AmazonでCDをさがすAmazonでスワロフスキー(Hans Swarowsky)のCDをさがす
Home|
スワロフスキー(Hans Swarowsky)|ヨハン・シュトラウス II:ワルツ「ウィーンの森の物語」 Op.325
ヨハン・シュトラウス II:ワルツ「ウィーンの森の物語」 Op.325
ハンス・スワロフスキー指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1957年9月19日録音
Johann Strauss:Tales from the Vienna Woods, Op.325
社交の音楽から芸術作品へ
父は音楽家のヨハン・シュトラウスで、音楽家の厳しさを知る彼は、息子が音楽家になることを強く反対したことは有名なエピソードです。そして、そんなシュトラウスにこっそりと音楽の勉強が出来るように手助けをしたのが母のアンナだと言われています。後年、彼が作曲したアンネンポルカはそんな母に対する感謝と愛情の表れでした。
やがて、父も彼が音楽家となることを渋々認めるのですが、彼が1844年からは15人からなる自らの楽団を組織して好評を博するようになると父の楽団と競合するようになり再び不和となります。しかし、それも46年には和解し、さらに49年の父の死後は二つの楽団を合併させてヨーロッパ各地へ演奏活動を展開するようになる。
彼の膨大なワルツやポルカはその様な演奏活動の中で生み出されたものでした。そんな彼におくられた称号が「ワルツ王」です。
たんなる社交場の音楽にしかすぎなかったワルツを、素晴らしい表現力を兼ね備えた音楽へと成長させた功績は偉大なものがあります。
ウィーンの森の物語 作品325
疑いもなく、美しき青きドナウと並んで、シュトラウスのワルツを代表する音楽です。
この作品も序奏ー色々なワルツ(この作品では4つのワルツ)?コーダという形をとっているのですが、この作品の特徴は非常に序奏が長く充実していることです。そのために、これはもはやワルツというよりは交響詩と言ってもいいような規模と内容になっています。
さらに、この序奏にはツィターが用いられていて、さらには最後のコーダでもこのツィターが懐かしむように帰ってきて音楽が締めくくられのが、この上もなく魅力的です。
実際の演奏会ではこのツィター奏者を用意するのが難しいので、これをヴァイオリンの独奏で代用することが多いようなのですが、残念ながらそれではこの作品の魅力が半減します。
それになんと言っても、この作品はウィーンの森の美しさを音楽で描いた愛国的な内容を持っていますから、その中にオーストリアの民族楽器であるツィターを使ったことには大きな意味があります。
スワロフスキーならではの歌い回し
ハンス・スワロフスキーと言えば指揮法の名教師でありながら指揮者としては今ひとつというのが常識でした。
「音楽は楷書的でしっかりしたものではあったが、あまり面白いものではなかった。」とか「尋常でないほど音楽の運びがぎくしゃくしがちな指揮者」などと言われたものでした。
しかしながら、例えばシューベルトの「未完成」などを聞くと、推進力にあふれた直線的な造形でありながら、いわゆるアメリカ的なザッハリヒカイトな演奏とは少し雰囲気が違うなと言うことでした。
非常に手堅い指揮ぶりで、一見すると何もしていないように見えながら、聞き進んでいくうちにジワジワと盛り上がってくるような雰囲気があって、それはまさにアバドの演奏と非常によく似ているなと思いました。
しかし、そう言うスタイルで、例えばヨハン・シュトラウスのような作品を演奏すればどうなるのかは考えてみればすぐに想像がつきます。ウィンナー・ワルツを楽譜通りに端正にスッキリと仕上げただけでは面白いはずもなく、聞くだけ時間の無駄と言わざるを得ません。
ですから、最初はスワロフスキーのウィンナーワルツか・・・と言う感じだったのですが、実際に聞いてみればその予想はいい方に見事に裏切られました。
確かに、響きはスッキリとしていてその面では楷書的なのですが、その歌い回しは実に見事なもので、それはスワロフスキーならではの独自性を持ったものでした。
スワロフスキーはハンガリー出身ですが、その人生の大半はウィーンですごしています。シェーンベルクに作曲を習い、ワインガルトナーに指揮法を学び、指揮者としてもウィーン響の首席指揮者やウィーン国立歌劇場の指揮者も務めた人物です。まさにウィーンの体現者のような人物なのですが、その歌い回しはクレメンス・クラウスやボスコフスキーなどとはまた異なった歌い回しです。
出来れば。スワロフスキーのウィンナーワルツという看板を見てパスしたくなる人もいるでしょうが、まあ一度は聞く価値はあるかと思います。「古き良き昔の時代」のものとはどこか異なった魅力があります。
この演奏を評価してください。
- よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
- いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
- まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
- なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
- 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
4939 Rating: 5.9/10 (34 votes cast)
よせられたコメント
2022-04-10:yk
- ”名演”かどうかは分かりませんし、ウィーンのデビュタント舞踏会などに相応しい演奏かどうかも怪しげですが、いい演奏ですね(少なくとも私は嫌いじゃない)。同じ楽譜からでも各楽器の聴こえ方が伝統的な演奏とはどこか違うのがスワロフスキー式に”現代的”だったのかもしれませんが、私は何処かシェーッベルク、ベルク、ウェーベルンらによるシュトラウスの編曲モノを思い出しました。ソレ等の曲は彼らの演奏会の謂わば”客寄せ”用に書かれたものでもありますが、彼ら自身は、シュトラウスの編曲は彼らがウィーンの伝統の上に立っていることを示すものでもある・・・と言うようなことを言っている。
スワロフスキーのワルツも、ウィーンの伝統の上に立つ”1950年代という現代”に生きるシュトラウスの表現の一つ・・・とでもいうことでしょうか?
