AmazonでCDをさがすAmazonでトルトゥリエ(Paul Tortelier)のCDをさがす
Home|
トルトゥリエ(Paul Tortelier)|バッハ:無伴奏チェロ組曲第4番 変ホ長調 BWV1010
バッハ:無伴奏チェロ組曲第4番 変ホ長調 BWV1010
(Vc)トルトゥリエ 1960年録音
Bach:無伴奏チェロ組曲4番「プレリュード」
Bach:無伴奏チェロ組曲4番「アルマンド」
Bach:無伴奏チェロ組曲4番「クーラント」
Bach:無伴奏チェロ組曲4番「サラバンド」
Bach:無伴奏チェロ組曲4番「ブーレ」
Bach:無伴奏チェロ組曲4番「ジーグ」
組曲について
「組曲」とは一般的に何種類かの舞曲を並べたもののことで、16世紀から18世紀頃の間に流行した音楽形式です。この形式はバロック時代の終焉とともにすたれていき、わずかにメヌエット楽章などにその痕跡を残すことになります。
その後の時代にも組曲という名の作品はありますが、それはこの意味での形式ではなく、言ってみれば交響曲ほどの厳密な形式を持つことのない自由な形式の作品というものになっています。
この二通りの使用法を明確に区別するために、バッハ時代の組曲は「古典組曲」、それ以後の自由な形式を「近代組曲」とよぶそうです。まあ、このような知識は受験の役に立っても(たたないか・・)、音楽を聞く上では何の役にも立たないことではありますが。(^^;
バッハは、ケーテンの宮廷楽長をつとめていた時代にこの組曲形式の作品を多数残しています。
この無伴奏のチェロ組曲以外にも、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ、無伴奏フルートのためのパルティータ、そして管弦楽組曲等です。
それにしても疑問に思うのは、この難曲である無伴奏のチェロ組曲を誰が演奏したのかということです。
ヴァイオリンの方はおそらくバッハ自身が演奏したのだろうと言われていますが、チェロに関してはそれほどの腕前は持っていなかったことは確かなようです。
だとすると、ケーテンの宮廷楽団のチェロ奏者がこの曲を演奏したと言うことなのでしょうか。現代においてもかなりの難曲であるこの作品を一体彼はどのような思いで取り組んだのでしょうか。
もっとも、演奏に関わる問題は作品にも幾ばくかの影響は与えているように思います。
なぜなら、ヴァイオリンの無伴奏組曲と比べると6曲全てが定型的なスタイルを守っています。
また、ヴァイオリンの組曲はシャコンヌに代表されるように限界を超えるほどのポリフォニックな表現を追求していますが、チェロ組曲では重音や対位法的な表現は必要最小限に限定されています。
もちろん、チェロとヴァイオリンでは演奏に関する融通性が違いますから単純な比較はできませんが、演奏者に関わる問題も無視できなかったのではないかと思います。
それにしても、よく知られた話ですが、この素晴らしい作品がカザルスが古道具屋で偶然に楽譜を発見するまで埋もれていたという事実は本当に信じがたい話です。
それとも、真に優れたものは、どれほど不当な扱いを受けていても、いつかは広く世に認められると言うことの例証なのでしょうか。
やはり一度はカザルスの演奏でじっくりと聞いてみたい作品です。
チェロのジェントルマン
「Tortelier」は「トルトゥリエ」と日本語表記するらしいです。
振り返ってみると、この60年頃というのはチェリストのビッグネームが目白押しです。
まずは大御所のカザルスは存命中で、指揮活動との両輪で未だに現役でした。さらに、豪快なシュタルケル、美音系の貴公子フルニエなども全盛期でした。それ以外に、思いつくだけでも、カサド、ピアティゴルスキー、ジャンドロン、さらにヤニグロも指揮活動に重点をおくのはこれよりも先の時代でした。そして、若きロストロポーヴィチにデュ・プレなどが登場してくるのもこの時代でした。
そう言うチェリスト戦国時代において「トルトゥリエ」はどのようなポジションを占めていたのでしょうか。
当然のことながらカザルスの風格はないわけであって、シュタルケルほどの豪快さはありませんし、フルニエの美音もありません。そして、ヤニグロの濃厚さとは最も遠いところにいます。
そうですね、あえて名づけるならば「端正系」でしょうか。ただし、こういう言い方は、ともするとそれなりのビッグネームなのだが、聴いてみるとこれと言った特徴がつかまえられないときの「苦し紛れ」として使われることもあるのですが、トルトゥリエのチェロは言葉の正しい意味で本当に「端正」な音楽を聴かせてくれます。
ですから、こういう演奏を若いときに聴くと何とも言えない物足りなさを感じるかもしれません。しかし、年を重ねると、いわゆる「外連」というものがうるさく感じられてくるので、こういう演奏が実に好ましく思えてきます。
そう言えば、道楽の行き着く先は「石」らしいです。
人は最初は人に興味を持つのですが、やがてそれが煩わしくなってきて対象が動物に変わるそうです。やがて、それも煩わしくなってくると動かない盆栽へと興味がうつり、最後は石へと行き着くそうです。
さすがに、トルトゥリエのチェロを石呼ばわりする気はありませんが、しかし、シュタルケルやフルニエなどと比べればはるかに「煩わしさ」が少ない演奏である事は事実です。フルニエがチェロの貴公子ならば、トルトゥリエはチェロのジェントルマンと言えばいいのかもしれません。
とは言え、この時のトルトゥリエはまだ60歳前ですから、晩年に録音されたもの(1982年)と比べると覇気があります。
