クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~

メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 「イタリア」 op.90

ミュンシュ指揮 ボストン交響楽団 1958年2月18日録音





Mendelssohn:交響曲第4番 作品90 「イタリア」 「第1楽章」

Mendelssohn:交響曲第4番 作品90 「イタリア」 「第2楽章」

Mendelssohn:交響曲第4番 作品90 「イタリア」 「第3楽章」

Mendelssohn:交響曲第4番 作品90 「イタリア」 「第4楽章」


弾むリズムとほの暗いメロディ

メンデルスゾーンが書いた交響曲の中で最も有名なのがこの「イタリア」でしょう。
この作品はその名の通り1830年から31年にかけてのイタリア旅行の最中にインスピレーションを得てイタリアの地で作曲されました。しかし、旅行中に完成することはなく、ロンドンのフィルハーモニア協会からの依頼を受けて1833年にようやく完成させています。
初演は同年の5月13日に自らの指揮で初演を行い大成功をおさめるのですが、メンデルスゾーン自身は不満を感じたようで、その後38年に大規模な改訂を行っています。ただ、その改訂もメンデルゾーン自身を満足させるものではなくて、結局彼は死ぬまでこの作品のスコアを手元に置いて改訂を続けました。そのため、現在では問題が残されたままの改訂版ではなくて、それなりに仕上がった33年版を用いることが一般的です。

作品の特徴は弾むようなリズムがもたらす躍動感と、短調のメロディが不思議な融合を見せている点にあります。
通常この作品は「イタリア」という名が示すように、明るい陽光を連想させる音楽をイメージするのですが、実態は第2楽章と最終楽章が短調で書かれていて、ほの暗い情感を醸し出しています。明るさ一辺倒のように見える第1楽章でも、中間部は短調で書かれています。
しかし、音楽は常に細かく揺れ動き、とりわけ最終楽章は「サルタレロ」と呼ばれるイタリア舞曲のリズムが全編を貫いていて、実に不思議な感覚を味わうことができます。

ミュンシュの「哀しみ」


しつこく同じ事を繰り返しますが、どうしてミュンシュの評価は下がったままなのでしょう?以前にもこんな事を書きました。
「残念ながらミュンシュの評価はフランスがその国家的威信をかけた創設したパリ管を任された頃を絶頂とすると、その後の評価は下がる一方のように見えます。近年、ボストン時代の録音がまとまってリリースされましたが、残念ながら再評価の機運もあまりないようです。」

しかし、このメンデルスゾーンの交響曲を聴いてみると、実に素敵です。特に4番のイタリアは数々の名演の仲間入りをさせてもいいほどの素晴らしさです。
ミュンシュの特長は明晰さです。しかし、この演奏からはそう言う明晰さよりは、この作品が内包している前へ前へと言う迸るようなエネルギー感にあふれていてそれに魅了されます。ミュンシュの作るオケの響きは「軽み(かろみ)」があります。低弦がゴリゴリすることは絶対になくていつも軽さを失いません。そして、そう言う響きが実に気持ちよく横へとつながっていきます。
そして、このメンデルスゾーンの交響曲では、その横へのつながりが「気持ち」よくだけでなく、強い推進力を伴って音楽を駆り立てていきます。

悪くない演奏です。確かに、悪くないです。
でも、セルやトスカニーニの演奏と比べると、それらを押しのけて自己主張できるだけの「押し」があるでしょうか?
きっと、そこにこそミュンシュの「哀しみ」があるのでしょう。

よせられたコメント

2009-05-25:阿部 稔


2010-08-07:T.Y


【リスニングルームの更新履歴】

【最近の更新(10件)】



[2026-03-22]

アンリ・リトルフ:交響的協奏曲第4番 ニ短調, Op.102~第2楽章:Scherzo(Litolff:Concerto symphonique No.4 in D major, Op.102 [2.Scherzo. Presto])
(P)レナード・ペナリオ:アーサー・フィードラー指揮 ボストン・ポップス 1963年5月24日録音

[2026-03-19]

リリ・ブーランジェ:詩篇第130篇「深き淵より」(Boulanger:Psaume 130, Du Fond De L'Abime)
イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ラムルー管弦楽団 エリーザベト・ブラッスール合唱団 (T)ミシェル・セネシャル 1958年録音(Igor Markevitch:Orchestre Des Concerts Lamoureux Elisabeth Brasseur (T)Michel Senechal Recorded on 1958)

[2026-03-17]

ベートーベン:ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調 作品106「ハンマークラヴィーア」(Beethoven:Sonate No.29 En Mi Bemol Majeur Op.106 "Hammerklavier")
(P)ハンス・リヒター=ハーザー 1960年7月15日~19日録音(Hans Richter-Haaser:Recorded on July 15-19, 1960 )

[2026-03-14]

イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第4番 ハ短調,Op.27-4(Eugene Ysaye:6 Sonatas for Solo Violin, Op.27-4)
(Vn)マイケル・レビン:1955年9月30日録音(Michael Rabin:Recorded on September 17, 1955)

[2026-03-12]

フォーレ:夜想曲第13番 ロ短調 作品119(Faure:Nocturne No.13 in B minor, Op.119)
(P)エリック・ハイドシェック:1960年10月21~22日録音(Eric Heidsieck:Recorded 0n October 21-22, 1960)

[2026-03-11]

バッハ:前奏曲とフーガ ホ長調 BWV.566(J.S.Bach:Toccata and Fugue in E major, BWV 566)
(Organ)マリー=クレール・アラン:1961年12月10日~12日録音(Marie-Claire Alain:Recorded December 10-12, 1961)

[2026-03-08]

ベルワルド:交響曲第4番 変ホ長調 「素朴な交響曲」(Berwald:Symphony No.4 in E-flat major "Naive" )
イーゴリ・マルケヴィチ指揮:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1955年12月録音(Igor Markevitch:Berlin Philharmonic Orchestra Recorded on December, 1955)

[2026-03-05]

ヨーゼフ・マルクス:ヴァイオリンソナタ「春のソナタ」(Joseph Marx:Sonata for Violin and Piano in A major "Spring")
(Vn)ヴァーシャ・プシホダ:(P)オットー・アルフォンス・グレーフ 1954年録音(Vasa Prihoda:(P)Otto Alphonse Greif Recorded on 1954)

[2026-03-03]

ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ長調, Hob.III:63(Op.64-5) 「雲雀」(Haydn:String Quartet in D major, Hob.III:63(Op.64-5) "Lark")
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団:1954年5月録音(Vienna Concert House Quartet:Recorded on May, 1954)

[2026-02-28]

グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲イ短調 作品82(Glazunov:Violin Concerto in A minor, Op.82)
(Vn)マイケル・レビン:ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1954年12月17日録音(Michael Rabin:(Con)Lovro von Matacic The Philharmonia Orchestra Recorded on December 17. 1954)

?>