最終楽章に響くファンファーレは祝祭的な雰囲気を盛り上げてくれます。それから、この前に置かれている第4楽章は全体の構成から見てみると、「間奏曲」のようなポジションにあることは明らかですが、実際に聞いてみるとこの楽章が一番充実した音楽のように思えます。最後に弦のトレモロにのって第1主題が壮麗な姿で復帰してくるところなどはゾクゾクしてしまいます。

こういう形式はベートーベンが確立した交響曲のお約束からは外れていることは明らかです。ベートーベンの交響曲の継承者はブラームスと言うことになっていて、その間に位置するシューマンは谷間の花みたいな扱いを受けているのですが、こういう作品を聞いてみると、確かに方向性が違うことが納得されます。

何気なくさらさらと流れているだけに見えながら、アメリカ的なザッハリヒカイトになっていないのは凄いことなのかもしれません


シューリヒトの音楽と言えば淡彩でさらさららと流れていくというのが一般的です。しかし、50年代の録音などを聞いていると、さらさらと流れているようで、細かく見ていると結構微妙なニュアンスを付与していることに気づく場面があります。
しかし、この60年代のコンサート・ホールの録音に関しては、やや薄味の録音も考慮しないといけないのでしょうが、本当にさらさらと流れて終わっていると感じる場面があります。

そんな「さらさらと流れて終わっている」と感じてしまう一枚がこのシューマンの第3番「ライン」の交響曲です。
かなり速めのテンポで始まり、その流れに乗って音楽は最後まで一気に流れていきます。ただし、その速めのテンポはミュンシュのように響きが凝縮することはなくひたすら淡彩の響きで終始します。

しかし、ここでふと考えてしまうのです。

この数日、ヨーロッパとアメリカの「重さ」の違いみたいなもの考えていたのですが、確かに、シューリヒトの演奏からはバルビローリやサヴァリッシュから感じたような「重さ」は感じません。
ならば、そこにはアメリカ的な世界が広がっているのかと言えば、それはもう、全く違っています。

なるほど、もしかしたら、この不思議な感覚こそが、他の指揮者にはないシューリヒトの魅力なのかもしれません。
ただし、この感覚を明瞭な言葉にするのが非常に難しいのです。

シューリヒトという人は、例えばサヴァリッシュのように、地方の歌劇場からたたき上げてケルンやバイエルンの歌劇場のシェフになると言う定番コースとは違うキャリアを歩みました。
彼はそのような表通りを歩むのではなく、そう言う表通りを横目に見ながら、客演活動をメインにこなしてきた人でした。

優れた教養と音楽的才能がありながら、何故にそう言う脇役人生を歩んでしまったのか不思議としか言いようがないのですが、結局はそれがシューリヒトと言う音楽家の骨格を作ったのかもしれません。

ですから、そのさらさらと流れていく「軽さ」はヨーロッパの劇場において継承されてきた約束事などは知った事じゃないと言って、そんなものからは殆どフリーな状態で音楽がやれるアメリカ的な気楽さとは明らかに異なります。
そうではなくて、彼はいわゆるヨーロッパ的伝統というものは知りすぎるほど知り尽くしていました。

しかし、その表通りではなかったキャリアのおかげで、伝統の何たるかは知り尽くしていながら、その「重さ」に絡め取られる「義理」を持つ必要もなかったというのがシューリヒト特有の立ち位置だったのかもしれません。

ですから、この何気なくさらさらと流れているだけに見えながら、それが決してアメリカ的なザッハリヒカイトになっていない演奏というのは、考えようによっては凄いことなのかもしれません。

よせられたコメント

2017-11-05:原 響平


2018-03-18:クライバーファン


【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2026-02-06]

ラヴェル:ピアノ三重奏曲 イ短調(Ravel:Piano Trio in A minor)
(Vn)ジャン・パスキエ:(P)リュセット・デカーヴ (Cello)エティエンヌ・パスキエ 1954年発行(Pierre Pasquier:(Cello)Etienne Pasquier (P)Lucette Descaves Published in 1954)

[2026-02-02]

ベートーベン:ピアノソナタ第28番 イ長調 Op.101(Beethoven:Piano Sonata No.28 in A major, Op.101)
(P)ハンス・リヒター=ハーザー 1956年3月録音(Hans Richter-Haaser:Recorded on March, 1956)

[2026-01-31]

ヴィオッティ:ヴァイオリン協奏曲第22番イ短調 G.97(Viotti:Violin Concerto No.22 in A minor)
(Vn)ジョコンダ・デ・ヴィート:ヴィットリオ・グイ指揮 グラインドボーン祝祭管弦楽団 1953年9月23日~24日&10月10日録音(Gioconda de Vito:(Con)Vittorio Gui Glyndebourne Festival Orchestra Recorded on September 23-24 & Ovrober 10, 1953)

[2026-01-27]

ベートーヴェン:ドン・ジョヴァンニの「お手をどうぞ」による変奏曲 ハ長調, WoO 28(Beethoven:8 Variations on La ci darem la mano from Mozart's Don Giovanni in C Major, WoO 28)
ウィーン・フィルハーモニー木管グループ:1949年録音(Vienna Philharmonic Wind Group:Recorded on 1949)

[2026-01-25]

J.S.バッハ:前奏曲とフーガ ニ長調 BWV.532(J.S.Bach:Prelude and Fugue in D major, BWV 532)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1961年12月10日~12日録音(Marie-Claire Alain:Recorded December 5-8, 1961)

[2026-01-21]

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番イ短調, Op.132(Beethoven:String Quartet No.15 in A minor Op.132)
ハリウッド弦楽四重奏団:1957年5月25日&6月6日&12日録音(Recorded on 25 May 25& June 8, 12, 1957)

[2026-01-19]

フォーレ:夜想曲第11番 嬰ヘ短調 作品104-1(Faure:Nocturne No.11 in F-sharp minor, Op. 104 No.1)
(P)エリック・ハイドシェック:1960年10月21~22日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n October 21-22, 1960)

[2026-01-16]

ベートーヴェン:管楽三重奏曲 ハ長調, Op.87(Beethoven:Trio in C major, Op.87)
ウィーン・フィルハーモニー木管グループ:1949年録音(Vienna Philharmonic Wind Group:Recorded on 1949)

[2026-01-14]

マスネ:組曲 第7番 「アルザスの風景」(Massenet:Scenes Alsaciennes Orchestral Suite No.7)
ディミトリ・ミトロプーロス指揮:ミネアポリス交響楽団 1946年3月11日録音(Dimitris Mitropoulos:Minneapolis Symphony Orchestra Recorded on March 11, 1946)

[2026-01-12]

シューベルト:八重奏曲, Op.166 D.803(Schubert:Octet in F major, D.803)
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団 (Clarinet)レオポルト・ウラッハ (Basson)カール・エールベルガー (Horn)ゴットフリート・フォン・フライベルク (Double bass)ヨーゼフ・ヘルマン 1951年録音(Vienna Konzerthaus Quartet:(Clarinet)Leopold Wlach (Basson)Karl Oehlberger (Horn)ottfried von Freiberg (Double bass)Joseph Hermann Recorded on 1951)

?>