そう言う意味において、多くの名盤がひしめくバッハの無伴奏の中でも未だに存在価値を失っていない録音だと言えます。
この演奏を評価してください。
- よくないねー!(≧ヘ≦)ムス~>>>1~2
- いまいちだね。( ̄ー ̄)ニヤリ>>>3~4
- まあ。こんなもんでしょう。ハイヨ ( ^ - ^")/>>>5~6
- なかなかいいですねo(*^^*)oわくわく>>>7~8
- 最高、これぞ歴史的名演(ξ^∇^ξ) ホホホホホホホホホ>>>9~10
1680 Rating: 4.5/10 (70 votes cast)
よせられたコメント
【最近の更新(10件)】
[2024-04-24]
ベートーヴェン:ディアベリ変奏曲, Op.120(Beethoven:Variations Diabelli in C major, Op.120)
(P)ジュリアス・カッチェン 1953年録音(Julius Katchen:Recorded on 1953)
[2024-04-22]
モーツァルト:弦楽四重奏曲第4番 ハ長調 K.157(Mozart:String Quartet No.4 in C major, K.157)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)
[2024-04-20]
ショパン:バラード第3番 変イ長調, Op.47(Chopin:Ballade No.3 in A-flat major, Op.47)
(P)アンドレ・チャイコフスキー:1959年3月10日~12日録音(Andre Tchaikowsky:Recorded on Recorded on March 10-12, 1959)
[2024-04-18]
エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調, Op.85(Elgar:Cello Concerto in E minor, Op.38)
(Cello)アンドレ・ナヴァラ:サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団 1957年録音(Andre Navarra:(Con)Sir John Barbirolli:Halle Orchestra Recorded on 1957)
[2024-04-16]
フランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ イ長調(Franck:Sonata for Violin and Piano in A major)
(P)ロベール・カサドシュ:(Vn)ジノ・フランチェスカッティ 1947年5月7日録音(Robert Casadesus:(Vn)Zino Francescatti Recorded on May 7, 1947)
[2024-04-14]
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」, Op.62(Beethoven:Coriolan, Op.62)
アルトゥーロ・トスカニーニ指揮 NBC交響楽団 1945年6月1日録音(Arturo Toscanini:NBC Symphony Orchestra Recorded on June 1, 1945)
[2024-04-12]
モーツァルト:弦楽四重奏曲 第3番 ト長調 K.156/134b(Mozart:String Quartet No. 3 in G Major, K. 156)
パスカル弦楽四重奏団:1952年録音(Pascal String Quartet:Recorded on 1952)
[2024-04-10]
ハイドン:弦楽四重奏曲第1番 変ロ長調「狩」,Op. 1, No. 1, Hob.III:1(Haydn:String Quartet No.1 in B-Flat Major, Op. 1, No.1, Hob.3:1, "La chasse" )
プロ・アルテ弦楽四重奏団:1938年6月5日録音(Pro Arte String Quartet:Recorded on June 5, 1938)
[2024-04-08]
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18(Rachmaninov:Piano Concerto No.2 in C minor, Op.18)
(P)ジェルジ・シャーンドル:アルトゥール・ロジンスキ指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック 1946年1月2日録音(Gyorgy Sandor:(Con)Artur Rodzinski New York Philharmonic Recorded on January 2, 1946)
[2024-04-06]
シベリウス:交響的幻想曲「ポヒョラの娘」(Sibelius:Pohjola's Daughter - Symphonic Fantasy Op.49)
カレル・アンチェル指揮:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1962年6月7日~8日録音(Karel Ancerl:The Czech Philharmonic Orchestra Recorded on June 7-8, 1962)