オーディオ骨董論

最近、オーディオというのは骨董の世界に似ているなと思い始めました。

言うまでもなく、骨董の世界というのは美術の世界と似ているようで異なるものです。
そう言えば、小林秀雄はどこかで、「骨董というものは買ってみて、手元に置いてみないとその良さは分からない」みたいな事を書いていたのを思い出します。
つまり、骨董というのは「展示してある作品を鑑賞する」みたいな態度で接していては、その良さは分からない、まずは身銭を切って買ってみて、その買ったものを手元に置いて、なで回してみないとそのものの本当の良さは分からないというのです。いや、きっと「本当の良さ」みたいな抽象的な言い方は小林は嫌うはずです。もっと正確に言えば、手元に置いて、なで回してみてこそ、その物の良さが身に染みてくると言った方がいいのでしょう。

買ってみて手元に置いてみないと物の良さは分からない。
当然、買って、手元に置いているうちにその物が「贋物」であることに気づくこともあります。真贋入り乱れた「いかがわしさ」こそが骨董の魅力だとすれば、贋物をすり抜けていくスマートさなどはかえって物の美から己を遠ざけるだけです。

こう書いてくると、これもう、まるでハイエンドオーディオの世界そのものです。
私はことあるゴトにハイエンドオーディオの世界を貶しているのですが、きっとそう言う「危うい世界」に遊ぶ御仁たちから見れば、全く持って「泣き」の足らぬ洟垂れ小僧とうつることでしょう。

もちろん、骨董の世界にもつまらぬ連中はいます。
「いくらですか?」「値上がりしますかね?」

オーディオの世界もまた同じ。
「○○万円もしたんですよ!」「何たってタンノイですよ!」

物の美はお金に換算することなど不可能、それは言うまでもないこと。
ブランドがそういう物の美を保障することなど有り得ないことも当然。
ましてや、カタログをいくら眺め回してみたって何も分からない。

やはり、身銭を切って手元に置き、「ああ、やっぱり駄目だった」と思いながらも、その「駄目だった」に至るその物との格闘の中で己の「目」が鍛えられていく。
最後に頼りになるのは、そうやって鍛えられた己の目への信用だけ。

そう言えば、あの青山二郎の晩年は、大金を持って家を飛び出しては地方の骨董屋をまわっては骨董を買いあさったそな。そんな青山をやっとの思いで見つけ出した家族は、宿泊していた旅館で「承知」と張り紙をされた大量の骨董品を見つけ出す。
「承知」とは「屑だと承知」の短縮形らしいです。
なるほど、最後は屑だと承知しながらも、それでもその中にもしやの「美」がありはしないかと思って買わずにおれなくなるらしい。これを「依存症」と切って捨てるのは簡単ですが、道を究める、「極道」というのはそういう物なのでしょう。

いかにも「馴染み」と思われるお客と店員が車座になって話をしていて、そんなところへノコノコ入っていくとジロッと一瞥を投げかけられると言うお店があります。何とも居心地の悪い思いにさせられて、文句の一つも言いたくなるのですが、そこが極道のたまり場と思えば、なるほど洟垂れ小僧が出入りするような場ではなかったわけです。

ああ、結局、私はどこまで行ってもただの「いい人」から一歩も外へは出られないようです。

店主日記が閉鎖

キット屋さんの店主日記が閉鎖になるらしいです。

「そういえば(努めてサラッと書きます)、2002年5月31日以来ずっと皆さんと共に歩んできたこの”店主日記”ですが、諸般の事情から閉じることになりました。」と言うことです。その理由として、「日記を始めた頃と今とでは時代も変わり、私(ども)が求められる事も大きく変化しました。私が日記を書き続けることが会社にとってのリスクであるという事は私にとっても決して望ましいことではありませんので、熟慮のうえ決めました。」と書いておられますが、何とも言えず無念感が漂う文面です。

死に体に近いオーディオ業界の中で、珍しいほどにエネルギッシュに行動し発言してきた人だけに敵も多かったと言うことなのでしょうか。しかし、今時、嫌われるほどに自分を主張し、立ち位置を明確にしないと何もできません。
その事を思えば、実に持って残念至極です。

