クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

シベリウス:交響曲第6番 ニ短調 op.104

カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1955年7月録音





Sibelius:交響曲第6番 ニ短調 op.104 「第1楽章」

Sibelius:交響曲第6番 ニ短調 op.104 「第2楽章」

Sibelius:交響曲第6番 ニ短調 op.104 「第3楽章」

Sibelius:交響曲第6番 ニ短調 op.104 「第4楽章」


シベリウスの7つの交響曲の中では一番影の薄い存在

シベリウスの交響曲と言えば4番と7番が「傑作」と言うことになっています。それに次いで第5番が祝典的な華やかさをもちながらもシベリウスらしい凝縮した作品になっていると評価されています。そして、世間では大好きだという人が多い第1番や第2番の交響曲は若書きの作品であり、「真のシベリウス」になりきっていない「深み」にかける作品と言うことになっています。さらに、第3番はそう言う深みにかける若書きの時代から真のシベリウスに変化していく「過渡期の作品」らしいのです。
そして、第6番は・・・何故かいつも忘れ去られたようにほとんど言及されないのが特徴です。貶されることもないのですが、それほど褒められもせず、シベリウスの7つの交響曲の中では一番影の薄い存在、それがこの第6番の交響曲です。
ああ、それにしても評論家というのは「罪深い存在」です。せめて、「真のシベリウス」だとか「深みに欠ける」などと言う言葉の前に「私は」という主語をつけて、最後に「思います」という述語で締めくくってもらいたいものです。しかし、一般の聴衆は意外としたたかで、評論家が傑作と思う作品でプログラムを組むと誰も聴きに行かないので、真のシベリウスからはほど遠いフィンランディアやカレリア組曲や1番、2番の交響曲ばかりが演奏されることになります。そして、そんな中で、これまた最近人気が出始めているのが、長い間忘れ去られたような存在だったこの6番の交響曲です。
実は、私も最近になってこの交響曲のセレナードのような美しさにすっかりはまっていてよく聞くようになっています。もしかしたら、シベリウスの作品の中では聞く回数が一番多いのがこの作品かもしれません。
形式的にもサイズ的に古典的な交響曲のたたずまいを持っていて、本当に美しい音楽だと思います。
そして、この交響曲と「銀河鉄道の夜」を結びつけて論じたのが作曲家の吉松隆でした。
http://homepage3.nifty.com/t-yoshimatsu/~data/BOOKS/Thesis/sibelius01.html
彼はシベリウスと賢治の共通点にふれたあとに「共に一種の土俗的かつ民族主義的テイストを基盤に持ちながらも、そこから離れてフワリと成層圏を越え、オーロラや銀河の彼方の透明な思想を手にした作品を紡いだ点でも実に良く似ているのである。」とまとめています。さらに、別のところで、シベリウスの交響曲を7つの星からなる星座に喩えたりもしていますので、カレはよほど星空が好きなようです。
個人的には、この作品を銀河に喩えるよりは、影の中に時折燦めく光の美しさに彩られた北欧の自然をイメージするのですが、しかし、そう言う多様なイメージを喚起するところにこの作品の素晴らしさがあるのだとは思います。
もっともっと聞かれていい作品だと思います。

盛り上げ上手の聞かせ上手


ドイツ系の指揮者で本格的にシベリウスを取り上げたのはカラヤンが最初ではないでしょうか?実際のコンサートで取り上げることはあまり多くなかったようですが、録音に関しては50年代にフィルハーモニア管と、そして60年代と80年代には手兵のベルリンフィルを使ってかなりまとまった数を録音しています。
そして、これまた仕方のないことなのでしょうが、カラヤンのシベリウスと言えば一般的に最後の80年代の録音が広く流布していて、それがカラヤンのシベリウス解釈のスタンダードとしての位置を占めてしまっています。
しかし、あの録音はベルリンフィルの機能性をフルに発揮して圧倒的な演奏に仕上がっていますが、歌わせることに重点がおかれすぎてシベリウスには必要と思えるエッジの立った感じが全くありません。悪く言えば、非常に派手で耳あたりのいいハリウッドの映画音楽のように響く面は否定できません。

