ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲
(Vn)オイストラフ キリル・コンドラシン指揮 USSR国立交響楽団 1949年録音
Dvorak:ヴァイオリン協奏曲「第1楽章」
Dvorak:ヴァイオリン協奏曲「第2楽章」
Dvorak:ヴァイオリン協奏曲「第3楽章」
何故かマイナーな存在です。
クラシックの世界では有名な作品は「メンコン・チャイコン」みたいに短縮してよばれることがあります。メンコンは言うまでもなくメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲のことですし、チャイコンはチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の事です。
同じように、「ドヴォコン」という呼ばれ方もあるのですが、こちらはヴァイオリンではなくてチェロ協奏曲のことです。
そうなのです、同じ協奏曲でもチェロの方はドヴォルザークと言うよりもクラシック音楽を代表するほどの有名作品であるのに、こちらのヴァイオリン協奏曲の方は実にマイナーな存在なのです。
ドヴォルザークはピアノ・ヴァイオリン・チェロのための協奏曲をそれぞれ一つずつ書いています。この中で、チョロの協奏曲が突出して有名なのですが、他の協奏曲もドヴォルザークらしい美しい旋律とファンタジーにあふれた作品です。確かに、ブラームスやベートーベンの協奏曲のような緻密で堅固な構成は持っていませんが、次々と湧き出るようにメロディがあふれ出してきて、それらが織物のように作品の中に織り込まれていく様は実に見事と言うしかありません。
英国近代音楽の父とも言うべき、サー・チャールズ・スタンフォードはドヴォルザークを評して「彼は考えるために立ち止まることをせず、思い浮かんだことをまず何よりも五線紙上で述べた」と語りましたが、まさにその言葉ピッタリの作品だといえます。
なおこの作品は、ドヴォルザークの室内楽作品の演奏を通して彼の才能を知った名ヴァイオリニストヨアヒムのすすめで作曲されました。ドヴォルザークはそのすすめに従ってわずか2ヶ月でこの作品を書き上げたと言われています。その後、ヨアヒムの助言をも受け入れて何度か修正が施されて現在の形となりました。
ただし、理由は不明ですがヨアヒム自身はこの作品を演奏することはなく、初演は別の人物によって行われています。(1883年プラハにおいて)
オイストラフのベストの一つ
始めてこの演奏を聞いたときは驚きました。ほとんど何の期待もなしにプレーヤーにセットしたのですが、聞こえてきたのは実に艶やかでピシピシッと小気味がいいほどにつぼにはまっていくオイストラフのヴァイオリンです。それをささえるコンドラシンの棒も悪くありません。
ちょっとしゃべりすぎ!みたいな作品なので、下手をすると冗長になってしまいがちな作品ですが、この両者の共同作業で一瞬の弛みもなく音楽は展開していきます。
もしかしたら、オイストラフにとってもベストの一つと言っていいほどの演奏家もしれません。
よせられたコメント 2010-11-25:joshua オイストラフもさることながら、このドヴォルザーク。2楽章のオケが聞き物です。
ロシアの音は、濃いですね。寒い国なのに、陰寒きわまって陽温となるのでしょうか。
ドヴォルザーク得意の、2楽章途中の険しい表情。ドボ8なんかもそうですね。吉田秀和もこの作曲者の面白い特徴だと、かの「私の好きな曲」で言ってます。ロシアオケのホルンが文字通り「咆哮」しています。啖呵を斬ってる、というくらいです。・・・・・
さて、本当は、シューベルトの八重奏曲について書きたかったのです。
オイストラッフのVnを中心にロシアメンバーでがっちりまとめた演奏です。
ストリーミングにはないのですが、データベースにあるものです。
この曲は、ウィーンのものもいいのですが、ロシアのホルンが聞けるからいいのです!
これこそヴィブラート!
「誓いの休暇」というアリョーシャ少年が従軍して、敵戦車撃退の褒章に短期日で母に会いに行く途中、列車の中での少女との出会い、そして淡い恋と別れ、母と幼馴染との再会。そしてアリョーシャは帰ってこなかった、という映画。40?50代の方は覚えのある映画だと思います。あの映画のなかで、列車から見える延々と続く白樺並木を背景に、この演奏と同じ音(奏者は違っても間違いなくロシアの音)が鳴っていたのです。チェコとも違う。フランスやイタリアのようにも渇いていない、柔らかくきめ細かくモイスト(moist)な音色。「あーきれい!」とだれでも思える音です。レニングラード時代のブヤノフスキーもこの音でした。オーストリア音楽に意外とこの音が合うのです。この演奏がきけて嬉しかったです。
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