バッハ:トッカータとフーガ BWV565
ヴァルヒャ:1947年録音
Bach:トッカータとフーガ BWV565
バッハのオルガン作品の中ではもっとも有名な作品
クラシック音楽などには何の興味もない人でも、この冒頭のメロディを知らないという人はまずいないでしょう。その強烈な下降パッセージからは若きバッハのあふれんばかりの覇気を感じ取ることができます。
また、この作品の特徴として、ひんぱんに速度が変化することがあげられます。それは前半のトッカータの部分でもそうですし、中間のフーガでもその終結部ではめまぐるしく速度が変化します。この変化をどのように処理するかは演奏者に任される部分が多く、まさにオルガニストの腕の見せ所だといえます。
この作品はいつ頃作曲されたかについてはいくつかの説があり未だに確定していません。しかし、ブクステフーデやスウェーリングなどの強い影響から抜け出して、バッハらしい緊密で簡潔な様式へと脱皮をとげた作品であることは間違いありません。さらに、ワイマール時代(1708〜1717)のバッハはオルガニストとしての名声が高まり、各地に招待されることも増えてそのための作品も数多く作られた時期なので、おそらくはそのころの作曲されたものだというのが有力です。
ヴァルヒャ略歴
ライプチヒで1907年に生まれています。16才で失明するものの、ライプチヒ音楽院でギュンター・ラミーンに師事して1924年にオルガニストとしてデビューします。さらに、1926年には聖トーマス教会のオルガニストにも就任します。
第2次大戦後には三王教会のオルガニストにも就任し、165曲にもの上るバッハのオルガン作品の演奏と講義を行いました。彼の演奏は外面的な効果で作品を彩ることを拒絶し、きわめて厳格で峻厳なバッハ像を作り上げることで、バッハをロマン主義的歪曲から救い出したと評されています。
その後、10年近くにもわたって続けられたバッハのオルガン作品の録音は、長くバッハ演奏のスタンダード的な位置を占めてきました。
1991年にフランクフルトで没。
よせられたコメント 2009-10-10:カンソウ人 この演奏を聴いて感じることは次の4つのことである。
「バッハの代表的なオルガン曲である」と色んな書物に書かれてきたこの曲は、本当にバッハの曲で曲なのか?高校生ぐらいになり、インベンションやシンフォニア、平均律やフランス組曲、無伴奏のためのバイオリンソナタなどを楽譜を見ながらレコードを聴き、またピアノで弾いてみるとこの曲のフーガがこのテーマをどの程度展開しているか、テーマの可能性を引き出しているかという点で物足りなく思う。伴奏つきのバイオリンの幻想曲のようなものが源曲としてあって、バッハがトッカータを付けてオルガン用に編曲したのでは?などと考えていた。研究者はどんな仮説や結論を出しているのだろう。人前で、こけおどし的に弾くには効果の上がる作品だとは思っている。作品の出来は良いものだと思っている。一曲ぐらいは、テーマの可能性を引き出さない曲をバッハが書いたとも考えられるし。
ヴァルヒャの演奏は、現代の沢山の知識を学んだオルガニストが正しく整備された新しいオルガンで演奏したものとは同列に考えることはできないと思う。1947年というのは昭和22年だから、第2次世界大戦が終わって間もないころなのだ。戦火にまみれた西ドイツの中で録音にふさわしいオルガンを選び出し、その中でロマンティックなオルガンの音色に傾きすぎるものは省き、整備されていないもの、演奏会場(恐らく教会)の音響とあったものを選んだ末に、その中での録音であったと思う。オルガンの使い勝手も悪いものであったろう。
シュヴァイツアーの録音も幾つか聴いたことがあるが、決していい加減な演奏とは思わない。ロマンティックな表情に傾いたりそういう効果を狙ったりせず、バッハの音楽をしっかり見つめているように思う。その面では、ヴァルヒャも同じだが、シュヴァイツアーの演奏の技術が心もとない。インテンポで弾こうとするが難しくなるところで明らかにテンポが緩む。また、難しいところを弾くために信じたテンポより落としているのではと感じる時もある。バッハの音楽の再現は出来ていないように感じる。その意味では、ヴァルヒャの演奏は信頼が置ける。
バッハの音楽の再現にはリズムに何か必要なものがあるように思う。グールドやリヒター、レオンハルトやアルノンクール、コープマン、シフ、鈴木雅明や高橋悠治。バッハで成功する音楽家には全く異なる個性ではあるが、共通した運動神経というかリズムの刻みを感じる。ヴァルヒャにも当然感じる。
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