クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~


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アンケートの結果と考察(--;のようなもの・・・



モーツァルト:交響曲40番(第7位)

  • ワルター
142
  • セル
78
  • ベーム
50
  • マーク
43
  • カラヤン
42
  • フルトヴェングラー
42
  • その他
29
  • E.クライバー
25
  • クーベリック
19
  • アーノンクール
18
  • バーンスタイン
16
  • ムーティ
14
  • カザルス
9
  • スウィートナー
8
  • シューリヒト
7
  • ケルテス
6

投票総数: 548


「古い音楽ファンならば、これはもうワルターの一点買いとなるのでしょうが、意外と若い世代にユーザーが多いこのサイトではどのような結果が出るのかちょっと楽しみなところではあります。」

このように書いたのですが、結果はワルターの圧勝となりました。この事も含めて今回の結果は今後のクラシック音楽のあり方を考えていく上で実に興味深い結果になったのではないかと思います。

「僕はベームに1票入れたのですが、“現代最高のモーツァルト指揮者”といわれている、アーノンクールの票がまったく伸びてませんね。オペラは、つまらなくて、まったくダメだと思っていますが、交響曲は、ACOとの録音はおもしろいと思っています。このサイトを訪れる人たちには、ある程度の偏りがあるかもしれませんが、“笛吹けど踊らず”。専門家のみなさんは褒めまくってますが、ここ60年ほどの録音の全体を見(聞き)渡せば、この程度の位置なのかもしれません。そんなことを思いました。」

まさにこのコメントがずばりと言い当てているように、専門家とユーザーの間に深刻な「乖離」が存在しているようです。
それは、ワルターが圧勝したと言うこと、現時点で多くの専門家たちが絶賛するアーノンクールが惨敗したと言うこと、そして一番注目すべきは、そんな中でイタリアの名もなき地方オケを振ったマークの演奏が43票も集めたと言う事実に象徴的に示されています。

確かにアーノンクールのモーツァルト演奏は悪いとは思いません。非常に刺激的な演奏であり、今まで気づかなかったモーツァルトの新しい側面に光を当てたと言うことでは「知的な好奇心」をくすぐるには十分すぎるほどの成果だと思います。
しかし、お世辞にも上手とは言い難いパドバ・ヴェネトの地方オケを振ったマークの演奏と比べると、ユング君もまた迷うことなくマークを選びます。あの時代錯誤かと思うほどの濃厚なロマンティシズムに満ちたモーツァルトは、長い間私たちが求めても得られなかった渇きを十分に癒してくれるものでした。

この結果は、ユーザーの多くはクラシック音楽に濃厚なロマンティシズムを求めていることをあらためて証明しています。しかし、演奏する側も含めた専門家の多くは「知的な刺激」を追い求め、その部分でのチャレンジに拍手を送ります。
この「乖離」は深刻です。
もちろん、専門家たるものユーザーの声におもねってポリシーを曲げるなどと言うことは情けない限りです。しかし、ユーザーの声を全く無視して、己の主張を理解しようとしないユーザーを「愚か者」呼ばわりすることもまた誤りです。
ユング君なりの結論を述べれば、演奏する側には今までの演奏史をふりかえった上での「チャレンジ」が常に必要です。チャレンジのない演奏などこの世の中に存在する意味がありません。しかし、その「チャレンジ」が結果として大多数のユーザーに受け入れられなかったならば、その「チャレンジ」は誤りだったとして軌道修正する勇気が必要です。
具体的に言えば、「ピリオド演奏」は一つのチャレンジでした。しかし、そのチャレンジは多くのユーザーから拒否されたのですから、ピリオド演奏やそこから派生した演奏スタイルは再考が必要なはずです。

ユーザーが求めているのは「ロマンティック」な音楽です。しかし、注意が必要なのは「ロマンティック」な音楽というのは決して「甘ったるい音楽」と同義語ではないと言うことです。
ロマンティシズムとは、「人間感情の素直な露呈」です。マークの演奏からは、世紀末に生きる人間の素直な感情があふれ出していたのに対して、多くのピリオド演奏やそこから派生した演奏スタイルからはその様な時代と向き合った声が聞こえてきませんでした。だから、多くのユーザーはその様な音楽を拒否したのです。

その意味で残念だったのは、スウィートナーにわずか8票しか入らなかったことです。
ユング君はライブでモーツァルトのシンフォニーを聴いて心底感動したのはスウィートナーだけでした。ですから、個人的にはスウィートナーを高く評価していたのでとても残念な結果でした。
しかし、その思いを同じくしてくれる方がいて少しホッとさせられました。