大きな組織の中で、いい子ちゃんとして振る舞う事で安閑としていられる時代は終わったと思うのですが、やはりキット屋といえどもトヨタ系列の中の一コマと言うことだったのでしょうか。

もちろん、大橋氏が日記の中で述べておられたことに全面的に納得するわけではありませんでしたが、技術的にも貴重な情報が多くて勉強させてもらうことも少なくありませんでした。また、時々は業界の裏話みたいな際どい話もあったりして、結構三面記事的な面白さもありました。

ただ、心配なのは、この日記を閉鎖してキット屋は成り立つのだろうか?と言うことです。
真空管アンプというニッチな業界ではありますが、その中で占めるキット屋の割合は非常に大きなものがあります。しかし、その成長は製品のクオリティだけでなく、大橋氏の日記という発信力に依存する部分も大きかったはずです。

モノがあふれている今の時代にあって、製品のクオリティだけで売れるという時代は終わったように思います。
言葉をかえれば、「いいものを作れば売れる」と言う時代は終わったのです。

一昔前なら、「いいものを作る」ということは売れるための必要十分条件でした。しかし、今や「いいものを作る」ということは必要条件であっても十分条件ではなくなっています。そこに、あと一つ何かのプラスアルファが必要になっています。
そして、キット屋のプラスアルファは大橋氏の日記の発信力だったと思うのです。

今後は、日記に変わってトピックスという形で発信されるそうですが、毎日定期的にアクセスする習慣を失ったユーザーはそれほど簡単にはサイトにやってきてはくれません。
繰り返しますが、実に持って残念な話です。

「暫くは皆さんに閲覧いただけるように致しますがGW前に削除(非表示化)されます。URLも変わり削除後はブックマークも無効となりますのでご注意下さい(出来れば今のうちに必要と思われるコンテンツは保存しておいて下さいね)。」ということなので、私もさっそくサイトを丸ごと保存しておくことにしました。

<やり方>
Windows版の「wget」をインストールする。

Wget for Windows

コマンドプロンプトから

wget.exe -r -np http://www.kit-ya.jp/blog/

を実行する。
サイトに負荷がかかって多少は迷惑かもしれませんが・・・(^^;、手動で保存なんてやってられませんので許してもらいましょう。

<追記>
上記のコマンドでは取りこぼすページもあるみたいです。
それから、「?」はファイル名としては使えないので、全て自動的に「@」にリネームされていました。少しばかり一手間がいるみたいですが、ここはそんな技術的な話をするところではないので・・・パス(^^
まあ、調べればやり方すぐに分かると思います。

サイトのいくつかの不都合について

トップページから「掲示板が消えたのですが、どうしたのでしょうか?」とか、「MP3フリーデータベースにアクセスできなくなったのですが・・・?」などなど、たくさんのメールをいただいております。
本人は趣味の範囲でやっているつもりなのですが、どうもそんな甘えたことは言っていられないようです。(^^;

このサイトは「LAMP」というシステムで運営しています。
「Linux」「Apache」「mySQL」「PHP」の組み合わせです。

ドタバタしてご迷惑をおかけしているのは、この組み合わせの中の「PHP」のヴァージョンをあげたのが原因だったようです。

専門的なことは省きますが、通常のセキュリティパッチのつもりで何も考えずにヴァージョンアップしたのが(PHP5.3.6→PHP5.4.0)、セキュリティパッチではなくては新しい系列への本格的なヴァージョンアップだったのです。
まあ、数字が5.3から5.4になっているので、見れば分かるだろうという話なのですが(^^;、仕事の忙しさにかまけて通常のセキュリティパッチのつもりで更新したのが間違いのもとでした。
おまけに、今回のヴァージョンアップは新機能を盛り込んだ新しいヴァージョンへの移行だったようで、いくつかの機能で下位互換がなかったために「掲示板」と「フリーデータベース」で使っていたスクリプトが動かなくなってしまったのです。

当然のことですが、「下位互換性のない変更点」についてはアナウンスはされていたので、それをしっかりと読んでおけばこんなドタバタになることはなかったのですが、仕事の忙しさにかまけた「ルーティンワーク」が間違いのもとでした。
そして、その時点でヴァージョンアップに伴う不都合であることが分かっていれば速やかに前のヴァージョンに戻したのですが、原因が分からずにジタバタしているうちに深みにはまってしまいました。