【最近の更新(10件)】
[2024-03-29]
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ(Ravel:Pavane pour une infante defunte)
アンドレ・クリュイタンス指揮 フランス国立放送管弦楽団 1954年5月14日録音(Andre Cluytens:Orchestre National de l'ORTF Recorded on May 14, 1954)
[2024-03-27]
ベートーヴェン:劇音楽「エグモント」序曲, Op.84(Beethoven:Egmont, Op.84)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1939年11月18日録音(Arturo Toscanini:NBC Symphony Orchestra Recorded on November 18, 1939)
[2024-03-25]
モーツァルト:弦楽四重奏曲第2番 ニ長調 K.155/134a(Mozart:String Quartet No.2 in D major, K.155/134a)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)
[2024-03-23]
ベートーヴェン:ディアベリ変奏曲, Op.120(Beethoven:Variations Diabelli in C major, Op.120)
(P)ジュリアス・カッチェン 1960年録音(Julius Katchen:Recorded on 1960)
[2024-03-21]
バルトーク:弦楽四重奏曲第5番, Sz.102(Bartok:String Quartet No.5, Sz.102)
ヴェーグ弦楽四重奏団:1954年7月録音(Quatuor Vegh:Recorded on July, 1954)
[2024-03-19]
パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ニ長調, Op.6(Paganini:Violin Concerto No.1 in D major, Op.6)
(Vn)ジノ・フランチェスカッティ:ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1950年1月15日録音(Zino Francescatti:(Con)Eugene Ormandy The Philadelphia Orchestra January 15, 1950)
[2024-03-17]
チャイコフスキー:交響曲第2番 ハ短調 作品17 「小ロシア」(Tchaikovsky:Symphony No.2 in C minor Op.17 "Little Russian")
ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ミネアポリス交響楽団 1946年3月10日~11日録音(Dimitris Mitropoulos:Minneapolis Symphony Orchestra Recorded on March 10-11, 1946)
[2024-03-15]
ハイドン:チェロ協奏曲第2番 ニ長調 Hob.VIIb:2(Haydn:Cello Concerto No.2 in D major, Hob.VIIb:2)
(Cello)アンドレ・ナヴァラ:ベルンハルト・パウムガルトナー指揮 ザルツブルク・モーツァルテウム・カメラータ・アカデミカ 1958年録音(Andre Navarra:(Con)Bernhard Paumgartner Camerata Academica des Mozarteums Salzburg Recorded on, 1958 )
[2024-03-13]
ベートーヴェン:「レオノーレ」序曲第3番, Op.72b(Beethoven:Leonora Overture No.3 in C major, Op.72b)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1945年6月1日録音(Arturo Toscanini:NBC Symphony Orchestra Recorded on June 1, 1945)
[2024-03-11]
ラロ:スペイン交響曲 ニ短調, Op21(Lalo:Symphonie espagnole, for violin and orchestra in D minor, Op. 21)
(Vn)ジノ・フランチェスカッティ:ディミトリ・ミトロプーロス指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 1957年4月22日録音(Zino Francescatti:(Con)Dimitris Mitropoulos New York Philharmonic Recorded on April 22, 1957)