オネゲル:チェロ協奏曲
(Cello)ポール・トルトゥリエ:ジョルジュ・ツィピーヌ指揮 フランス国立放送管弦楽団 1957年録音
Honegger:Concerto For Violoncello And Orchestra [1.Allegro]
Honegger:Concerto For Violoncello And Orchestra [2.Lento]
Honegger:Concerto For Violoncello And Orchestra [3.Allegro Marcato]
20世紀の音楽家が書いた音楽としては聞きやすい部類に入ります

オネゲルと言えば「フランス6人組」の一人と言うことになるのですが、振り返ってみればこのオネゲルも含めてただの一人も取り上げていません。その一番の理由は、彼らの音楽がそれほど私の興味をひかなかったと言うこともあるのですが、何よりも著作権そのものが切れていなかったので、それはもうどうしようもなかったのです。
そして、2017年に、この6人の中では最も早く亡くなったオネゲルだけが戦時加算の分も含めて漸くにしてパブリック・ドメインとなったのですが、2018年に、戦時加算という敗戦国日本へのペナルティ条項に関しては一切の交渉も行わないで保護期間を70年に延長したために他の5名に関しては今後数十年にわたってパブリック・ドメインになることはなくなってしまいました。
それにしても、「フランス6人組」というのは考えてみれば不思議な集団です。取りあえずはフランスにおける新しい音楽を目指したにもかかわらず、その音楽的傾向には何の統一感もなかったことです。しかし、その事は彼ら自身が集まって自らの意志で「6人組」を作ったのではなくて、当時著名であった詩人のコクトーが勝手に彼ら6人をひとまとめにして「フランス6人組」と命名したからでした。
ですから、ひとまとまりにされたものからすれば「ジャン・コクトーは我々を同じ花瓶に入れたがったので迷惑だった」となるわけですし、6人から名前がもれたものからすれば「俺たちもいるのに!」という不満を持ったようです。
ただし、いくら同じ花瓶に入れられたと不満顔をしてモックトーのお墨付きは大きな意味を持って、全く無名だった若手の作曲家にしてみればそれで前途が開けたことは否定しようがないのです。
ただし、彼らの音楽には統一感がないとは行っても、基本的には「新古典主義」と言われるグループに分類はされるようです。また、オネゲルとのことを印象派嫌いと書いている人もいるのですが、彼はドビュッシーやラヴェルの音楽も高く評価していたことは紛れもない事実です。もちろん、それ以上に彼の尊敬の対象がバッハやベートーヴェンに代表されるドイツ音楽でした。
それは、このチェロ協奏曲の田園的な冒頭部分を聞けば、彼の気品的な立ち位置が分かろうかというものです。
ところが、その田園的な風景が突如として荒々しい管弦楽によって断ちきられ、独奏チェロのその荒々しさに対抗していくのは20世紀的だと言えば20世紀的なのでしょう。
私のような古人間からすれば、そのまま田園的な風景で終止しても何の問題も無いと思うのですが、そんな音楽を書いていては20世紀では食っていけなかったのでしょう。しかし第2楽章の「Lento」では哀愁的な雰囲気が漂いますし、最終楽章では冒頭の田園的雰囲気も回帰されたりするので、やはり20世紀の音楽家が書いた音楽としては聞きやすい部類に入ります。
トルトゥリエはスコアを端正に音楽に仕立て上げている様子は窺えます
率直に行って、ほとんど聞いたことのない作品を、ほとんど聞いたことのない演奏家が録音したものをあれこれ評価するというのは避けるべきだろうと思われます。
何しろ、オネゲルのチェロ協奏曲を聞いたのはこの録音が初めてですし、ジョルジュ・ツィピーヌと言う指揮者についてもほとんど聞いたことがありません。調べてみれば「フランス六人組・作品集」等というレコードも残っていますので、彼らへのシンパシーはあったのでしょうが、それをどのように評価すべきなのかと聴かれれば何とも言いようがないのです。何しろ、その「作品集」なるものもは、存在は発見したのですが聞いたことがないのです。(^^;
ただ、ソリストのトルトゥリエは、彼らしく与えられたスコアを端正に音楽に仕立て上げている様子は窺えます。そして、フランス国立放送管弦楽団も、当時のフランスを代表するオケだったコンセルヴァトワールのオケほどには「手抜き感」は感じられず、真面目にスコアに向き合っている雰囲気は感じ取れます。
ですから、競合する録音もそれほど多くはないのですから、取りあえずはこの録音でこの作品の姿を理解しても大きな誤りにはならないのではないかと思われます。
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