それと比べると、50年代や60年代の録音は、そう言う派手さはありませんが、シベリウス自身がイメージした音楽により近いものになっているように思えます。録音の質も考えれば、60年代にベルリン・イエス・キリスト教会で録音したものが一番しっくり来る感じがします。
60年代のベルリンフィルは、カラヤン美学が徹底した70年代以降みたいに「ヌター」とした感じがないので、それがいい方に作用していたように思います。
しかし、この一連の50年代におけるフィルハーモニア管との録音も悪くありません。
どう聞いてもあまりピントこない4番のシンフォニーをなかなか面白く聴けるように料理しているあたりは、聞かせ上手なカラヤンの片鱗がうかがえます。ここぞというところで思いっきり金管をならしてグッと盛り上げる5番のシンフォニーなどは後年のカラヤンを彷彿とさせます。
そして何よりも、どの演奏を聴いてみても「てっぺん取ったるんや!」という気魄と気概が感じられます。
50年代のカラヤンを代表する演奏といえるのではないでしょうか。

よせられたコメント

2009-08-07:舞茸君


2009-11-08:ナルサス


【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2026-06-21]

アイルランド民謡「ミンストレル・ボーイ」(Rose Plays the Minstrel Boy & Others)
(T)クリストファー・リンチ:(Cello)レナード・ローズ (Flute)ジョン・ワマー (Harp)ローラ・ニューウェル 1947年録音(Christopher Lynch:(Cello)Leonard Rose (Flute)John Wummer (Harp)Laura Newell Recorded on 1947)

[2026-06-19]

ハイドン:弦楽四重奏曲第66番 ト長調, Op.64, No.4, Hob.3:66(Haydn:String Quartet in G major, Op.64, No.4, Hob.3:66)
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1937年11月16日録音(Pro Arte String Quartet:Recorded on November 16, 1937)

[2026-06-17]

ベートーベン:リギーニのアリエッタ「恋人よ来たれ」による24の変奏曲 WoO 65(Beethoven:24 Variations on Righini's Arietta Venni amore, WoO 65)
(P)アルフレッド・ブレンデル 1958年&1960年録音(Alfred Brendel:Recorded on 1958 & 1960)

[2026-06-15]

ボッケリーニ:チェロ・ソナタ第1番 イ長調, G.13(Boccherini:Cello Sonata No. 1 in A Major, G. 13)
(Cell)エンリコ・マイナルディ:(P)カルロ・ゼッキ 1952年録音(Enrico Mainardi:(P)Carlo Zecchi Recorded on 1952)

[2026-06-13]

ベートーベン:ピアノ三重奏曲第7番 変ロ長調 「大公」 Op.97(Beethoven:Piano Trio No.7, Op.97 in B-flat major "Archduke")
(Vn)ダヴィド・オイストラフ (P)レフ・オボーリン (Cello)スヴィヤトスラフ・クヌシェヴィツキー 1958年5月9日~10日&12日録音((Vn)David Oistrakh:(P)Lev Oborin (Cello)Sviatoslav Knushevitsky Recorded on May 9-10&12, 1958)

[2026-06-11]

フランツ・シュミット:ピアノ五重奏曲(Schmidt:Piano Quintet in G major)
バリリ四重奏団:(P)イエルク・デムス 1952年録音(Barylli Quartet:(P)Jorg Demus Recorded on 1952)

[2026-06-09]

バッハ:教会カンタータ 「死人の中より甦りしイエス・キリストを覚えよ」 BWV67(J.S.Bach:Halt im Gedachtnis Jesum Christ, BWV 67)
ギュンター・ラミン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 他 1954年2月26日録音(Gunther Ramin:Gewandhausorchester Leipzig Thomanerchor Leipzig (Org)Hannes Kastner (A)Gertrud Wagner (T)Gert Lutze (Bass)BJohannes Oettel Recorded on February 26, 1954)

[2026-06-07]

エルガー:セレナーデ Op.20(Elgar:Serenade for String Orchestra in E minor, Op.20)
マルコム・サージェント指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1959年6月6日録音(Sir Malcolm Sargent:The Philharmonia Orchestra Recorded on June 6, 1959)

[2026-06-05]

ハイドン:弦楽四重奏曲 ハ長調, Hob.III:65(Haydn:String Quartet in C major, Hob.III:651)
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団:1954年録音(Vienna Concert House Quartet:Recorded on 1954)

[2026-06-03]

バッハ:教会カンタータ 「人々シバよりみな来たりて」 BWV65(J.S.Bach:ie werden aus Saba alle kommen, BWV 65)
ギュンター・ラミン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 トーマス教会少年合唱団 (T)Gert Lutze (Bass)BJohannes Oettel 1952年1月11日録音(Gunther Ramin:Gewandhausorchester Leipzig Thomanerchor Leipzig (T)Gert Lutze (Bass)BJohannes Oettel Recorded on January 11, 1952)

?>