取りあえずは、PHPを元の系列のヴァージョンに戻して(当分はメインテナンスはされるのでセキュリティ上の問題はないようです)復旧させる予定ですが、掲示板に関しては最新の書き込みのいくつかがバックアップが取れていなくて失ってしまいました。
申し訳ない限りです。
また、フリーデータベースの方は、確か文字化けの問題を解決するのに大汗をかいたのですが、なんと、その解決方法をきれいさっぱり「忘れて」しまっている自分に気がつきました。
今、必死で記憶をたどっているところです・・・が、解決までには少し時間がかかりそうです。

サーバーがいささか不調です。

昨夜の10時過ぎあたりからサーバーがダウンしていたようです。
実は、一ヶ月ほど前から同じような症状が出ていて不安には思っていたのですが、今のところはいくつか原因は推測しているものの、確定するまでには至っていません。

サーバー機に関しては昨年、新しいものに取り替えていますし、その時にCPUやメモリの強化も図っていますのでアクセス過多によるダウンとは考えられません。あとは、外部からの何らかのアタックによる支障というのが有力候補なのですが、残念ながら特定するまでには至っていません。
もしも、攻撃している方がおられてこれをお読みでしたら、今のところはご安心ください。(^^v

実は、これと似たようなことは以前も一度経験していて、その時は静岡県在住の高校生が犯人であることが特定できました。
この時は、古いスクリプトを放置していて、そのスクリプトに存在する既知の脆弱性をつかれたのでこちらにも責任があるのですが、そう言う大人の対応をする人ばかりではなかったようで、同じようにしていたずらを繰り返した件の高校生はあえなく警察に逮捕となったようです。
実は、今回もほぼ同じような既知の脆弱性をつかれているような気がするのですが、同じようなことが続くようだと何時までも「大人の対応」とも言っていられなくなります。

まあそれにしても、困ったものです。

ヨハンナ・マルツィ/EMI&DG録音全集(13CD)

ハンガリー出身で戦後はスイスを拠点に活躍した名ヴァイオリニスト、ヨハンナ・マルツィ[1924-1979]は、現在でも人気の高い女性奏者。・・・気品あるたたずまいと美しいロマンティシズムを湛えたマルツィの演奏については、高名な批評家たちの受けもよく、たとえばバッハの無伴奏の録音は、エドワード・グリーンフィールドがハイフェッツの録音よりも高く評価し、アメリカ・デビュー・リサイタルは、かのハロルド・ショーンバーグが「極めて純粋で、古典的」と絶賛を惜しみませんでした。

ヨハンナ・マルツィ/EMI&DG録音全集(13CD)
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「現在でも人気の高い女性奏者」というのはいささ疑問符がつくでしょうね(^^;。
何しろ、若くして現役を引退したあとは生死すら不明だったのですから。

調べてみると、私もかつてこんな風に彼女のことを紹介しています。

「バッハの無伴奏で彼女を初めて紹介したときに、「知る人ぞ知るヴァイオリニスト、と、言いたいところですが、よほどの好事家でもない限り彼女の名前を知る人はいないでしょう」と書きました。しかし、その「好事家」の間では高く評価されている人で、いわゆる中古レコード市場などでは出品されるやいなやあっという間に買い手がついてしまうそうです。おまけに、その価格たるやン万円というのだから驚かされます。」

そんな彼女への再評価が進んだのは、ひとえに「著作権」という檻から解放されてパブリックドメインの仲間入りをしたからです。
少し自慢をさせてもらえれば、このサイトで彼女のバッハの無伴奏を紹介したときは、びっくりするくらいに反響が大きくて、「☆☆☆パブリックドメインおソルベし。☆☆☆」というお言葉もいただいたほどです。
ですから、こういう形で彼女の録音がまとまった形でリリースされることは実に有り難いことです。

このサイトでマルティに興味を持たれたならばゲットしておいて損はないボックス盤だと思います。
たとえ、13枚セットで7000円という価格が、昨今の激安ボックス盤と比べて割高であってもゲットする価値はあると思います。