マーラー:交響曲第2番「復活」
オットー・クレンペラー指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1951年7月12日録音
Mahler:交響曲第2番「第1楽章」
Mahler:交響曲第2番「第2楽章」
Mahler:交響曲第2番「第3楽章」
Mahler:交響曲第2番「第4楽章」
Mahler:交響曲第2番「第5楽章」
交響曲の時代の終焉を飾った人、それがマーラーでした
と書けば反論が返ってくるかもしれません。マーラー以後も交響曲を書きつづけた人がいるからです。
たとえば、シベリウス、たとえば、ショスタコーヴィッチ。
しかし、彼らの交響曲は、クラシック音楽の中心に座りつづけてきた交響曲のありようとはどこかが違います。
シベリウスはその最後において、これ以上は切り詰めようもないほどの単楽章の7番で最後を飾ります。ショスタコーヴィッチも、14番では歌曲集だといわれても仕方のないような形に行き着きます。
そう言う意味では、ハイドン、ベートーベンと受け継がれてきた王道としての交響曲は、恐竜のように巨大化した果てに、マーラーで滅びてしまったと言っても言い過ぎではありません。
それにしても、巨大なシンフォニーです。普通に演奏しても90分はかかります。最終楽章だけでも30分ではおさまりきれません。オーケストラの構成も巨大化のきわみに達します。
彼はその晩年において、演奏に1000人を要する第8交響曲を生み出しますが、その巨大化のへの傾向はこの第2番でもはっきりとしています。特にこの最終楽章のラスト数分間に渡って繰り広げられる絢爛たる響きは特筆ものです。
そう言えば、この絢爛たる響きに魅せられて、これ一曲だけの指揮者になった人物がいました。彼は、そのために事業を起こして成功をおさめ、稼いだお金で指揮法を学び、プロのオーケストラを雇っては練習を重ねました。
そして、仕事の合間をぬっては、一曲だけの指揮者と銘打って演奏会を行いました。もちろん、自分のお金でオーケストラを雇ってですが、評判が高まるにつれて、時には正式に招かれることもあったようです。CDも出して、店頭に並べられたこともありました。
名前を確認しようとして資料を探したのですが、なかなか見つかりません。記憶では、なんとか・キャプランと言ったような気がします。(ジェームス・キャプランだったかな?当時は結構話題になったのですが、人の記憶なんて当てにならないものです)
専門家筋では小馬鹿にしたような対応が大勢でしたが、ユング君は、アメリカの金持ちと言うのは粋なことをするもんだと感心したものです。まさに、彼は自らの生涯をかけて、この作品を愛しつづけたのです。
マーラーは指揮者としては頂点を極めた人ですが、作曲家としてはそれほど認められることもなく世を去りました。彼は晩年、いつか自分の作品が認められる時代がくるはずだと信じてこの世を去りました。
60年代にバーンスタインがNYOとの共同作業で完成させたマーラーの交響曲全集は、マーラー再評価への偉大な狼煙でした。
彼は晩年にもうひとつの全集を完成させていますが、マーラーの福音を世につたえんとの気概に燃えた旧全集は今もその価値は失っていないと思います。
それ以後、CDの登場によって、マーラーは一躍クラシック音楽の表舞台に飛び出し、マーラーブームだといわれました。
今ではもはやブームではなく、クラシック音楽のコンサートにはなくてはならないスタンダードなプログラムとして定着しています。
まさに彼が語ったように、「巨人」の「復活」です。
クレンペラーの録音を追加
もう一人の使徒、クレンペラーの録音を追加しました。聞くところによると、この録音は数ある復活の演奏の中で、最短演奏時間の記録を持つものだそうです。しかし、演奏時間が短いからといって決してセカセカした演奏にはなっていません。
実にがっしりとした構成感のあるマーラーに仕上がっていますが、果たしてそれがマーラーに相応しい演奏かとなるとクエスチョンマークはつきます。
同じ使徒と言っても、ワルターとは随分方法論が違うことが手に取るよう分かってしまう演奏です。
(ちなみに、演奏時間の最長記録もクレンペーラーが持っているそうで、その差は20分にもなるそうです。なるほど、演奏におけるテンポの問題とは難しいものだと妙に納得させられる事実です。)
よせられたコメント
2009-02-24:Gilbert Kaplanです
- 「ジェイムズ」はゴールウェイとかレヴァインでしたっけ。
気になるので調べたら、Wikipediaにありました。
ギルバート、です。この人のは、響き透明で、合唱もバロックのように響く瞬間が感じられました。気のせい?
クレンペラーは、手持ちのフィルハーモニアと比べてみます。
2009-02-25:Altoのソロは?
- 独唱者について教えてください。
2人の女声は、聞き甲斐がありましたので・・・
<管理人より>
キャスリーン・フェリアー(A)
ジョー・ヴィンセント(S)
ついでに、録音データの間違いに気づきました。(^^;
12月7日ではなくて、7月12日でした。お恥ずかしい。
2009-12-02:新習志野
- この演奏、第4楽章のアルト・ソロはキャスリーン・フェリアーですね。たったの数分の歌声ですが、かけがえのないものです。とくに豊かな音色の使い方が絶品!
2011-03-06:radames
- このような気持ちや大きな概念が宿った演奏が行われていたという事実に、音楽体験背景のあまりにも大きな隔たりを感じてしまいます。憧れとは言えない壊滅的なもので、レコードをこすった音を聞いて、やれ「無機的」だの「冷たい」などと言い合いしていることにむなしさを感じます。 大層もったいぶった休憩を伴う、どうしようもない第一楽章も含めこの曲の存在価値を問うまでも無いといいたくなりますが、「原光」以降の楽章は宗教感とも異なった「理念」や「祈り」、「決意」を感じます。 クレンペラーのものと思われる「唸り」にそれを強く感じました。 この演奏を始めて聴いたのは「ワルター協会」という「海賊盤」で「ワウ」の「音ゆれ」が特に声楽が入ってからひどくかったのですが、それがフェリアーの「節廻し」を演歌調にして味わいがあり、DECAから「正規盤」がでてからも「海賊盤」のその箇所を愛聴しました。 私の思い入れある演奏です。
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