「これからも「巨匠」と呼ばれる指揮者は出てくるかも知れませんが、「○○指揮者」と評されるスペシャリストはもう出ないかも?
ということで最後の「モーツァルト指揮者」、スウィトナーさんで。
N響で頻繁に来られてたので有難味も薄く、いつでも聴けるよ、なんて言わずにもっと実演で聴いておけばよかった典型かも知れませんね。CDでその素晴らしいモーツァルトを聴き返してみると、あの頃はなんと贅沢なことを言ったたんだろう・・・。」

人はあまりに身近にいすぎると、その素晴らしさを往々にして見逃してしまうものだと言うことで納得しておきましょう。しかし、モーツァルトに本当の「ロマンティシズム」を求めたいならば、だまされたと思って彼のCDを一度は聴いてください。
もっともっと評価されていい人だとユング君は固く信じています。

今回はいただいたコメントが少なくて残念でしたが、最後にいくつか紹介しておきます。

「モーツァルトに関しては他の作曲家ほど多く聴き込んでいないので何ともいえないところがあるのですが、今回はその他でピノックに投票しました。
すかすかで味気ないとされる古楽器演奏ですが、ピノックの演奏はすがすがしく爽やかで、いつ聴いてもいいと感じます。」

「アーノンクールに一票。
古楽器の先駆者から、最後の巨匠扱いされる様になりましたが、とにかくグイグイオケをドライヴしていく感覚は、なかなかないものでは。ワルター的なモノに食い足りなさを感じてしまう自分は異端なのでしょうが、気にしないでいきます(^.^; 。
ユングさんが「同系列で、アーノンクールより上」と推されていたカザルス盤も聴いてみたいですねえ…。」

「の曲を最初に聴いたのが、ベーム・ベルリンフィルでした。
当時1枚2400円だったモーツァルト第40、41番とブラームスの交響曲第1番を合わせて、2枚組み3000円は価格内容ともに魅力的を通り越して感動ものでした。
当時モーツァルトと言えばワルターコロンビア響のよくうたう演奏が名盤の誉れ高く、それを含めて他の演奏(もちろんあの疾風の如きフルトヴェングラーも)をいくつも聞いて来ましたが、それらを聴いた後もゴツゴツとした冒頭の生真面目ともいえるベームとベルリンフィルの演奏が色あせることはありませんでした。
唯一無二ではありませんが、私にとってはこの曲を語る上で決して外すことの出来ない演奏です。」

「多くの指揮者はこの曲の第一楽章をとても優美に振りますが、フルトヴェングラーは楽譜の指定通り、まさにMolto allegloで演奏します。彼特有の忙しないところがあるものの、とてもスリリングで、この曲の胸をえぐるような悲壮感に魅力を感じる人は、第一楽章だけでも聴く価値ありですよ!
でも、私も本当はワルターが一番好きだったりする(笑」

ありがとうございました。

さあ次回はチャイコフスキーの「悲愴」です。
やはり、ムラヴィンスキーの首位は動かないのでしょうか・・・?それともこの作品を6回も録音したカラヤンが肉薄するのでしょうか?はたまた、予想もしないダークホースが浮上するのでしょうか?

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ハイドン:弦楽四重奏曲第6番 ハ長調 ,Op. 1, No. 6, Hob.III:6(Haydn:String Quartet No.6 in C Major, Op. 1, No.6, Hob.3:6)
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(P)ロベール・カサドシュ:(Vn)ジノ・フランチェスカッテ ギレ四重奏団 1954年12月1日録音(Robert Casadesus:(Vn)Zino Francescatti Guilet String Quartet Recorded on December 1, 1954)

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(Cembalo)ワンダ・ランドフスカ:1940年3月8日~9日録音(Wanda Landowska:Recorded on March 8-9, 1940)

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スカルラッティ:20のソナタ集(3)(Scarlatti:20 Sonates Pour Clavecin)
(Cembalo)ワンダ・ランドフスカ:1939年1月9日,11日&12日録音(Wanda Landowska:Recorded on January 9,11&12, 1939

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スカルラッティ:20のソナタ集(2)(Scarlatti:20 Sonates Pour Clavecin)
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スカルラッティ:20のソナタ集(1)(Scarlatti:20 Sonates Pour Clavecin)
(Cembalo)ワンダ・ランドフスカ:1940年3月8日~9日録音(Wanda Landowska:Recorded on March 8-9, 1940)