チャイコフスキー:くるみ割り人形 組曲 Op.71a
カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1952年7月31日&12月1日録音
Tchikovsky:くるみ割り人形 組曲 Op.71a 「小序曲」
Tchikovsky:くるみ割り人形 組曲 Op.71a 「行進曲」
Tchikovsky:くるみ割り人形 組曲 Op.71a 「こんぺいとうの精の踊り」
Tchikovsky:くるみ割り人形 組曲 Op.71a 「ロシアの踊り トレパーク」
Tchikovsky:くるみ割り人形 組曲 Op.71a 「アラビアの踊り」
Tchikovsky:くるみ割り人形 組曲 Op.71a 「中国の踊り」
Tchikovsky:くるみ割り人形 組曲 Op.71a 「あし笛の踊り」
Tchikovsky:くるみ割り人形 組曲 Op.71a 「花のワルツ」
クリスマスイブの一夜の物語
チャイコフスキーの三大バレー曲の中では最もまとまりがよく、また音楽的にも充実しているのがこの「くるみ割り人形」です。
物語はクリスマスイブにおける少女の一夜の夢です。全体の構成は以下の通りです。
第一幕
<第一場> シュタールバウム家の玄関前
<第ニ場> シュタールバウム家の居間
<第三場> シュタールバウム家の居間
<第四場> 雪の国
第二幕
<第一場> 水の国
<第二場> お菓子の国の都
<第三場> シュタールバウム家の広間
<第四場> シュタールバウム家の玄関前
ちなみに組曲は以下の通りの構成となっています。
小序曲
行進曲
こんぺいとうの踊り
トレパック:ロシアの踊り
アラビアの踊り
中国の踊り
あしぶえの踊り
花のワルツ
ただし、ホフマンによる原作「くるみ割り人形とネズミの王様」と比べると根本的な部分で相違があります。
原作では、人形の国からクララ(原作ではマリー)が帰ってくるところまでは同じですが、それを夢の話としては終わらせていません。
クララが話す人形の国について両親は全く信じようとしないのですが、やがて王子が彼女を迎えに来て人形の国へ旅立つというラストシーンになっています。
バレーの台本はマリウス・プティパによって書かれたものですが、彼はこの最後の場面をバッサリとカットして、人形の国シーンで物語を終わらせています。ただし、それではいかにもおさまりが悪いので、その後ワイノーネンの振付によって改訂され、クララが夢から醒めた場面で終わらせることによってこの物語をクリスマスイブの一夜の物語として設定することが一般的になりました。
夢を夢として終わらせない原作と、そこの部分をわざとぼかした原作では大きな相違がありますし、ましてや、夢はしょせん夢だとして終わらせる改訂版とでは根本的に違った作品になっていると言わざるを得ません。
当然の事ながら、プティバもワイノーネフもホフマンの原作を知っていたでしょうから、なにゆえにその様な改訂を行ったのかは興味のあるところです。(最近は原作回帰の動きもあるようです。)
響きよりはたたずまいを大切に・・・。
カラヤンはいわゆる三大バレエを何度か録音していると思います。こういう組曲の形でも何度も録音しているかと思います。いわゆる、クラシック音楽なんかには日頃見向きもしないような人でも買ってくれそうな売れ筋の作品を何度も録音したりするので、商業主義の権化みたいに思われるのでしょう。
もっとも、こうやってお金を稼いでくれたからこの業界の人はカラヤンにぶら下がっていれば飯が食えたわけです。
ですから、ベルリンフィルを完全に手中に収めてからのカラヤンの演奏は響きが主体になっていくのもうなずけます。とにかくゴージャスな響きを出しておけば、パッと聞いたときのアピールしますからね。
しかし、未だ頂点へと上り詰めつつあるフィルハーモニア時代は響きよりは作品のたたずまいを端正に構築することに意を注いでいます。だから、蘊蓄をたれたがる人はカラヤンはフィルハーモニア時代がベストなんぞとのたまうのです。
まあ、そこまで斜に構えなくても、後の帝王カラヤンとは雰囲気の違う演奏が聴けると言うことで満足しておけばいいのかもしれません。
よせられたコメント 2008-06-03:クラ☆おた 最近、ピアノのテストだ、修学旅行だ、中間テストだなんだで、ぜんぜん書き込みも音楽をゆっくりと楽しむこともできませんでした・・・・・・。
でも、久しぶりに聴くと「やっぱり、クラシックってイイナ・・・。」とつくずく思いマシタ。
で、この偉大な(だと、いわれている。)マエストロ・カラヤンですが、この人、あまり好きなタイプじゃないンです。が、カラヤンの「くるみ割り人形」ってケッコウいいデスね。(カラヤンってメルヘンの国の住人なんでしょうネ。きっと。)
よく、カラヤンはMozartがいい。なんて言われてますケドあれってどうなんですかネ・・・。
あんまりいいと思わないンですけど。
<ユング君の余計なコメント>
「よく、カラヤンはMozartがいい。なんて言われてますケド・・・」
うーん、こういう評価が最近は広まっているのでしょうか?私が若い頃は、どんなカラヤンファンでも、バッハとモーツァルトだけは願い下げにしたいというのが一般的だったものですから、ちょっと驚いてしまいました。
2009-07-08:Y,F クラシックは好きでよく聞きます。とくにチャイコフスキーの「悲愴」や、ドヴォルザークの8番が好きです。
カラヤンは「悲愴」を最も得意とした、ということを聞いたことがありますが、カラヤンはそんなにも偉大な人だったのですか?すみません。指揮者のことはよく知らないもので…
ですが、もう半年以上前になりますか、チョンミョンフンの指揮した「悲愴」は圧巻でした。ですから、チョンミョンフンは個人的にはマークしている一人ではあります。
これからは、曲自体の特徴だけでなく、指揮者の持つ個性というものにも注目して聞いていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 2017-08-16:クライバーファン 録音がとても良いです。
演奏も良いと思いました。後年の帝王のウィーン・フィルとの録音比べても、良いと思います。
こういう演奏を聞くと、フルトヴェングラーがウォルター・レッグに語ったという、
このような素晴らしいオーケストラ(フィルハーモニア管弦楽団のこと)とホール(キングズウェイホールのこと)
があるのに、なぜ、ウィーン・フィルハーモニーと録音をしたがるのですかという言葉を思い出しました。
フィルハーモニア管弦楽団はとても良いですね
。
<追記>
先程のフルトヴェングラーがレッグに語ったとされる言葉は、トリスタンを録音した
1952年の時の言葉のようです。
1952年6月25日にB.MittellにWalter Leggeが書いた手紙に記載されています。
Furtwangler cannot cease praising the Philharmonia
('Why do you want to record the Vienna Philharmonic in that hall
when you have this wonderful orchestra and this splendid hall here?')
出典はWalter Legge: Words and Music
というわけで、正確には
「なぜあのホール(ムジークフェラインのこと)でウィーン・フィルハーモニックを
録音したいのですかね、この素晴らしいオーケストラ(フィルハーモニア管弦楽団)とこの優れたホール(キングズウェイホール)をここにお持ちなのに」
となると思われます。
全く関係ありませんが、もしレッグが嘘を書いていなければ、フルトヴェングラーはこのように時々、ウィーン・フィルの悪口を言いますね。最晩年の1954年もクルト・リースに悪口を言っていたような。
それに対して、レッグはウィーン・フィルとムジークフェラインの響きが好きだったと思います。
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